里村専精師の「浄土真宗にようこそ」No70
「無量寿経優婆提沙願生偈」も世親菩薩の書き残されたものです。
「浄土論」とも呼ばれますが、これを読むには「成唯識論」が不可欠ではないかと思います。
同じ人の著述なのですが、瑜伽唯識の人であった世親を見誤ってはならないからです。
「浄土論」は、大切な述語などは瑜伽大乗の背景なしには読めないのです。
勿論、唯識と浄土の教えとは決して一致するものではありません。
が、世親が求め世親自らが願生した事実は、極めて大切です。
というのは、世親の願生には大乗の学びを確実に踏んだものがあるからです。
いわば世親の「願生偈」は、仏道の中軸を明らかにしたものがあります。
親鸞の教学とは、殆ど似ていないかのようですが、実は確かな学びが見えてきます。
浄土真宗として何か固まった教学を考えますが、もっと柔軟に考え直すべきものを感じます。
「無量寿経」の内容を、世親は29種の荘厳功徳の成就と書きました。
法然上人は、私たちのテキストとして三経一論と教えました。
その一論に、大乗の菩薩としての世親の眼差しがあります。
そしてそこには、世親菩薩の三転四転された人生を孕んでいます。
説一切有部から経量部へ、そして兄の無著に学んだ大乗菩薩道があります。
「願生偈」は、おそらく世親の最晩年に至りついたものではないでしょうか。
それ以前に、「倶舎論」があり「法華経論」もあります。
「成唯識論」には、その円熟した世親の確立された大乗の学びがあります。
世親と「無量寿経」には、深く洞察された背景があります。
真宗の信の前後や、信の確かな世界を着実に語れるものが世親の教学にはあります。
そしてそのことは、仏教界全体の着実な成果を正しくするものがあります。
(続く…)
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