KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

最近読んだ本

2015年05月16日 | 

  

「旅へ」「南へ」野田知祐・著 ☆☆☆

 
 サブタイトルに「新・放浪記」とあるようにカヌーイスト野田氏の旅の断片と遍歴を綴った半生記。 
 前者は若かりし二十代の頃のヨーロッパを中心とした旅がメインで、後者は国内の川や海辺でのマイペースな日々がメイン。
 もし物書きという仕事が無ければ、一歩間違えるとホームレスに近いほどの(失礼!)著者の自由な生き方が潔い。

 

「ぼくは眠れない」
「ぼくがいま、死について思うこと」椎名誠・著 ☆☆☆★

 アクティブだったシーナ先生のネガティブな内容の二冊。
 「~眠れない」の方は正直、自分としてはイマイチだった。
 多かれ少なかれ現代の日本人なら(自分も含めて)不眠症は珍しいことではないし、内容を見るとシーナ氏、それでもけっこう寝ているような?

 「~死について思うこと」は自分も最近、同年代の友人の死が続き、いよいよ他人事ではない年頃なので興味深く読んだ。
 ただ、中盤の世界の葬儀の紹介はちょっと量が多いような?
 なかなか書きにくい面もあるだろうが、墓や葬儀の話より数々の旅と冒険をしてきた著者とその仲間の臨死体験みたいなものを読ませてほしかった。

「空白の五マイル」角幡唯介・著 ☆☆☆☆★ 

 先の利尻で時間がある時に読もうと現地の本屋で何気に買ってみたのだが、いやこれは久々のヒット! 
 チベットのツァンポー峡谷という世界最大級の秘峡を一人で入っていく冒険物語だが、面白くて一気に読んでしまった。
 同じ早稲田の探検部出身で物書きとしては高野秀行氏がいて、こちらが笑わせるエッセイ風であるのに対し、角幡氏はあくまで正統派の内容である。
 既に他にも何冊か出しているようなので、しばらく追って読みたいと思う。


最近読んだ本

2015年04月25日 | 

 このところ、すっかり目が弱くなって本から遠ざかっていたが、ついに老眼鏡デビューし、読みかけの本を一気に片付ける。
 まずは海難もの三作。

  

「たった一人の生還-たか号二十七日間の闘い」佐野三治・著

「37日間漂流船長」石川拓治・著
 原本は「あきらめたから生きられた」(武智三繁・遭難者本人の著作)

「ザ・サバイバル」平島正夫・著
 92日間、太平洋をヨットで漂流した諸井清二氏のドキュメンタリー。

①はヨットが沈没し、ライフラフト(救命イカダ)で漂流。海に放り出された時点では仲間がいるが、日が経つにつれ次々と死んでいく。
②は半壊した小型漁船で一人で漂流。最後は水も食糧も尽き、自分の小便で命をつなぐ。
③は自走不能となったヨットで漂流。こちらも一人。日数こそ長いが、キャビンは無事で水と食糧は何とか確保できているのが救い。

 仲間の死、餓えと渇き、孤独・・・とそれぞれ精神を追い詰められていく内容は異なり、その過酷さは単純には比較できない。
 学ぶべきところが多く、必読の書。


最近読んだ本

2014年12月16日 | 

  「島へ免許を取りに行く」 星野博美・著 ☆☆☆★

 九州・五島列島の教習所へ車の免許を取りに行く中年(?)女性の悪戦苦闘記。
 
 免許にまつわる本なんて何で今さらと思われるだろうが、実は今、ちょっと大型二輪が欲しくなっている。
 まぁバイクの免許は中型(400ccまで可)を持っているが、「イージー・ライダー」世代としてはやはりバイクと言えばハーレー!
 山に飽きたらいつかそのうちアメリカのルート66を走り、モニュメント・バレーに行ってみたいという願望(妄想?)がある。
 そのためにはやはり「大型」が必要なのだ!

