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Jリーグ2010年最終節、横浜F・マリノスVS大宮アルディージャ

2010-12-11 22:22:59 | サッカー
*以下の文章は、サッカーを見始めて一年弱、それ以前はマリノスについては俊輔と川口くらいしか知らなかったぺーぺー野郎の観点からの記録です。



何度か書いていますが、ウチは私が川崎フロンターレ派、妹は横浜マリノス派。特に妹は、”F”が付く前からの筋金入りのマリノス派であります。

私がJリーグを見るようになり、この2チームが対戦する際は、観戦するようになったのですが、今回川崎の最終戦はアウェイの仙台、横浜はホームの大宮ということで、横浜遠征が決定

しかし、11月28日、Fマリノスは元日本代表の松田直樹、山瀬功治を含む6選手の解雇を突然発表。大阪に旅行していた妹はこの事実を一日遅れで知り、相当なショックを受けていた

ニュースのトーンを見ても、ツイッターの反応を見ても、この解雇に対して好反応は殆どなく、100歩譲って人員入れ替えの大切さは論じても、選手に通告する前にマスコミに発表するその手段が許せないという見方が圧倒的だった。私もそう思う

そんなわけで、既にこの最終戦に不穏な空気が予想される中、12月4日になった。

場所は新横浜の日産スタジアム。東横線とJR横浜戦を乗り継ぎ、3時半からのゲームのために新横浜駅でお昼を買い込み、整然と並ぶビル街を通って、徒歩でスタジアムを目指す。前日の雨によって現れた気持ちの良い晴天、周囲にはトリコロールカラーを身につけた大勢のマリノスサポーターと、少しのオレンジの大宮サポーター、そして違うユニフォームを着たちびっ子達。子供達はチームが招待した横須賀~横浜のサッカー教室の子達だというのを後で知った。とにかく人が多い。鶴見川を渡り、スタジアムに通じる橋にさしかかると、今回の戦力外通告への反対署名を集めるサポーター、垂れ幕に選手への応援メッセージを集めるサポーター等々、その間をぬってスピーカーからはイベント告知がけたたましく宣伝され、何とも異様な熱気に包まれている

因みにイベント広場ではチーム“非”公認マスコット、ワルノスのショーをやっている。和やかだね~と見ていたら、ステージ近くには「松田」「山瀬」ユニフォームを着ている白人系のごつい兄さん達のグループが・・・。横浜だから、さすが国際的やね~。と少々冷たい汗を流しながら、会場へ。

しかしこの時点で1階ホーム自由席はかなりの密度。コンコースを移動していると



妹「松田さん・・・
*中央3番が松田直樹選手です、念のため。

妹は普段、中澤さんのファンで、マリノス観戦の際はいつも「ザワさま~」(松田さんの左の人です、念のため。)なのだが、今日ばかりは松田さん。まあ、ザワ様は怪我で出場できませんからね。来年に期待します。

結局、2階席に行くのだが・・・このスタジアムは1階出入り口が4階コンコースに2階席は7階コンコースに設置されている。従って3階分の階段を上らないと席にはたどり着けない

かくして涙を飛ばしてゼエゼエと7階まで到達。さすがに2階は余裕がある。何せ7万人収容のスタジアムだからね。とりあえず、遅いお昼を取りながら、周囲を見渡すと・・・ゴール席もやはり、熱気がうずまいている。至る所に「松田」「山瀬」「坂田(同様に戦力外通告)」「松田」の横断幕・・・

遅い昼食を取ったり、トイレに行く間に時間は瞬く間に過ぎ、試合開始へ。スターティングメンバー発表の際、坂田、山瀬、清水、そして怪我のためベンチスタートの松田の表示が出ると、凄い歓声とコールが鳴り響く。対して監督へは大ブーイングだ。ちなみにこの日は公式マスコット、「マリノス君」の通算300試合出場記念の花束贈呈もあった。マリノス君は大変可愛いが、何だか今日は彼も切なそうだ(錯覚だと言うことは承知していますです、はい)。


これは試合後の写真。


さて、試合開始。マリノスはボールをよく取って責めるが、気合いが空回りして、ゴールに結びついてくれない。大宮も必死なので競り合いが続く。
そして前半39分、ついに大宮が先制

