KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

冬の秩父・赤岩尾根

2014年02月01日 | バリエーション・ルート

天候: 
行程:日帰り
   赤岩橋10:00-赤岩峠11:00~10-赤岩岳11:42-1,538m峰12:47-P1・14:40-八丁峠15:13~46-赤岩橋17:23
行動:単独

 この週末は泊まりの山行を予定していたが、日曜の天気が悪いというので日帰りに変更。
 以前から何となく気になっていた両神山のバリエーション、赤岩尾根へ。
 一般登山道では飽き足らないハイグレードハイキングの枠でも難易度高め。藪と岩稜が連なり、相応の技術とルートファイングが求められるコースとか。

 登山口の小倉沢地区はかつて「日窒」という会社が大規模に鉱山を運営していて、この山奥に二千人もの人が住んで繁栄していたらしい。
 が、今や完全なゴーストビレッジ。
 朽ちた住宅や学校、公衆浴場などの廃屋がノスタルジーを通り越して寒々しい。
 最近、にわかにブームとなっている廃道、廃線、廃墟を好むマニアの間では隠れスポットにもなっているようで、WEB上で「秩父 日窒 廃墟・・・」などと検索するといろいろ出てくる。

  

  廃屋の向こうに赤岩岳
 
 この時期、道路も凍っていて車はあまり先へ進めない。
 適当な空き地に駐車し歩き始めるが、ボーッとしていてスタート地点の赤岩橋を過ぎ、ずっと先の落合橋まで来てしまい、これで往復1時間もロス。
 引き返して登山口の廃村エリアを確認し峠への登り口を探すが、以前はあったらしい道表示が無くなって違う方向へ進んだりして、またまたロスタイム。
 結局登り始めたのは午前10時。
 赤岩尾根→八丁尾根→両神山と行く予定だったが、こんな遅いスタートでは赤岩尾根も途中まで、ただの偵察登山に終わりそうで少々アセる。

 簡単に登山口を説明すると赤岩橋の所から「立入禁止」となっている左手の廃村エリアに入り、少し進んで小さいY字路に突き当たったらそのまま右へ。
 ほんの少し先、左手に保育所跡があり、そこを右へ直角に上がっていくのが登路である。
 だいぶ煤けているが登山の注意を促す立札もあり、2014年2月現在「山火事用心」と書かれた大きな赤い横断幕が林の中に掲げてあるので、それが目印。

  登山口は保育園跡の右手、一段上にある。

 赤岩峠への道は小さな九十九折が続くが、途中左手の植林帯にもピンクテープが続いているので、そちらに導かれないよう注意。
 下から見えた赤岩岳方面へ向かってほぼ真っ直ぐ登っていくと、やがて前方枝越しに大きな白っぽい岩場が見えてきて、それを左にやり過ごして大きな九十九折でさらに登っていくと赤岩峠。
 ここまでの道も日陰では少し凍っていて、峠から先はもちろん雪があるので、ここでアイゼン、ハーネス、ヘルメットを身に着ける。

  
 登り始めて約一時間、赤岩峠に着く。                       樹林越しに見る大ナゲシの岩峰

 最初のピーク、赤岩岳はすぐそこ。
 正面岩壁も見てみたかったが、時間も押しているのでセオリー通り左に延びる巻き道を辿り、ルンゼを上がって北稜のコルから岩稜伝いにまずは赤岩岳登頂。
 岩のリッジはむき出しでちょっと高度感があるが、ホールド、スタンスともに大きく、ここで腰が引けるようならこれ以上先に進まない方が良い。

 さらに行くと1,583m前衛峰と呼ばれる15mほどの小岩峰。
 ちょっと立っているが正面突破。アルパインの3級ぐらいか。他の人の記録では、ここを核心部とみる人も多い。

  
 赤岩岳、そしてその後に続く1,583m前衛峰

 そして次が1.583m峰。ガイド本ではここが核心らしい。
 正面の顕著なカンテ・リッジは見た目にもハイグレード・ハイキングの域を超えていて、一般的にはこのリッジの脇を右下にトラバース下降。降りたコルから右側面(南面)のスラブっぽいフェースを斜上していく。
 スラブはアイゼンを履いているとやや細かいが、カチを拾いながら登る。
 技術的な核心はとりあえずここまで。無事に1,583m峰の頂を踏み、少しホッとする。