 というわけで、少し前からネットで大型自動二輪を取った人たちの体験記や奮戦記(特に中高年の)を検索して拝見しているが、これがとても面白い!
 世の中のあらゆる事に慣れてしまったオジサンやらオバサンたちが突如「バイク熱」に浮かれ「教習」の中で一喜一憂しながら免許を取得していく姿は、クライミングと相通じるところがあると思う。

 で、話を本に戻すとこの物語では、「島での合宿」、「そこに集まる個性豊かな人々」さらに「免許取得という自分との戦い」があって、まぁ大した内容ではないのだが、なかなか面白くて一気に読めた。
 自分が免許を取った学生の頃は、信号も高速道路も無い「島」なんかで免許を取ってドースル?とちょっと小バカにしていたが、日常生活から離れられない今となっては一ヶ月も自然の美しい島で目標に向かって頑張れるなんて、何とも羨ましい。
 ハワイで一週間ぐらいで免許が取れるなら絶対行きたいと思う!


最近読んだ本

2014年11月27日 | 

   

「おひとり温泉の愉しみ」
 山崎まゆみ・著 ☆☆☆★
 混浴にもひるまない女性温泉家(?)による温泉単独行のノウハウとお気に入り温泉の紹介。
 自分が行った所もいくつか紹介されていたが、この本を読んでやはり青森の「不老ふ死温泉」と「酸ヶ湯」は行ってみたいと思った。
 そしていつかどこかの秘湯で、まゆみ嬢とご一緒したいものである。

「あの日、僕は旅に出た」 蔵前仁一・著 ☆☆★
 「ゴーゴー・インド」などで知られるバックパッカーの教祖的存在による半生記。
 旅というよりは旅の本と自分で立ち上げた出版社、それに関わってきた人々の話でやや期待はずれだったが、読みやすくて一気に読めた。
 これまでの渡航歴を記した地図もあったが、この人はインドやアジア、中近東、アフリカなど赤道周辺には強いが、カナダ以北や南米の端の方には行ってないのが意外だった。

「ぶ男に生まれて」 徳大寺有恒・著 ☆☆☆
 つい先ごろ亡くなった「間違いだらけ~」の徳大寺さんのエッセイ。
 内容は自分のぶ男コンプレックスや女性に関することなど。
 これだけ読むとエロ親父の戯言だが、ジャガーを「ジャグワー」と呼び、メルセデスを「メルツェデス」と気取って書く「ダンディ・トーク」と併せ読むと、人間的なギャップが見えてこのオジサンが好きになる。 


読書の秋

2014年11月02日 | 

 足が痛くて山ニモ行ケズ、ジムニモ行ケズ。
 しかたなくBOOK-OFFで買ったままだった文庫本をランダムに読む。

   

「自転車少年記」竹内真・著 ☆☆
 自転車をテーマにした初々しい青春物語なんだけど、イイ齢した心がスレたオヤジが読むにはどうにも眩しすぎて恥ずかしくて付いていけない。まぁ、自分もそんな時代があったなぁと・・・(中島みゆきかっ!)

「怪しい探検隊 アフリカ乱入」椎名誠・著 ☆☆
 ずーっと前に読んだことがあるが、今回自分もアフリカへ行ってみて改めて読んでみた。
 ナイロビのヘビ園、博物館から始まり、マサイ・マラ、そしてキリマンジャロとケニア山の違いこそあれど大体似たような行程。
 しかし、無理矢理面白おかしく書いているだけで、その実、けっこうな大名旅行であまり共感はできず。
 椎名センセイの「怪しい探検隊」シリーズはせいぜい二作目の「怪しい探検隊、北へ」までが面白く、それ以降は自分としてはイマイチ。

「インドなんて二度と行くか!ボケ!!」さくら剛・著 ☆☆☆☆☆
 インドへは30年ほど前に二回ほど行ったことがあり、これまでインドの紀行ものはそれなりに読んできた。
 堀田善衞、蔵前仁一、沢木耕太郎、椎名誠、横尾忠則、妹尾河童、中谷美紀、高野秀行、たかのてるこ・・・etc.
 それぞれ感じ方の違いがあって面白かったが、今回何気にこの本を読んで思った。この本が一番正しいっ!
 フォントが突然大きくなったり、内容的にはインドに対して泣いたり怒ったりの連続で(笑うことはまず無い)、インド通や彼の地を聖地と勘違いしている輩にはとっつきにくい点もあるだろうが、よくぞここまで真実を書いてくれたと思う。
 あまりに面白かったので、著者の他の「二度と行くか!」シリーズ(アフリカ、中国、東南アジア、さらにインドの続編)を思わずAmazonで大人買いしようと思ったが、レビューを見ると「結局、どこ行っても同じ内容で」とツレないことが書いてあったので、目下、次の注文は思案中である。


宝の山?

