KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

爽快!仙ノ倉山・北尾根

2018年03月18日 | バリエーション・ルート
日程:2018年3月17日(土)~18日(日)一泊二日
行動:単独
 
 今週はM田師匠とどこかへ出かける予定だったが、このところの春の陽気で雪崩を心配してか、師匠は気が乗らない様子。
 自分も年度末で疲労度MAXだが、直前になるとこの週末はこれ以上ないほどの好天が期待され、もったいないので一人で出かけることにする。
 
 今回選んだのは、以前からずっと気になっていた仙ノ倉山・北尾根。
 春の時期だけ条件が整う谷川連峰のバリエーション・ルートだ。
 ネットの記録では、核心部の雪壁がアイスになっているとロープが必要とのことだが、まぁ行ってみないことにはわからない。
 ダメ元で下見がてら出発する。
 
一日目 
毛渡沢出合10:45-群大ヒュッテ前12:30~50-小屋場の頭14:00-標高1,500m(にせシッケイの頭手前)テン場15:50
 
 朝早く車で家を出たものの、まさかの関越渋滞、事故3件!
 毎度のことながら、休日に限って事故起こす輩にはホント腹が立つ。そんなわけでスタート地点に立った時には随分陽が高くなっていた。
 
 既に登山口には入山パーティーの車が数台。
 自分も適当な空スペースに停め、出発する。

  
 
 しばらくは左に毛渡沢を見ながら雪に埋もれた林道をひたすら進む。
 途中、あまりにも考えずにトレースを追って林道を行き過ぎたりしたが、すぐに気付いて正規ルートへ。
 この道を歩くのはおそらく2006年の秋、東ゼン~笹穴沢継続をした時以来だから随分と久し振りだ。
 
 先々週の八ヶ岳ほどではないが、トレースはあるもののやはり春の雪は足に重く、途中から今回持参した秘密兵器スノーシューを履く。
 といっても自分のはネットで新品5,000円もしない「なんちゃってシュー」だが、これが思いのほか歩きやすい。
 アップダウンの激しくない雪道なら、なかなかどうしてワカンよりもよほど使える気がした。

  
 
 快適な二時間ばかりスノーシュー・ハイクを終えると、右手に赤い群大ヒュッテが現れる。
 スキーが立て掛けており、何人か山に入っているようだ。
 道はここで左に折れ、雪に埋もれたコンクリート橋を渡ると目の前の斜面が北尾根の取付きである。
 
 軽い昼食後、尾根に取付く。
 ワカンのトレースが続いていたので、自分もそのままスノーシューで突っ込むが、やはり「なんちゃってシュー」ではここまでが限界。
 急斜面のジグザグ登高だと横滑りしてしまって、残念ながらここでお役御免となる。

  
 
 樹林帯の中のトレースを登っていくと、やがて視界が開け、最初のピーク小屋場の頭(1,182m)着。
 ここは北尾根の絶好の展望台で、今日のような晴れの日は白い美しい雪稜が延々と延びているのが一目瞭然だ。
 
 上部に目を凝らすと、はるか先の稜線に5~6名ほどの大所帯パーティーを発見。
 自分のスタートが渋滞で遅れたせいで、おそらく行程としては3時間くらい差が付いているだろう。
 雪稜の醍醐味としては、できれば純白無垢の尾根に自分のトレースを最初に刻んでいくことだろうが、そこまで贅沢は言わない。
 トレースあっても十分美しいスノーリッジが続いていた。

 
 
 特に危険を感じるほどではなく、程良く切れたリッジを進み、尾根が右にL字型に曲がって少し進んだ所でテン場捜し。
 その先、傾斜がグッと上がる「にせシッケイの頭」手前の尾根を簡単に整地して、軽量シェルターを張る。
 標高約1,500m。夕暮れになると北西側に湯沢の夜景が灯り、何ともイイ場所だ。

  
 
 宵の口には少し風に煽られたが、夜が更けるにつれ風は止み、静かな稜線の夜だった。
 
 
二日目 
テン場6:10-シッケイの頭6:40-大雪原7:10-仙ノ倉山頂8:45~9:15-平標山頂10:05~20-松手山コース-元橋バス停12:30
 
 この日は朝4時半には起きたが、日頃の睡眠不足もあり二度寝してしまい、全て用意をして出発したのは6時過ぎになってしまった。
 
 本日の出だしは、このルートのおそらく核心部、斜度40~45度の急斜面である。
 ここがアイスの状態で単独フル装備だとけっこうシビレる思いだろうが、本日の雪は幸いこれ以上いくらいのGood Condition.
 アイゼンの前爪がしっかり刺さり、その上ヘンに崩れず、シャカシャカと快適に上がることができた。

  
 
 さらに白い稜線は続き、シッケイの頭への急な登り。
 それを越えると、ちょっと日本離れした雄大な大雪原が眼前に広がる。
 標高2,000m程度ながら何ともスケールの大きな景色で、少し大げさだが写真で見る南極の地にいるような気さえしてくる。
 
  
 
 昨日先行していた大所帯パーティーはここで一泊したのだろう。大雪原の一角に浅く削られたテン場の跡があった。
 昨夜は風も緩く快適だっただろうが、遮るものがまるでないため強風時はけっこうキツいだろう。
 
 さらに真っ白いドームの仙ノ倉山北峰への登り。
 結局、昨夜のテン場からはそこそこキツい登りが間隔を置いて三つほど続くが、傾斜としてはやはり最初のものが一番急だった。

  
 
 仙ノ倉の北峰から本峰へはすぐ。
 一面真っ白なので、この辺り遠近感が狂ってしまっている。
 
 仙ノ倉山では、しばらく誰もいない山頂を独り占め。
 誰にも煩わされることなく、静かな山頂で30分ほど孤高のひと時を過ごす。
 
  
 
 とにかく今回は最高の天気、最高の雪質に恵まれた。
 ミーハーな自分はこれまで雪稜といってもグラビア・ルートと呼ばれる人気の場所しか歩いていないが、その中でも今回のルートは素晴らしい内容だった。
 近くて良し、簡単で良し、それでいて極上の雪稜と言えるだろう。
 
 帰りは平標山経由の松手山コースで下る。
 毛渡沢に置いてきた車に戻るには往路を引き返した方が良いだろうが、これから雪が緩むだろうし、あの急斜面の下りはロープ無しだとやや不安である。
 
 平標山頂の前後は数多くの山スキーヤーやボーダーで賑わっていた。
 短いと思っていた下山のコースも疲れた身体には程々に感じられ、やはり安全策を選んで正解だった。

 
 
 下山してからも路線バスで越後湯沢に出て、駅にある日帰り温泉「ぽんしゅの湯」で時間調整。
 タクシーを使わず上越線下りの列車に乗って土樽まで。ここで車を回収と、効率よく節約できた。
 
 今回、もう一つの候補として近くの大源太山を考えていたが、さしずめあちらが「上越のマッターホルン」なら、こちらの仙ノ倉山は「上越のモンブラン」といったところ。
 仙ノ倉北尾根は割とよく知られた方だが、この周辺は残雪期でしか登れない好ルートがたくさんあり、今後も通いたいエリアだ。


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