「日本縦断 徒歩の旅-65歳の挑戦」 石川文洋・著 ☆☆★
北海道から沖縄まで徒歩で歩いた元・戦場カメラマン氏の旅の記録。
徒歩による日本縦断というと、植村直巳さんもやっているがあちらがバス停などで野宿を重ねる貧乏旅行なのに対して、こちらは質素ながらも旅館や民宿に泊まり、夜は地元のおいしい酒と肴を楽しんでおられる。
まぁそれでも65歳という年齢、毎日平均20~30kmを歩き続けるのは脚力はもちろん相当な気力がないと無理だと思う。
新聞社あがりのため文章も淡々としているのがやや面白みに欠けるが、道中使ったシューズの比較や蛍光色の雨具を選ぶ理由など実践的ノウハウは参考になった。
「自力で安く登る海外の山」 黒川晴介・著 山と渓谷社 ☆☆☆
内容は広く浅くで、情報ももはや古いので新たに得るものはあまり無いが、イメージを掴みモチを高めるにはイイかも。
「山の時間」 沢野ひとし・著 白山書房 ☆☆☆
沢野画伯のこれまでの山遍歴を追った紀行エッセイ集。
若い頃に「嫌な」ヤツと山へ登った話が面白かった。
世界9万5000kmを自転車で旅した、石田ゆうすけの本2冊。
「行かずに死ねるか!」 「いちばん危険なトイレといちばんの星空」
これまで多くの旅本を読んできたが、これは傑作。
読みやすい、面白い、イヤミが無い・・・三拍子揃っていて、とても好感が持てた。
評価としてそう簡単に五つ星は付けられないので、最初の一冊を読んだ時点で「うん、これは☆☆☆☆★(4つ半)。」と決めていたのだが、最後の最後、二冊目の「文庫版のあとがき」でやられてしまって星五つ!
旅エッセイの比較的若手では高野秀行や宮本珠己なども面白いが、彼らのような「しつこさ」や「くどくどしさ」が無いのもGood。
ネットでの評価も高い。
☆☆☆☆★
今回、剱へ行く際、行きのJRで読んだ短編集。
TVの「寺内貫太郎一家」はあまり面白いと思わなかったが、向田さんの書く世界はやはり人間の心理をついていてなかなか深い。
「老いの才覚」 曽野綾子・著 ☆☆☆☆
曽野綾子センセイによる最近の売れ筋本。
ご自分と同年代の「わがままで、傲慢で、自分勝手な」老人世代をぶった斬り、つつましく生きなさい!とたしなめるのが心地よい。
私もこの先、頑固な偏屈じじいと呼ばれないようにしないと・・・。
「空腹が人を健康にする」 南雲吉則・著 ☆☆☆☆★
もはや説明不要のベストセラー。
現役の医師が書いているので説得力あるし、また堅苦しくなくて読みやすいし内容も面白い。
実際、私もこの四月下旬の時点で体重が63kg後半。 (身長は歳と共に縮んで現在170cmをちょっと欠けるくらい)
日常生活とBMI的にはまったく問題ないのだが、脇腹に余分な肉が付き、クライミングではやや頭打ちになっていた。
その後、この本を読んで、GW山行後から「一日一食(もどき)」を実践し、わずか一ヶ月後には目標体重60kgを超え、現在58kg台。
カサメリで手こずっていた「真実~10d」と「ワニ~11b」を落せたので、それなりの成果は出ていると思う。 (もともとヘボなので、これぐらいがいいとこだが・・)
そんなわけで、私も今ではすっかりナグモ信者。
評価が☆5つにならなかった理由として、ナグモ先生は「美しく長生きする」というのを最終目的としており、そのためには「スポーツをしない」というのがある。
別にそれほど長生きしなくていいと思っているし、ヘボながら"No Climb,No Life"の自分にはここがちょっといただけない。
参考までに私の「一日一食(もどき)」を紹介しておくと、
・朝はフルーツ入りヨーグルトと蜂蜜入り紅茶。
・昼はコーヒーのみ。小腹が空いたら、その時点でビスケットを2~3枚(全粒粉がオススメらしいので私はマクビティので代用)
・夜は普通に。ただし、ごはんは茶碗に一杯のみで、お代わりはしない。
もちろん飲みたい時は酒も飲むし、登った後はとんこつラーメンやカツ丼を食ったりする。あくまで無理しないのがナグモ流。
雑誌の「ター〇ン」なんか買って続かないトレーニングやろうとするより、こちらの方がよっぽど腹筋割れると思う。
「大阪で生まれた開高健」 ☆☆
雑誌「太陽-特集・開高健」 ☆☆☆☆
前者は主に大阪で生まれ育った幼少期から「寿屋(現・サントリー)」でのコピー・ライターの頃の話。
後者はヤフオクに出品されていたので思わず入札しそうになったが、よくよく考えたら自分の本棚の奥に眠っていて改めて読み直す。
小説もいいが、やっぱり開高センセは釣りに関するものが面白い。
「オレとボク-戦地にて」 池部 良・著 ☆☆☆☆