2014年08月22日 | 

 先日、新生「岳人」をナショナル・ジオグラフィック的な・・・云々と言ったそばから、今日は地元町内会の古紙回収で大量の本家「ナショナル・ジオグラフィック(日本版)」を発掘!

 
そのバックナンバーの数、ざっと60冊、総額5万円相当!しかも汚れも折り目も無く、ほとんど新品同様!
 コレ、もらっちゃっていいんですか? いぃーんですっ! (by 川平慈英?)

 山の特集から世界の秘境、先日行ったマサイの話など興味ある記事が盛りだくさん。

 これからの読書の秋。当分眠れそうにない・・・。 (どこのどなたか存じませんが、ありがとうございました!)

 


新生「岳人」

2014年08月20日 | 

 2014年9月号から雑誌「岳人」が一新。
 出版元が東京新聞からモンベルに代わり、サイズも一回り小さくなった。

 

 一登山用品メーカーの傘下に置かれることにより、宣伝色の濃い雑誌になってしまうのでは?と一抹の不安はあったが、余計な記事を減らして(?)読者層を絞り込み、より大人の山岳雑誌になったような気がする。
 巻頭で編集長の辰野氏が言うように、秘境探訪(今号はあの早出川のガンガラシバナとジッピ!)はいかにも「ナショナル・ジオグラフィック」的だし、ナンセンのグリーンランド横断記などは「山の文芸春秋」を意識した作りで、なかなかイイ印象を持った。

 これまでの「岳人・写真倶楽部」が無くなり、ヘッポコ山ヤとしては若干敷居が高くなった感があるが、またクロニクルに載せてもらえるようガンバロウ。


「幻獣ムベンベを追え」

2014年07月15日 | 

  高野秀行・著 ☆☆☆★

 辺境探検家兼ライターの高野氏の本はこれまでも面白おかしく数冊読ませていただいたが、今回ようやくそのデビュー作を読む。
 結果としてはやはりアフリカ・コンゴに住むという「幻の怪獣」は見つからず、「あぁ、やっぱりな。」とその後に続く一連の著作と同様のオチなのだが、この頃はまだ早稲田大学探検部リーダーとしての真摯さが窺える。

 ちなみにこのずいぶん後に、今度はインドへ「怪魚ウモッカ」を捜しに行く話があるが、その内容はあまりにヒドく、それ以来あまり著者の本を読まなくなってしまったのも事実である。
 ま、それなりに面白かったけどね。


さらば、「岳人写真倶楽部」

2014年07月12日 | 

 今月(2014年7月)発売の「岳人」8月号。
 
 伝統ある本誌も来月からいよいよ東京新聞からモンベル傘下となり、内容がかなり変わるよう。
 で、リニューアル前の最後の記念とばかりに(?)今月号の「岳人・新写真倶楽部」に私の1枚が大きくトップで掲載される。

 
 2014年GW 北ア・鹿島槍天狗尾根
 (なぜかパートナーの名が省略され「~ほか」になっている。きちんと書いて投稿したのに。juqcho氏、すまんね。)


 思えばこのコーナーには2002年1月の冬富士単独の写真以来、何度も掲載してもらった。
 で、そのうちのいくつかパッと思い出せる範囲でご紹介。

 
 北ア・白馬岳主稜(2003年5月)
 最後の雪壁を登るSakurai師。たしか私を撮ったjuqcho氏の写真も載ったはず。

 

  
 谷川岳・一ノ倉沢本谷「幻の大滝」 (2010年10月)
 タケちゃんが撮ってくれた私のリード・シーン。この一枚が編集部の目に留まり、後にクロニクルのオファーをいただいた。

 

 
 仙台・二口沢大行沢(2012年8月)
 震災後に単独で仙台の沢を継続遡行。汚染が見つかり当時イワナは捕食禁止だったが、知らずにおいしくいただきました。それが何か?

