とね日記

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量子力学 II:猪木慶治、川合光

2010年10月23日 16時09分14秒 | 物理学、数学
量子力学 II:猪木慶治、川合光

量子力学 I:猪木慶治、川合光」についての記事を書いてから1ヶ月がたとうとしている。それだけ僕がこの第2巻には難儀したということだ。全体的な理解度は60~70パーセント。話の筋道にはどうにかついていけるが、計算の手順はあやふやにしか理解できていない箇所が目立った。優等生向けのこの本は僕には向かなかった。

でもそれはあくまで(優等生ではない)僕の感想だ。この分野の専門家になろうとする方や院試対策のためには、この教科書のレベルの問題は解けるようになっていたほうがいいのだろう。

この第2巻で取り上げられている範囲について「解けなくても理解できればよい」というレベルであれば、小出先生の教科書のほうがずっとわかりやすい。

この第2巻の第13章「原子・分子・原子核・素粒子」や第15章「Dirac方程式」、第16章「経路積分」は、入門的な教科書では取り上げられないことが多い。これらの発展的なテーマを取り入れているところが本書のユニークなところで、量子場の理論粒子や素粒子物理学を意識したものになっている。

7月からはじめた「量子力学の教科書の読み比べ」であるが、今回の本でひとまずおしまいにしよう。

さて、次は何を読もうかな。物理書にしようか数学書にしようか迷っているところだ。

余談ながら猪木慶治先生の「猪木」は「いのき」ではなく「いぎ」とお読みすることをおことわりしておこう。

量子力学 I:猪木慶治、川合光
量子力学 II:猪木慶治、川合光
 

量子力学 II:猪木慶治、川合光」目次

8 磁場中の荷電粒子
  1.外場中の古典粒子
  2.外場中の粒子の量子力学
  3.一様な磁場中の荷電粒子
  4.Aharonov-Bohm効果
  5.スピンをもつ粒子の固有磁気モーメント
  6.章末問題
9 摂動論
  1.時間によらない摂動論1-縮退のない場合
  2.時間によらない摂動論2-縮退のある場合
  3.相互作用表示
  4.時間による摂動論
    1.有限時間だけ働く摂動によ遷移
    2.t=±∞で一定値になる摂動
    3.周期的な摂動
  5.連続スペクトルの遷移
    1.周期摂動による離散準位から連続準位への遷移
    2.時間によらない摂動による連続準位間の遷移
  6.断熱因子
  7.章末問題
10 WKB法(準古典的近似法)
  1.量子力学より古典力学への移行
  2.準古典近似
  3.接続公式
  4.Bohr-Sommerfeldの量子条件
  5.ポテンシャルの壁を透過する確率
  6.章末問題
11 同種粒子
  1.フェルミオンとボソン
  2.簡単な例
    1.同種の2粒子からなる系
    2.相互作用のない同種粒子からなる系
  3.第二量子化
    1.ボソンの第二量子化
    2.ボソンの場の演算子
    3.フェルミオンの第二量子化
    4.フェルミオンの場の演算子
  4.章末問題
12 散乱問題
  1.散乱断面積
  2.散乱断面積の計算
  3.散乱状態の波動関数に対する積分方程式
  4.Born近似
  5.部分波と位相ずれ
  6.いくつかの応用
  7.Coulomb散乱
  8.同種粒子の散乱
  9.Lippmann-Schwinger方程式-散乱理論の形式論
  10.章末問題
13 原子・分子・原子核・素粒子
  1.2電子原子-ヘリウム原子の基底状態
  2.ヘリウム原子の励起状態
  3.多電子原子
  4.Hartree近似
  5.1電子原子(アルカリ原子)-スピン軌道相互作用と微細構造
  6.外部磁場中の原子スペクトル
  7.Born-Oppenheimerの方法
  8.原子核の殻模型
  9.素粒子の模型
  10.章末問題
14 電磁場の量子化
  1.スカラー場の量子化
  2.電磁場の自由度
  3.自由な電磁場の量子化
  4.物質と電磁場の相互作用
  5.光の吸収・放出に関するEinsteinの関係式
  6.双極子輻射
  7.章末問題
15 Dirac方程式
  1.共変なスピノル場
  2.Dirac方程式
  3.粒子と反粒子
    1.Dirac粒子の1体問題
    2.Diracの海
    3.Dirac場の第二量子化
  4.章末問題
16 経路積分
  1.最小作用の原理と経路積分
    1.古典論における最小作用の原理
    2.配位空間における経路積分
  2.正準形式と経路積分
    1.正準形式における最小作用の原理
    2.位相空間における経路積分
17 付録
  1.Airy関数
    1.Airy関数の積分表示
    2.Airy関数の漸近形

欧文人名索引
事項索引


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