  
 1,583m峰                             P2直下のチムニー

 この後、八丁峠まではP4~P1と岩峰があり、その間にも細かいアップダウンが続く。
 途中、小ピークからクランク状にルートが直角に曲がる箇所があり、迷いやすい。
 要所要所に赤テープがあるが、中には小指の爪ほどのビニールテープが細い枝に括り付けられ、それが古くて色も煤けているものだから、けっこうビミョー。
 ある程度、人気のコースでそこそこ踏まれているが、ルートミスの踏み跡もあるから、迷った時は正解の所まですぐ戻った方がいいだろう。

 1,583m峰を過ぎたら八丁峠まですぐと思ったが、思ったより長く感じた。 
 他の人の記録で見かけるP2真下にあるチムニーっぽい岩場のフィックスは、今は無かった。
 ここは少し右に下りてピークの先に巻き上がることが可能。
 P1は頂上が開けて、歩いてきた赤岩岳方面、そしてこれから進む両神山方面を見渡せ、展望が良い。
 午後になって空が霞んでしまったが、浅間山らしき雪の山容が大きく見えた。

  P1より赤岩尾根を振り返る

  前方、両神山を望む

 八丁峠に着いたのが15時過ぎ。
 それなりに急いだつもりだったが、赤岩尾根(赤岩峠~八丁峠間)だけで4時間かかってしまった。
 せっかくなのでまだ登っていない両神山まで行きたかったが、冬のこの時期、今から八丁尾根を登ろうとしたらヘッデン下山は確実。
 ルーファイの悪い自分はまず止めておいた方が無難だろう。

 八丁峠ではこんな時間から登ってきた単独行の人としばし休憩。
 まだ山を始めて間もないようで、ロープの使い方などいろいろ質問をされてしまった。
 まぁいいんだけど、あまり山のことを知らないみたいで、こんな時間から一人で登っているし大丈夫かなとちょっと心配になった。

  八丁峠から赤岩岳方面は「立入禁止」の表示アリ

 下りは半分凍り始めた道を一気に上落合橋へ。夕暮れの中、最後は今朝も歩いた車道をトボトボ歩いてスタート地点の赤岩橋に帰ってきた。


 赤岩尾根の岩稜部分は概ねアルパインの2~3級程度。「北鎌」のミニミニ版といった感じだが、ホールドとなる岩は割としっかりしている。
 今回はトレーニングとして、フィックスには一切頼らず、すべて手袋&アイゼンで通過。そこそこ刺激のある内容だった。
 実際は真冬でも岩場に雪や氷が乗ることがまず無いので、岩の部分はアイゼン無しの方が楽。ただ日陰の下り斜面は凍っていたりするので、こまめな着脱が必要になってくる。

 補助ロープも持参したが、赤岩峠から八丁峠へ進む場合、慣れた人ならロープは不要。
 逆に八丁峠から赤岩峠へ進む時は急な岩場を下ることになり、懸垂下降の準備をした方が良いだろう。
 ルートもわかったので、次回来る時はもっと軽い装備でサクッと両神山まで片付けたい。

  アプローチで通る素掘りのトンネル



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2 コメント

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Unknown (常吉)
2014-02-06 07:53:56
赤岩岳、昔好きで何回か行きました。でも当然無雪期。アイゼンの時期に行くとはさすが監督さんですね。

赤岩岳の正面岩壁はどうということはありませんでしたが、1583Pの正面カンテが気になってます。
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Unknown (現場監督)
2014-02-08 18:45:15
常吉さん、どーもです。

今回は時間が無くて事前リサーチがあまりできなかったんですが、そういえば常吉さんのエリアでしたね。
西上州の藪岩シリーズはもう少し歳とってからの楽しみにと思ってましたが、なかなか渋いですね。

ただ、横浜からだとけっこう遠い!
今回は岩稜よりも廃村のオーラに感じることが多かったです。
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