 

 
 南ア・間ノ岳弘法小屋尾根(2013年5月)
 ふだんは外岩に一緒に行っているM田師匠と珍しく泊まりで雪稜。北アと違う静かで雄大なロケーションを二人占め。

 

 
 西丹沢・箱根屋沢(2013年7月)
 核心のF8(15m)をアブミで突破するjuqcho氏。丹沢の沢も目ぼしい所はほとんど行ってしまった。


 
 カナディアンロッキー・Mt.ヴィクトリア南東稜(2013年8月)
 技術的にはGWの北アと同等だけど、登頂の帰りにこの斜面をもう少しで滑落しそうになった。 (実際、私の数日後に死亡事故あり)

 他にもいくつか載ったと思うけど、整理が悪くて思い出せず。
 リニューアルしても読者本位の誌面作りをモンベルさんにはお願いしたいものです。


最近読んだ本

2014年07月04日 | 

  「一歩を越える勇気」 栗城史多・著

 単独登山のあり方についてあれこれ言われている栗城くんだが、まぁ私はそんなに嫌いではない。何よりあのモチの高さは尊敬してしまう。
 この本も思ったよりは面白く読めた。
 もうこの歳になると有名人が「夢は叶う」といくら言っても「ホントかよ?」って感じだが、栗城くんなどはきっとフツーの人には無い「何か」を持っている一人なのだろう。

 で、あのエベレストでの凍傷以来あまり表に出てこないのでもしかして引退しちゃったのかなぁと思ったら、何と指をスッパリ切って現在ブロード・ピークに挑戦中とか。
 まったく、その若さと元気が羨ましい。
 ☆☆☆★

 


最近読んだ本

2014年06月07日 | 

  「山をはしる」 伊賀孝・著 ☆☆☆☆

 「はしる」といってもトレランではなく、これは修験道の話。
 舞台となるのは大峯、八海、羅臼、富士といった山々で、いわゆる「登山」ではなく山伏となって「行」というスタイルで山に臨むのが興味深い。

 本の中で紹介されている大峯奥駆けというのも一度やってみたいが、時間とか食事とか様々な規範の中で行われる様子は昔の大学山岳部の合宿とちょっと似ているかも。
 冬富士を一種の「行」と捉えているところは共感できた。


最近読んだ本

2014年05月15日 | 

  「田宮模型の仕事」 田宮俊作・著 ☆☆☆☆

 Book-offでたまたま見かけて何の気無しに買ってみた本。
 自分がプラモ初期のリアルタイム世代ということもあり、めっちゃ面白かった!

 著者(若社長)の海外での戦車取材に行った時のエピソード、時代の波や子供の流行に翻弄されながらも田宮ワールドを展開していく情熱が素晴らしい。
 また、プラモデルが静岡の地場産業だったとは、この本を読んで初めて知った。
 そういえば伊豆城山へ行く時、途中で田宮模型の店があり、いつか帰りに寄ってみたいものだと思っていたのだが。

 子供の頃、憧れだった大スケールの「戦艦武蔵」や「パンサー戦車」、そのうち大人買いしてみたいものである。 (女房には思い切り煙たがられそうだけど・・・。)


最近読んだ本

2013年10月10日 | 

  「ガンジス河でバタフライ」 たかのてるこ・著 ☆☆☆

 少し前になかなか話題になった本。
 かつて脚本・宮藤官九郎×主演・長澤まさみでドラマになったりもしたが、そのドラマが何ともメチャクチャで、おまけに著者がいかにもインド通のようなドヤ顔でTVに出ていたので何となく煙たく感じていたのだが、まぁ読んでみると初めてインドを訪れた時の気持ちが伝わってきてなかなか面白かった。
 
 ちなみに私はガンジスで泳ぎはしなかったが、これまでインドは二回訪れ、マザー・テレサの「死を待つ人々の家」で手伝いをしたり、デリーの公園でテント無しで野宿をしたり、ガンガの源流の岩小屋でサドゥ(行者)と○○チャ・パーティーをしたことぐらいはある。