とね日記

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改訂版 微積分のはなし〈上〉:大村平

2013年03月06日 20時24分52秒 | 理科復活プロジェクト
改訂版 微積分のはなし〈上〉:大村平」変化と結果を知るテクニック

推薦文
この本は、数学に強い人のために書かれたものではありません。数学なんて嫌いだ必要ない、でもちょっぴりコンプレックスを感じてるんだというあなた、学校で微積の授業についていけなくて数学嫌いになったあなたを対象に書かれたものです。また、教える立場にある人には、タネ本としてお役にたつことでしょう。高校生諸君には、微積の講義を受ける前にこの本を読んでほしいのです。そうすることによって、ずっと見通しがよくなり、その後の勉強が効率よく進むと思われるからです。「数学は嫌いだ」と言ってすまされないことが多い世の中です。ある程度の知識は身につけたいものです。さあ、微積分に挑戦しましょう。


今読んでいる物理の本が分厚く読むのに時間がかかるので、先日から大村平先生の本を紹介している。物理の本は7割ほど読み終わったところだ。(全体で340ページ)

世の中はあらゆるものが変化している。単調に変化しているものもあれば、複雑な変化をしているものもある。それを関数であらわしたとき「変化の様子をとらえる」方法が微分であり、「変化の積み重ねでどうなったか」を求める方法が積分だ。また積分は面積や体積を計算するときにも使われる。

微分と積分は大学の理数系、工学系学部で学ぶために必須であるだけでなく、金融や経済の分野でも欠かせない。本書は高校2、3年で学ぶ微分と積分をすべてカバーしている。

初めて学ぶ人だけでなく高校時代に全く理解できなかった人、途中で落ちこぼれてしまった人、公式を暗記していたものの忘れてしまった人など、あらゆる人に僕は本書をお勧めしたい。

本書は抜群にわかりやすい。それは「微積分の意味を理解する」ことに重点を置き、話しかけるようなスタイルでひとつひとつていねいに説明しているからだ。市販されている参考書や「高校数学やりなおし系」の本とは全く違う印象を持つと思う。知らず知らずのうちに引き込まれていくタイプの本なのだ。

全体の章立てと主な内容は次のとおり。(詳しい目次はこの記事のいちばん下を参照)

第1章:変化ということ
- 世の中のすべては変化している。「変化」を調べるのが微分

第2章:微分と積分の間
- ちり積もった「変化」を集めてどうなるかを計算するのが積分

第3章:極大と極小を求めて
- 最大と極大、最小と極小の違い

第4章:微分の定石(その1)
- 多項式関数、有理関数、無理関数、三角関数、指数・対数関数の微分

第5章:微分の定石(その2)
- 関数の和の微分、関数の積や商の微分、合成関数の微分、媒介変数表示のときの微分など

第6章:身のまわりの微分
- 光線の道筋、徳利からあふれる酒、船を引く早さなどを微分で計算

第7章:面積を求めて
- 積分で面積計算する区分求積法

第8章:積分の定石
- 不定積分、定積分、部分積分、分数関数の積分、置換積分

第9章:身のまわりの積分
- ドーナツなど回転対称な立体の体積、落下運動、バネのエネルギー、複利やネズミ算などを積分で計算


雰囲気を知っていただくために見開きで2箇所ほど紹介しよう。画像クリックで拡大する。

導関数と微係数


身の回りの微分



高校レベルの微積分をマスターした後、下巻では大学レベルの微積分、つまり多重積分、微分方程式、ラプラス変換、偏微分、全微分へと進むことになるのだ。


本書を読み終えると先日紹介した「高校数学でわかるフーリエ変換」をはじめとする竹内淳先生の「高校数学でわかる~」シリーズを読むことができるようになる。

高校数学でわかるマクスウェル方程式」―電磁気を学びたい人、学びはじめた人へ
高校数学でわかるシュレディンガー方程式」―量子力学を学びたい人、ほんとうに理解したい人へ
高校数学でわかるボルツマンの原理」―熱力学と統計力学を理解しよう
高校数学でわかる線形代数」―行列の基礎から固有値まで
高校数学でわかる統計学」―本格的に理解するために
高校数学でわかる半導体の原理」―電子の動きを知って理解しよう
高校数学でわかる相対性理論」―特殊相対論の完全理解を目指して

