天候:のち
行程:白毛門登山口駐車場5:15-ゼニイレ沢出合6:00~20-最初のスラブ6:50-二段6m滝-奥壁9:00-白毛門頂上9:55~10:55-駐車場12:40
参考:「上信越の谷105ルート」豊野則夫・編(山と渓谷社)
前日、一ノ倉本谷を終えた翌日。
相方のタケちゃんは所用ありということで、本日は単独で手軽に行けそうなゼニイレ沢へ。
白毛門登山口の駐車場で車中泊し目を覚ますと、前日の行動で乳酸MAX、筋肉痛で足がバキバキ状態。
普通に歩くのさえ辛く、よっぽどこのまま帰ってしまおうかと思ったが、何とか思い留まって出発する。
今日は一人なのでたぶん使わないだろうと思ったが、念のための保険としてロープやハーネス、ギアは一応持参する。
湯檜曽川右岸の林道を歩き始める。まだ夜は明け切らず、やたらとある「熊出没注意!」の案内にビビリながら、時折ホイッスルを鳴らしながら進む。
林道は車が通れる幅から人が通れるほどに変わり、やがて左に回り込む辺りから右の河原に降りると、もうそこはゼニイレ沢の出合。
あまり美しくないゴーロが末端まで押し出しているので一目瞭然。
朝のゼニイレ沢出合
河原でコンビニおにぎりの朝食を済ませ、簡単に身支度を整え、まずは湯檜曽川の渡渉。この時期、水量は少なく足首程度で特に問題なし。
ゼニイレ沢の行程1/3はゴーロ。何とも歩きにくい。筋肉痛に辟易しながら登っていく。
時折、振り返って一ノ倉沢方面を見るが、本日は曇っていてあまりハッキリ見えない。
出だしのゴーロ帯
振り返れば一ノ倉沢
やがてゴーロが終わって待望のナメ・スラブ。
それなりの規模だが、黒っぽいヌルがついてて米子沢や西ゼンほどの美しさは無い。
「アクア・ステルスでも、まぁ大丈夫だと思うけど・・。」とタケちゃんのアドバイスに従い、出だしは慎重に行く。
とりあえず緑のヌルは大丈夫だが、黒ヌルや茶色いヌルは要注意だ。
昨日の一ノ倉に較べてば傾斜も緩く、ほとんど気を使う必要はないが、それでも登るにつれ意外と高さも出てきて、調子に乗って適当な所に突っ込むと痛い目に合いそう。
それでもあまり逃げずに極力、水流沿いに高度を上げていく。
トポではいくつか小滝が記載されているが、基本的にナメ・スラブの連続だ。
ナメ滝を見下ろす。
15m「逆くの字」滝というのはどこかわからず、その上の二段6m滝のところで小休止。
この上から少し沢幅が狭まってくる。曇り空だが、この辺りから周りの紅葉がなかなか綺麗。
6m二段滝の上段はツルツル壁でまず直登不可。左のブッシュとのコンタクト・ラインから潅木掴んで強引に上がるがちょっと悪い。
6m二段滝 (たぶん・・・)
上部ナメ
さらにひたすら真っ直ぐ進むとやがて三俣。といっても正確には三俣ではなく、まず二俣があったら右、ほんの少し進んで次の二俣を左に取る。
いずれにしても上の方にはインゼルのような奥壁?が控えていて、それに向かって真っ直ぐ進むのが正解。
三俣を過ぎるとほとんど水枯れとなるので、1Lほど補給しておく。
そして、最後は奥壁。
右のブッシュに逃げることもできるが、ガイド本に「せっかくだからフリークライミングを楽しみたい」とあるので、取り付いてみる。
ルートはどこでも適当に取れるが、できるだけ正面突破を試みる。
せいぜいⅢ級ぐらいだろうとタカをくくっていたが、そこそこ高さもあり、ワンポイト緊張する(Ⅳ+)フリーソロとなる。
奥壁基部より
登ってみると高さもあってなかなか・・
一つの壁を過ぎるともう一つ壁があり、基部にはハーケンが打ってある。
A0用か?まぁ使わないでもボルダー・ムーブで切り抜けられる。ここもⅣ級か?
ここを過ぎればもう沢は終わり。ほんのひと登りで稜線で、そのまま登山道に出るかと思ったらシャクナゲのブッシュ帯。
踏み跡もはっきりせず、猛烈な熊笹とシャクナゲに行く手を阻まれるが、こういう時はとにかく高い方へ向かうしかないので、右手の高みへ向かう。
微かに登山者の声が聞こえたので、そのまま右へ進むとようやく登山道に出る。熊笹をガサガサ漕いでいたので、後でオバサンから「熊かと思った。」と言われてしまった。
ゼニイレ沢全景
白毛門
白毛門の登山道は大賑わい。このまま下ってしまおうかと思ったが、せっかくなので山頂まで行くことにする。
頂上では地元・群馬の中高年ご夫婦にクライミングのことなど聞かれ、四方山話などしているうちに小一時間も長居してしまった。
なかなか気さくなお二人だったが、オトーサンが目の前でビールのロング缶を一人で2本を飲んでしまうのにちょいと閉口。 (できればCMの菅原文太のように「良かったら飲んでくれ。」と言ってほしかった・・。)
笠ケ岳、朝日岳方面
登山道を下り始めてすぐに沢装備の中高年男女二人組と擦れ違う。聞くと私の後からゼニイレ沢を上がってきたとのこと。
「いやぁオタク、速いよ。」とお褒めの言葉をいただくが、こちらは筋肉痛で相当スロー・ペースだったんですけど。
白毛門からの下りは相変わらずダルイが、色づき始めた紅葉がせめてもの救い。
ジジ岩
天候に恵まれ久々に充実した二日間だった。
ゼニイレ沢は出だしのゴーロがイマイチ、その後の一直線に突き上げるナメ滝はスッキリしていて、なかなか良いが、西ゼンや米子沢に行った後だとやはりB級の印象となってしまう。
上越の入門コースとしてはいいかもしれません。
で、最後にちょっとケチがつく。
下山後、例のワンゲル御用達の店「Y」へ行ったのだが、入ったとたん「メタメタ混んでいるので、時間がかかります。」と言われる。
見たところ客は4組ほど。テーブルも2/3以上空いてるし、いる客の方もほとんど食べ終えている。
待つ覚悟もできているので、そのまま椅子に座ろうとしたら、一度引っ込んだオヤジが再び出てきて「やっぱメタメタ混んでいるのでお断りします。」と一言。
はぁ~・・・全然混んでるように見えないんですけど。 (大体「メタメタ」って何?)
飯屋に「入店お断り」されたのはもちろん初めて。ワンゲル、スキーヤー推奨かしらんが、もう行かん!