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「改訂版 関数のはなし〈下〉:大村平」因果の法則を知るテクニック
内容紹介
対数目盛、曲線を直線に、対数の底、情報量とエントロピー、e のはなし、増殖関数、減衰関数、三角関数と対数・指数関数のからみ、線形と非線形、複素数関数、加法定理、オイラーの公式、振動、双曲線関数、逆双曲線関数、球面三角法、関数論などを解説。数学の面白さを存分に教えてくれる。
上巻に続き今日は下巻の紹介記事。章立ては次のとおりだ。第17章以降は高校の範囲を超えている。
第10章:対数目盛の巻
第11章:対数の底の巻
第12章:不思議な定数eの巻
第13章:増殖関数の巻
第14章:減衰関数の巻
第15章:三角関数再登場の巻
第16章:三角関数の三角関係の巻
第17章:指数・対数・三角の親戚付き合いの巻
第18章:指数・対数・三角の大学院の巻
下巻では上巻に登場した関数のうち対数関数、指数関数、三角関数に焦点を当て、それぞれの性質と日常生活との関わりを詳しく紹介していく。これが第16章までの内容で次のようなことを学ぶ。
- 対数グラフの読み方と性質、日常生活で対数はどのようにあらわれるか。人間の聴覚、喜びの度合いなどの感覚は対数曲線の変化にしたがっていることが紹介される。
- 対数の底の話。情報量を対数であつかうことを学ぶ。
- 自然対数の底 e(2.718281828...)という数はどのようにして生まれたのか
- 増加関数としての指数関数(複利計算のこと)
- 減少関数としての指数関数(放射性物質の崩壊、半減期と平均寿命)
- 三角関数(測量での使い方、正弦定理、余弦定理、面積の計算、ピストン運動)
- 三角関数(関数の線形性の話、加法定理、2倍角や3倍角の式、ラジアン)
そして第17章では複素数が導入され、三角関数と指数・対数関数の関係が示される。いわゆる「オイラーの公式」を導いて解説をしているのがこの章だ。
第16章までで関数と日常生活の結びつきを学び、読者はそれぞれの関数について直観的にイメージを膨らませることになるが、オイラーの公式を初めて学ぶ読者にとっては別々のイメージでとらえていた関数、それぞれ無関係と思っていた関数が目に見えない数学の世界の中で美しく結びついていることに深い感動を覚えることだろう。
オイラーの公式を解説している本はいくつもあるが、本書のように第16章までの解説を活かした形で複素関数の世界に入るのが、初めて学ぶものにはドラマチックで強烈な印象を与えると思うのだ。
そして第18章は「指数・対数・三角の大学院」と題して振動の合成などの物理現象や双曲線関数とその逆関数、球面三角法、関数論など大学で学ぶ高度な内容を取り上げて解説をおこなう。内容は高度だが語り口は最後までユーモアたっぷりである。
本書の中から2箇所ほど写真で紹介しておこう。
対数目盛の巻:エース欠場チームが弱いわけは?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/89/1ce163edb0e23594de1c4cda27b184f8.png)
三角関数再登場
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/9d/71c75e9a8cd927a89cba281de7c6cb95.png)
「改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平」
「改訂版 関数のはなし〈下〉:大村平」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/db/faf553f324a9c4b671fc24441853e9a9.png)
上巻の紹介記事で書いたように、この本は35年以上前から読み継がれている良書だ。改訂版の値段が高いと思われる方は以下のリンクから中古の旧版をお求めになるとよい。アマゾンに投稿された読者によるレビューは旧版のほうでご確認ください。
旧版から改訂版への変更点は「時代環境の変化などにより生じた不自然な箇所」だけなのだという。たとえば本書については次のような変更がなされている。
旧版:第1章では1950年から1970年までの加入電話契約数の変化や日本の発電量などの統計データを対数グラフで紹介している。(当時、携帯電話はなかったので現在の固定電話は加入電話と呼ばれていた。)
新版:統計データにもとづく対数グラフを2010年までの新しいものに、特に加入電話数ではなく携帯電話数の変化のグラフに差し替えている。
内容はほとんど同じなので旧版でも不都合は生じない。
旧版の購入はこちらからどうぞ。
「関数のはなし〈上〉:大村平」(1976年)
「関数のはなし〈上〉:大村平」(1976年)
「関数のはなし〈下〉:大村平」(1977年)
本書を読み終えたら、次は「改訂版 微積分のはなし〈上〉:大村平」に進もう。
関連記事:
改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d36a9ff4f6196b3fead1b9b6ca4dcf1c
改訂版 微積分のはなし〈上〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/61b91ea9f2a66c66a33c507aa2c2d0c0
改訂版 微積分のはなし〈下〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a42023dc1423f9bdf406723d76f81766
改訂版 行列とベクトルのはなし: 大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/71c73f4258b48518957d5995d96f81ad
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「改訂版 関数のはなし〈下〉:大村平」因果の法則を知るテクニック
まえがき
第10章:対数目盛の巻
- 対数グラフ
- 急激を単調に
- 対数目盛の仕掛け
- 弱きを助け強きをくじく対数目盛
- なにがなぜ直線になるか
- ネズミ算は直線
- 5倍+2倍=10倍
- 片対数と両対数
- エース欠場がこたえるわけ
第11章:対数の底の巻
- 情報量の単位はビット
- 珍事は情報量が大
- 不確かさかげんがエントロピー
- 底の心は単位どり
- 底倍ごとに1ステップ
- 10の底と2の底
- 2は1の2倍か?