ハーフタイムを経て後半、山瀬さんに代わって17歳の新人、小野君が投入。
ここで我々姉妹の偏見と独断に基づいた感想。

私「また俊輔からスローインかあ。やっぱり良い位置に俊輔はいるよね

妹「ん~。でも受ける側が問題だね。特に小野君、いつも良い位置に走るのに、その後、ボール動かすのに躊躇しすぎだよ。『どーぞどーぞ』て譲りすぎ。折角大宮ゴールのすぐ側にいるのに、自分が決めないから、大宮のDFに取られてしまう。」

私「以前(川崎戦などなど)見られていた『日本人的譲り合い』の悪い見本みたいだね。」

妹「まあ、17歳でいきなり大舞台で、子供の頃からのヒーロー達と一緒に試合しているなんて状況、プレッシャー大だし、萎縮するのも無理はないよ。でもプロなんだから『どーぞどーぞ』はあかんやろ。」

そうこうするうちにベンチ側のサポーターが騒がしくなってきた。
「松田がアップしてる」「松田が出るぞ」「松田だ」周囲から、そんな声があふれてくる。

そして後半39分、右膝痛だった松田がついに登場。場内は松田のチャント(応援歌)で埋め尽くされる。
妹「まちゅだしゃ~ん

正直、マリノスサポでない自分もここまで来ると感情の波が大きくなってくる。
応援歌も大変、歌いやすいので、川崎魂(自分で書いて、自分で笑ってしまうが、まあ他に適当な表現が浮かばないのでご容赦を)は脇に置いて、一緒に「なーおーきなーおーき」と声を限りに応援。

しかし、神様は無情だ。ロスタイムで大宮にとどめを刺され、試合は0-2で終了。

その後、最終戦のセレモニーが行われたのですが・・・。木村和司監督と社長、特に社長の挨拶に対するブーイング、抗議のような松田のチャント凄まじく、正直辛かった。どうしようもない感情が渦巻いていて、辛かった。
もっとも、座席引っこ抜いたり、コップを投げつけるような事がなかったのにほっとしたのだが、選手たちに当たるかもしれないから、そんな荒っぽいことはしないか


とりあえず異様な空気の中、選手たちの場内一週が進む。戦力外通告の6選手はサポーターから花束を受け取っている。一番多くもらっているのは、やはり松田。他の選手が黒いコートを羽織る中、彼だけがユニフォーム姿のままだ。

ここで我々は帰り支度をして、1階に下りたのだが、そこで松田のスピーチが始まり、妹が凄い勢いで場内に戻っていってしまった

松田の挨拶に関しては、こちらを見てください。文面はこちら。先ほどまでの興奮状態がいったん去り、周囲の人々は皆、彼の一言一句に耳を傾けていた。

実はこの後、山瀬の挨拶もあったらしいが、我々はここで家路に就いた。妹の目は普段の10倍、うるんでいた。
妹「まつだ・・・。私がサッカー見始めてから、ずっとマリノスだったのに・・・

私はマリノスをよく知らない。
松田直樹という選手についてもよく分かっていない。
でも、彼がいかにマリノスというチームで愛されていたか、支持を受けていたのかを強烈に理解した、ような気がする。


この後、朝日新聞で興味深い記事を目にした。今期、浦和などが集客に苦戦する中で、マリノスは前年比110%以上の観客動員数を達成したのだ。
これまでの地域密着と並行して、現役選手による地元の小学校訪問や、静かに見たい女性専用のガールズシート設置などの工夫の成果なのだという。

恐らくマリノスの経営陣としては、この観客増加を追い風に、心機一転を計りたいのだろう。そうして新しい血を入れるためにこれまでの勢力、とりわけ影響力のある松田のような選手を外していく必要もあったのだろう。
だが、果たして今回のような解雇が正しかったのか、他にやり方はなかったのだろうか?

来年のマリノスの布陣がどうなるのか分からないが、気になるところだ。

何はともあれ、今年の観戦は終わった。
ありがとう、松田!!
がんばれ、松田!!!
マリノスもがんばれ!!

でもフロンターレはもっとがんばれ!!!!!
(→感動はしましたが、宗旨替えはしませんよ、ええ。)