「旅へ」「南へ」野田知祐・著 ☆☆☆
サブタイトルに「新・放浪記」とあるようにカヌーイスト野田氏の旅の断片と遍歴を綴った半生記。
前者は若かりし二十代の頃のヨーロッパを中心とした旅がメインで、後者は国内の川や海辺でのマイペースな日々がメイン。
もし物書きという仕事が無ければ、一歩間違えるとホームレスに近いほどの(失礼!)著者の自由な生き方が潔い。
「ぼくは眠れない」 ☆
「ぼくがいま、死について思うこと」椎名誠・著 ☆☆☆★
アクティブだったシーナ先生のネガティブな内容の二冊。
「~眠れない」の方は正直、自分としてはイマイチだった。
多かれ少なかれ現代の日本人なら(自分も含めて)不眠症は珍しいことではないし、内容を見るとシーナ氏、それでもけっこう寝ているような?
「~死について思うこと」は自分も最近、同年代の友人の死が続き、いよいよ他人事ではない年頃なので興味深く読んだ。
ただ、中盤の世界の葬儀の紹介はちょっと量が多いような?
なかなか書きにくい面もあるだろうが、墓や葬儀の話より数々の旅と冒険をしてきた著者とその仲間の臨死体験みたいなものを読ませてほしかった。
「空白の五マイル」角幡唯介・著 ☆☆☆☆★
先の利尻で時間がある時に読もうと現地の本屋で何気に買ってみたのだが、いやこれは久々のヒット!
チベットのツァンポー峡谷という世界最大級の秘峡を一人で入っていく冒険物語だが、面白くて一気に読んでしまった。
同じ早稲田の探検部出身で物書きとしては高野秀行氏がいて、こちらが笑わせるエッセイ風であるのに対し、角幡氏はあくまで正統派の内容である。
既に他にも何冊か出しているようなので、しばらく追って読みたいと思う。