システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に。最近、歩き旅の話題も。

「アメリカの大学・ニッポンの大学」(苅谷剛彦、中公新書ラクレ、2012)

2014-01-10 18:18:45 | 本の紹介
以下、個人的に気になったところを拾い書きしておきます。

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○「ハイスクールを出たての100人近い学部生たちを大教室で教えるためには、相応の教授スキルがいる」
「これは単なる授業観察にとどまらない。...講義がどのように行われ、学生がそれにどのように反応しているかを知ることが、TAの仕事にとって重要な準備となるからである」 (p.30-31)

○「アメリカの場合、日本のように大学間の格差が明瞭ではない。...一部の超エリート大学を別にすれば、学力の分散は日本以上に大きい。...さまざまな教育上の工夫...アメリカの大学が『教育』熱心にならざるをえない背景には、このような学力問題」

「一方、皮肉な見方をすれば、日本の大学は...大学受験という選抜のしくみと...大学間の格差構造によって、学生たちの学力問題をいくぶんなりとも回避してきたと見ることができる。...日本の特徴...そのうえに専門教育を施せるのは、実は高校修了までに学生たちが身につけていた基礎学力のおかげだったのかもしれない」
(p.213-215)

○「『受験学力』を、どのようにして大学教育に相応しい学力に変換していくのかに問題がある」
「応用力のきく、洞察力と、思考力、批判力を備えた学力に変えていく...」「TA制度も、シラバスの導入も、授業評価も、そのような課題に向けて準備..」
(p.216)

○「モノローグ型のコミュニケーションを基調とする日本において、大学教育の場だけをアメリカ型に変えようとしても、それはなかなか難しい。」 (p.223)

興味深い指摘で、p.226から「新しいコンテクストの創造に向けて」という展開があるが、それでも変える努力は必要だと考えます。
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