それぞれの本の詳細は竹内淳先生のホームページでご確認いただきたい。

竹内淳先生の著書一覧:
http://www.f.waseda.jp/atacke/list2.html


今回取り上げた「改訂版」が発売されたのは2007年だ。次回紹介する下巻とあわせてお買い求めいただきたい。アマゾンに投稿された読者によるレビューは旧版のほうでご確認ください。(下巻の紹介記事

改訂版 微積分のはなし〈上〉:大村平
改訂版 微積分のはなし〈下〉:大村平

 


本書は40年以上前から読み継がれている良書なのだ。サイズもコンパクトでページ数も手ごろである。僕が学生時代に読んだのは旧版だ。改訂版の値段が高いと思われる方は以下のリンクから中古の旧版をお求めになるとよいだろう。

旧版から改訂版への変更点は「時代環境の変化などにより生じた不自然な箇所」だけなのだという。学ぶ上では旧版でも全く問題は生じない。

微積分のはなし〈上〉:大村平」(1972年)
微積分のはなし〈下〉:大村平」(1972年)
微積分のはなし〈下〉:大村平」(1972年)


関連記事:

改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d36a9ff4f6196b3fead1b9b6ca4dcf1c

改訂版 関数のはなし〈下〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e668159189be4b635f4d38c3bf252938

改訂版 微積分のはなし〈下〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a42023dc1423f9bdf406723d76f81766

改訂版 行列とベクトルのはなし: 大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/71c73f4258b48518957d5995d96f81ad


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改訂版 微積分のはなし〈上〉:大村平」変化と結果を知るテクニック


まえがき

第1章:変化ということ
- すべては変化している
- オクの細ミチの場合は
- 速度は位置の変化率
- コンコンチキチキのはなし
- 平均速度と瞬間速度
- 瞬間速度を計算するには
- それが微分だ

第2章:微分と積分の間
- 鳥の視野と虫の視野
- ちりも積もれば山となる
- それが積分だ
- 微分と積分の間
- 位置と速度の間
- 世の中は澄むと濁るの違いにて

第3章:極大と極小を求めて
- 極と最との違い
- 長方形の面積は
- 箱の体積は
- 山と谷を見分ける
- メラオ君の場合は

第4章:微分の定石(その1)
- 定石への誘い
- 微分をすると肩の荷が減る
- 肩の荷が分数でも負でも同様に
- 初心忘るべからず
- 三角関数を微分する
- ゼロ分のゼロのこと
- 指数と対数と
- 対数を微分する
- 対数の底のいろいろ
- 導関数と微係数

第5章:微分の定石(その2)
- 和と差にはチャンポンの効果なし
- 積にはチャンポンの効果あり
- 商のチャンポン効果はやや強い
- 因果関係の将棋倒し
- 将棋倒しの功徳
- 「なこうど」はしょせん「なこうど」にすぎず
- 微分できるか、できないか

第6章:身のまわりの微分
- メラオ君の場合は
- 光が曲がるわけ
- 数学モデルを作る
- 定石を使って解く
- とっくりから酒があふれるわけ
- 船を引く速さ
- tでいきなり微分する
- あちらも、こちらも、立てよう

第7章:面積を求めて
- 面積を求めて
- 精度を上げるには
- 小さいほうからのアプローチ
- 大きいほうからのアプローチ
- ちょっと、ひとこと
- 正確なアプローチ
- どちらからアプローチしても、極限は同じ
- ミミズの由来

第8章:積分の定石
- 微分を手掛かりにする
- 原始関数を求めて
- 不定積分と定積分
- 微分公式で積分する
- 和と差、はそのまま積分する
- 積は、部分積分で
- 商は、積分できることもある
- 置換のすすめ

第9章:身のまわりの積分
- 立体を考える
- ドーナツの体積
- 落下の運動
- エネルギーで計算する
- 「ばね」のエネルギー
- 複利のおそろしさ

付録
- 三角関数の公式
- 微分の公式
- 積分の公式
- 級数の計算
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