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とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
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改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平

2013年02月26日 23時57分51秒 | 理科復活プロジェクト
改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平」因果の法則を知るテクニック

内容紹介
実数だけを対象とした初等関数のみを扱う。関数と写像、対応、1次関数、2次関数、3次関数、分数関数、無理関数、三角関数、指数関数、対数関数、逆関数、さらに関数に偶関数と奇関数があり、陽あり陰ありといったはなし、4次元空間、多変数関数などなど、関数の初歩を興味をひく具体例で解説している。


今、僕が読んでいる物理学の本が分厚く、読み終わるまでに時間がかかるので今回の記事から4回に渡り、僕が昔読んだ本からお勧め本を選んで紹介することにした。

大栗博司先生の啓発書やこのブログを読んで、自分も数式入りの物理学の本を読めるようになりたいと思った読者もいることだろう。とはいえ、もともと数学が苦手な人にはハードルが高いのも事実だ。

物理学に限らず一般教養として、または金融や経済などの勉強をするために数学を学びなおしたいと思っている人も少なからずいるに違いない。

けれども「やりなおし系」の数学本はたいてい分厚く、自分ひとりで読んでいくのはなかなかしんどいものだ。もともと数学が苦手だったわけだからおっくうになってしまうのは無理もない。

また結城浩さんの「数学ガール」シリーズを楽しみたいが、自分には難しすぎるという方もいることだろう。

そのような方のために今日の記事を書いてみた。

今日紹介する本を読めば数式に対する苦手意識を克服できるだけでなく、数式の入った本でも楽しめるようになると思う。読み進むうちにいつの間にか魅力にとり憑かれてしまうはずだ。中学生、高校生の副読本としてもお勧めである。


紹介するのは「高校生にお勧めする30冊の物理学、数学書籍」という記事に載せた大村平先生の「~のはなし」シリーズのうちの関数と微積分の4冊だ。アマゾンにも内容は書かれていないし、ネット上にも詳細情報が見当たらない。大型書店にしか置いていない本なので見る機会も少ないだろう。だからこのブログで詳しく紹介することにしたのだ。

ぜひこれら4冊を読んで「数式好きな人」になってほしい。中学生、高校生の副読本としてもお勧めだ。


この記事で紹介するのは「改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平」。なんとこの本1冊で中学1年から高校3年までの数学の教科書で扱われるすべての「関数」にフォーカスをあてている。高校までの数学は行列やベクトル、数列など内容は盛りだくさんだが、数式アレルギーを取り除くためにはまず関数に集中するのがいちばんだ。

表紙の裏には次のように書かれている。

『手元にある中1の数学の教科書の中に、「ともなって変わる2つの数量x、yがあって、xの値を決めると、それに対応してyの値がただ1つ決まると き、yはx の関数であるという」とあります。この説明文を一読されて”つらい気分”を味わったのなら、あなたは、この本のりっぱな読者です。』

章立ては次のとおり。対応する学年も明記しておく。詳細目次はこの記事のいちばん下を参照していただきたい。本書の雰囲気がつかめるだろう。

第1章:関数登場の巻:中2
第2章:1次関数の巻:中2
第3章:2次関数の巻:中3、高1
第4章:3次関数の巻:高2
第5章:分数関数の巻:高3
第6章:無理関数の巻:高3
第7章:三角関数の巻:高2、高3
第8章:指数関数と対数関数の巻:高2
第9章:関数総がらみの巻:高2、高3


上巻ではこれらの関数の基礎を学ぶ。挿絵やグラフが豊富で、日常的な話題を取り上げながらそのテーマに当てはまる関数をユーモアあふれる言い回しで解説していく。これなら教科書や参考書で挫折した人でも最後まで読み通すことができると思う。

百聞は一見にしかずということで、見開きで2箇所ほど写真で紹介しよう。クリックで拡大するようにしておいた。

例1)二乗三乗の法則:
体のサイズが大きい人は靴のサイズも大きいのだが、靴がいたみやすいのはどうして?