- パーセントに感ずる
- 底のマジック・ナンバーは?
第12章:不思議な定数eの巻
- 2.718281‥‥倍ごとに1ステップ?
- 限りなくゼロに近い「とどのつまり」
- そこにeがあるからだ
- eの生みの親たち
- 思いがけないところにeが
- 神秘的でエレガントなe
第13章:増殖関数の巻
- 複利は雪だるまか
- 複利がキバをむくとき
- 増殖関数登場
- バチ当たりな複利め
- the exponential function
第14章:減衰関数の巻
- 複利で「めべり」する話
- 減衰関数登場
- 放射性物質の崩壊
- 半ちびがはばをきかすわけ
- 半減期と平均寿命
- なんでこうなるの
第15章:三角関数再登場の巻
- 三角関数も対数・指数関数の身内
- 角度から距離を
- 正弦定理を使って
- 余弦定理を使って
- 三角形の面積を求めて
- ピストン運動
第16章:三角関数の三角関係の巻
- 線形と非線形
- 加法定理
- 2倍・3倍・半分の三角関数
- 積を和に和を積に
- 角度の単位
第17章:指数・対数・三角の親戚付き合いの巻
- 指数と三角の縁結び
- 複素数登場
- 加法定理をもういちど
- オイラーの公式とはなにか
- 1の立方根はなにか
第18章:指数・対数・三角の大学院の巻
- 単純な振動
- 振動の合成
- 双曲線関数
- 逆双曲線関数
- 球面三角法
- 関数論のはなし
付録:
- 指数関数表
- 三角関数の公式
内容紹介
対数目盛、曲線を直線に、対数の底、情報量とエントロピー、e のはなし、増殖関数、減衰関数、三角関数と対数・指数関数のからみ、線形と非線形、複素数関数、加法定理、オイラーの公式、振動、双曲線関数、逆双曲線関数、球面三角法、関数論などを解説。数学の面白さを存分に教えてくれる。
上巻に続き今日は下巻の紹介記事。章立ては次のとおりだ。第17章以降は高校の範囲を超えている。
第10章:対数目盛の巻
第11章:対数の底の巻
第12章:不思議な定数eの巻
第13章:増殖関数の巻
第14章:減衰関数の巻
第15章:三角関数再登場の巻
第16章:三角関数の三角関係の巻
第17章:指数・対数・三角の親戚付き合いの巻
第18章:指数・対数・三角の大学院の巻
下巻では上巻に登場した関数のうち対数関数、指数関数、三角関数に焦点を当て、それぞれの性質と日常生活との関わりを詳しく紹介していく。これが第16章までの内容で次のようなことを学ぶ。
- 対数グラフの読み方と性質、日常生活で対数はどのようにあらわれるか。人間の聴覚、喜びの度合いなどの感覚は対数曲線の変化にしたがっていることが紹介される。
- 対数の底の話。情報量を対数であつかうことを学ぶ。
- 自然対数の底 e(2.718281828...)という数はどのようにして生まれたのか
- 増加関数としての指数関数(複利計算のこと)
- 減少関数としての指数関数(放射性物質の崩壊、半減期と平均寿命)
- 三角関数(測量での使い方、正弦定理、余弦定理、面積の計算、ピストン運動)
- 三角関数(関数の線形性の話、加法定理、2倍角や3倍角の式、ラジアン)
そして第17章では複素数が導入され、三角関数と指数・対数関数の関係が示される。いわゆる「オイラーの公式」を導いて解説をしているのがこの章だ。
第16章までで関数と日常生活の結びつきを学び、読者はそれぞれの関数について直観的にイメージを膨らませることになるが、オイラーの公式を初めて学ぶ読者にとっては別々のイメージでとらえていた関数、それぞれ無関係と思っていた関数が目に見えない数学の世界の中で美しく結びついていることに深い感動を覚えることだろう。
オイラーの公式を解説している本はいくつもあるが、本書のように第16章までの解説を活かした形で複素関数の世界に入るのが、初めて学ぶものにはドラマチックで強烈な印象を与えると思うのだ。
そして第18章は「指数・対数・三角の大学院」と題して振動の合成などの物理現象や双曲線関数とその逆関数、球面三角法、関数論など大学で学ぶ高度な内容を取り上げて解説をおこなう。内容は高度だが語り口は最後までユーモアたっぷりである。
本書の中から2箇所ほど写真で紹介しておこう。
対数目盛の巻:エース欠場チームが弱いわけは?
