二つ目のキセキ

木曜日のお話


この日は実は私の誕生日でした
だから”神様、私にプレゼントを下さい”と密かにお願いをしてた（笑）

だけど昨日で患者さんのリハビリは終わってて、もう会えない事はわかってたから
この日は最初から諦めてた。
そしてもう二度と会えないんだなぁ。。。と思いながら
午後から転院する患者さんをお風呂に入れた。
患者さんは「気持ちが良かった」とすごく喜んでくれて私も満足
お風呂から上がると患者さんが「外を見たい」と言ったので
看護師さんの了解を得て、玄関に散歩に行った。

どこかで会えないかなぁ。。。と都合のイイ事を考えながら玄関に行くと
外は秋晴れで、すっごくいい天気だった
たくさんの人が行き来する中、あの人が来ないかなぁ・・・と思ったけど
今の時間は患者さんのリハビリをしてるハズの時間だから
絶対にこんな所に来るわけないよなぁ・・・と自分に言い聞かせてた。
そう、だってこの時間は昨日まで私達がリハビリに行ってた時間で
その時間には他の患者さんも来てて、理学療法士さんはいつも同時進行で見てたから。

だから絶対にこんな所に来れるハズがない。。。と思ってた
その時突然後ろから「○○さん（患者さんの名前）じゃん」と聞き覚えのある声がした
私は”もしかして”と思って、声のした方を見たらあの理学療法士さんだった

もう、すっごいビックリして
”こんな偶然があるの～”とココロの中で叫んだ（笑）
だって他の患者さんのリハビリは？？
どうしてこの時間にここに来れたのか、来たのかはわからないけど
とにかく純粋に嬉しかった

私がニッコニコの笑顔になりながら患者さんに「リハビリの先生ですよ」と声をかけると
患者さんも気がついて、手を振ってた
理学療法士さんは一度そのまま外に出て行ったけど
すぐに戻ってきて、私と向かい側の車椅子の横に来ると患者さんに話しかけた。
今日、別の病院に行くのでその事について話して
２、３分いたかな？その間、私とその人の距離は1メートルないくらいに接近してて
しかも顔だよ顔が真ん前にあるの
ドアップで顔を見れてすっごい嬉しかった
”もう最高の誕生日プレゼントだぁ。。。”とココロの中で大感動
もちろん私の方は全く見ないけど（笑）
私は患者さんとその人のおもしろい会話を聞きながらいっぱい笑った

話が終わるとその人は患者さんと握手を交わし
病院の中に入っていった。
私は、ニコニコ顔で患者さんに「最後に会えて良かったですね」と言ったけど
それは自分への言葉でもあったのかも。。。

でもこの後にさらに嬉しい偶然が
患者さんが「そろそろ病室に戻ろうか」と言ったから車椅子の向きを変えて中に入ると
何故かまだ理学療法士さんが入り口の所に立ってた
なんであんな所に立ってるんだろう・・・？と思いつつエレベーターに向かってたら
その時偶然外来の患者さんから「公衆電話はどこですか？」と聞かれた。
私は公衆電話の位置なんてわからないから、辺りを見回したら
理学療法士さんが”あっち”という感じで手で右の方を指して教えてくれた
私は「あっちですよ」とその患者さんに教えてあげて
理学療法士さんにお礼を言いたかったんだけど
少し距離が離れてたのと、恥ずかしいのとでもうそっちを見る事ができなくて
そのまま患者さんと、エレベーターの方へ向かってしまった。

”せっかく教えてくれたのに、私って感じ悪いよね”と思いつつ
エレベーターに乗って上へ上がった

神様がせっかく与えてくれたキセキだったかもなのに
いつも私ってこんななんです
好きな人の前だと意識しすぎて普通の行動がとれない。
そのまま病室へ戻りました。


長くなったけどこんな感じです。
これで私の短い恋の話は終わりです