例2)分数関数についての説明
分数関数をあらわす式に「可愛げがある」とか「いかにも憎々しげで」などと感情移入しながら説明しているのが本書のユニークなところだ。



今回取り上げた「改訂版」は昨年の5月に発売されたばかりだ。次回紹介する下巻とあわせてお買い求めいただきたい。アマゾンに投稿された読者によるレビューは旧版のほうでご確認ください。

改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平
改訂版 関数のはなし〈下〉:大村平
 


実をいうとこの本は35年以上前から読み継がれている良書なのだ。サイズもコンパクトでページ数も手ごろである。僕が学生時代に読んだのは旧版だ。改訂版の値段が高いと思われる方は以下のリンクから中古の旧版をお求めになるとよいだろう。

旧版から改訂版への変更点は「時代環境の変化などにより生じた不自然な箇所」だけなのだという。たとえば本書については次のような変更がなされている。

旧版:「バカチョン関数」⇒改訂版:「らくらく関数」
旧版:「アベック曲線」⇒改訂版:「カップル曲線」

内容はほとんど同じなので旧版でも不都合は生じない。
旧版の購入はこちらからどうぞ。

関数のはなし〈上〉:大村平」(1976年)
関数のはなし〈上〉:大村平」(1976年)
関数のはなし〈下〉:大村平」(1977年)


次の記事は下巻の紹介。さらに面白くなる。


関連記事:

改訂版 関数のはなし〈下〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e668159189be4b635f4d38c3bf252938

改訂版 微積分のはなし〈上〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/61b91ea9f2a66c66a33c507aa2c2d0c0

改訂版 微積分のはなし〈下〉:大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a42023dc1423f9bdf406723d76f81766

改訂版 行列とベクトルのはなし: 大村平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/71c73f4258b48518957d5995d96f81ad


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改訂版 関数のはなし〈上〉:大村平」因果の法則を知るテクニック


まえがき

第1章:関数登場の巻
- 浮世の因果律
- 関数ってこんなものさ
- 関数がいっぱい
- 関数イコール写像
- 対応のルールが問題

第2章:1次関数の巻
- らくらく関数
- 正比例を式に書くと
- aが傾きを決める
- aにも氏素性がある
- らくらく関数に毛が生えて
- 1時間数は基本給+歩合給

第3章:2次関数の巻
- 2乗さんこんにちは
- aは神様です
- 2次関数の標準的スタイル
- 2次曲線は永遠の処女
- 坊さんのロバってなんなのさ
- 放物線の神秘
- 関数でもクイズが解ける

第4章:3次関数の巻
- デカは空を飛べない
- 長さは面積に2乗で効く
- 長さは体積に3乗で効く
- 二乗三乗の法則
- 3次曲線は急成長急転落
- 3次曲線に山あり谷あり
- 袈裟斬りはaが正
- ノッペラボーもあるか

第5章:分数関数の巻
- あちら立てればこちらが立たぬ
- 反比例ただいま参上
- カップル曲線
- どこで泣き別れるか
- 混じり合った2組のカップル
- 分数関数は ばらせ
- 頭でっかちも ばらせ

第6章:無理関数の巻
- 関数を裏から見れば
- 王子と乞食の物語
- 1次関数に陰日向なし
- 2次関数の逆関数は?
- ただし書きにご用心
- 再び2次関数の逆関数は?
- 2次関数の裏返しは無理

第7章:三角関数の巻
- シン・コス・タンの音がする
- sinさん出番です
- cosさん出番です
- tanさん出番です
- 双子3組で6兄弟
- 三角関数の逆関数は?

第8章:指数関数と対数関数の巻
- 複利は雪だるま
- ソコに指数関数がある
- しつこい話
- ゼロ乗はなぜ1か
- ソコに対数関数もある
- 対数関数の超能力
- 底のソコは知れたもの

第9章:関数総がらみの巻
- 象を輪切りにするはなし
- 関数にも偶と奇がある
- 関数にも陰と陽がある
- 因果はめぐる
- 媒介された関数
- 変数がふえると さあたいへん
- 4次元空間にあそぶ
- ロマンチシズムを追って

付録
- 常用対数による数値計算
- 常用対数表 log x
- 三角関数表(sin, cos)表
- 三角関数表(tan, cot)表
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2 コメント

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グラフック (hirota)
2013-02-27 11:36:30
関数ときたらグラフが欠かせませんが、これからはweb上あるいは電子本で即座にグラフを描いてみせるタイプが主流になるんじゃないですかね?
ベキ級数で関数を近似していったりフーリエ級数で好き勝手な形を作ったり微分方程式で不可思議な曲線を描いたり面白さは尽きないですね。
返信する
Re: グラフック (とね)
2013-02-27 12:12:47
hirotaさん
そうですね。Web上にはとても魅力的なグラフ描画ができる教材がありますね。今どきの中高生はパソコンを使うのが普通でしょうけど、パソコンをこのような形で使う面白さを知って欲しいと思います。(遊びに使うだけでなく。)

僕も自在にグラフィックを描けるようJavaアプレットなどを活用できるようになりたいです。Excelのグラフ描画機能は便利ですけどね。(笑)
返信する

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