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三角関数再登場
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「改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平」
「改訂版 関数のはなし〈下〉:大村平」
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上巻の紹介記事で書いたように、この本は35年以上前から読み継がれている良書だ。改訂版の値段が高いと思われる方は以下のリンクから中古の旧版をお求めになるとよい。アマゾンに投稿された読者によるレビューは旧版のほうでご確認ください。
旧版から改訂版への変更点は「時代環境の変化などにより生じた不自然な箇所」だけなのだという。たとえば本書については次のような変更がなされている。
旧版:第1章では1950年から1970年までの加入電話契約数の変化や日本の発電量などの統計データを対数グラフで紹介している。(当時、携帯電話はなかったので現在の固定電話は加入電話と呼ばれていた。)
新版:統計データにもとづく対数グラフを2010年までの新しいものに、特に加入電話数ではなく携帯電話数の変化のグラフに差し替えている。
内容はほとんど同じなので旧版でも不都合は生じない。
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「関数のはなし〈上〉:大村平」(1976年)
「関数のはなし〈上〉:大村平」(1976年)
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関連記事:
改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平
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改訂版 微積分のはなし〈上〉:大村平
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改訂版 微積分のはなし〈下〉:大村平
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まえがき
第10章:対数目盛の巻
- 対数グラフ
- 急激を単調に
- 対数目盛の仕掛け
- 弱きを助け強きをくじく対数目盛
- なにがなぜ直線になるか
- ネズミ算は直線
- 5倍+2倍=10倍
- 片対数と両対数
- エース欠場がこたえるわけ
第11章:対数の底の巻
- 情報量の単位はビット
- 珍事は情報量が大
- 不確かさかげんがエントロピー
- 底の心は単位どり
- 底倍ごとに1ステップ
- 10の底と2の底
- 2は1の2倍か?
- パーセントに感ずる
- 底のマジック・ナンバーは?
第12章:不思議な定数eの巻
- 2.718281‥‥倍ごとに1ステップ?
- 限りなくゼロに近い「とどのつまり」
- そこにeがあるからだ
- eの生みの親たち
- 思いがけないところにeが
- 神秘的でエレガントなe
第13章:増殖関数の巻
- 複利は雪だるまか
- 複利がキバをむくとき
- 増殖関数登場
- バチ当たりな複利め
- the exponential function
第14章:減衰関数の巻
- 複利で「めべり」する話
- 減衰関数登場
- 放射性物質の崩壊
- 半ちびがはばをきかすわけ
- 半減期と平均寿命
- なんでこうなるの
第15章:三角関数再登場の巻
- 三角関数も対数・指数関数の身内
- 角度から距離を
- 正弦定理を使って
- 余弦定理を使って
- 三角形の面積を求めて
- ピストン運動
第16章:三角関数の三角関係の巻
- 線形と非線形
- 加法定理
- 2倍・3倍・半分の三角関数
- 積を和に和を積に
- 角度の単位
第17章:指数・対数・三角の親戚付き合いの巻
- 指数と三角の縁結び
- 複素数登場
- 加法定理をもういちど
- オイラーの公式とはなにか
- 1の立方根はなにか
第18章:指数・対数・三角の大学院の巻
- 単純な振動
- 振動の合成
- 双曲線関数
- 逆双曲線関数
- 球面三角法
- 関数論のはなし
付録:
- 指数関数表
- 三角関数の公式