昭和初期の二枚目俳優による太平洋戦争従軍記。
実体験に基づいているが、著者によるとこれは小説とのこと。
壮絶な戦闘場面はあまり無く、南島駐留中に戦争が終わり帰国までの食料確保(鳥の卵やワニ捕りなど)の話が飄々として面白い。
戦記物にしては堅苦しく表現が一切無く、読みやすい。
「またたび」 さくら ももこ・著 ☆☆☆★
ちびまる子ちゃんの作者による国内外あちこち旅行記。
主に食べ物とお土産と同行者のヘンな行動に終始した内容ばかり。
その土地に対する新たな知識や発見はまるで得られないが、面白いから許してしまおう。
「共喰い」 田中 慎哉 ☆☆☆★
「文芸春秋」3月号より今、話題の最新「芥川賞」受賞作。
文章はさすがに巧くて一気に読ませるが、内容的にはかつてのATG映画で観たことがあるような雰囲気。
「赤塚不二夫のことを書いたのだ」 武居 俊樹・著 ☆☆☆★
少年サンデーの元・名物編集者が書いた赤塚不二男・伝。
前半の満州からの引き揚げの話や、ほとんど接点が無いように思われた「つげ義春」との交流話が興味深い。
それにしても、あのイヤミの「シェー!」は当時日本中に流行ったポーズで、長嶋茂雄から浩宮、来日したビートルズまでが「シェー!」をしたというから、改めて赤塚不二夫はスゴイと思う。
「バイク」 柳家 小三治・著 ☆★
一見不釣合いのように思えるが、落語家が書いたバイクとの出会いと北海道ツーリングの日々。
少しは面白かったが、噺家だからといってけっして文章も文句無しに面白いわけではなかったのが残念。
「案外、買い物好き」 村上 龍・著 ☆☆☆
B体型ながらもスポーツ好きな(失礼!)著者が、イタリアなどへ行ってシャツを買いまくるエッセイ。
ろくに着もしない一着○万円のシャツを衝動的かつ大量に買う様は一見、成金趣味でイヤミに映るが、一方で自己破滅的な感じがして読んでて気持ちいい。
ちなみに同じ村上でも私は「春樹」さんより「龍」さんの方が好きである。(春樹さんは、はっきり言ってようわからん。)
最近読んだ二冊。
大人になってから日本のプロ野球にはほとんど興味は無いが、この二人はやはり別格。
「長島茂雄青春伝」 岩川 隆・著 ☆☆☆★
「イチローの流儀」 小西 慶三・著 ☆☆☆★
どちらも人間的に面白く興味をひかれるが、この本から学ぶべきものを端的に示すとしたら・・・、
・長島さん → 過去は振り返らない。
・イチロー → 身体にストレスを感じるようなことはしない。
長島さんは、振り返らないというより何事も忘れっぽい(トム・クルーズと同様、LDとされている)のは有名だし、イチローの場合、身体にストレスを感じないではたしてトレーニングになっているのかという疑問が残るが、それが天才たる所以であろう。
まぁ凡人には到底わからないところが、また魅力なんだけど・・・。
「世界ケンカ旅」 大山倍達・著 ☆☆☆☆★
牛殺し、ゴッドハンドと呼ばれる、あのマス大山師の武勇伝。文句無しに面白い!
「リアル #11」 井上雄彦・作 ☆☆☆★
一年に一巻ペースがすっかり定着してしまったようですが・・・、毎度「元気」をもらってます。
最近読んだ本
天野 ミチヒロ・著
日本のドラマ、特撮、アニメ、映画で、さまざま理由から放送禁止となったいわくつきの作品を紹介。
放送禁止というと過激なエロとか残虐性を想像してしまうが、政治、宗教、人権的な理由から時代に先駆け過ぎて封印された作品も多く、「巨人の星」「ウルトラセブン」から三島由紀夫の映画までその幅は広い。
筆者が完全に同世代のため、自分は文句なしに面白く読めたが、ネット上でのレビュー評価はそこそこ。
ヲタクたちは「まだまだ甘い」というが、これだけのデータを集めるのは生半可なことではなく、その努力を買って「☆☆☆☆☆」
(ちなみに文庫版のタイトル・ロゴ、あの懐かしのウルトラ・シリーズの字体を使っているのが、またシブい。参りました。)
「写真学生」 小林紀晴・著
1980年代半ば、写真専門学校に通っていた著者が学生時代を描いた青春物語。
高校を卒業し、就職するまでの時期というのは、希望と不安、平穏と焦りがごちゃまぜになった、何ともいえない雰囲気があった。
そんな日々を思い起こさせる一冊。☆☆☆★
「地球の果てまで連れてって」 横尾忠則・著
著者の本は、スピリチュアルな内容が多いがヘンに小難しくなく、とても読みやすい。
ただ若干、アタリとハズレがあるような?
この本も前半はダリに会った話から座禅、仏教、迷信や心霊現象・・・と面白かったのだが、後半がただの平凡な日記になってしまったのが残念。☆☆☆