子育てファンクラブ高知

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連載第4回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・生命の尊さと生命のつながりを学ぶ(その3)

2011年08月31日 | 保育所・幼稚園

連載第4回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・生命の尊さと生命のつながりを学ぶ

 (その3 生き物にはそれぞれに生きる場所がある ②カマキリの生きる場所へ)

 

       高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第16巻第1号)より転載〕

 

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生命の尊さと生命のつながりを学ぶ 

 

 すくすくの森には多くの生命の営みがあります。その生命の営みに囲まれて子どもたちは一日を過ごします。草花を摘み、虫や小さな生き物を追いかけ、捕まえて遊びます。その行為が相手の生命を奪っているとか、そこに暮らす動植物の生命の営みに影響を及ぼすなどとはその時は気づきません。 

しかし、虫や小さな生き物に対する親しみが増すに連れて、彼らにも家族がいるに違いないと考えるようになったり、なぜ草花はそこに咲くのだろうと考えるようになります。そして先生と一緒に「どうしてかな」と考えたり、絵本や図鑑をひもときます。そのなかで、自然の中にあるものは、それぞれに役割があり、つながりあって生きているということがわかるようになります。 

すると子どもたちは、段々、むやみに花を摘んだり、虫を捕まえて乱暴に扱ったりしなくなります。以下では、子どもたちが実際に生命とかかわる中で、何を感じ、何を学んでいくのかについて述べていきたいと思います。 

 

2 生き物にはそれぞれに生きる場所がある 

  

 マキリの生きる場所へ

 

 沈の時間が数十秒流れました。(後で担任は、その数十秒がとても長いように感じたと言っていました。)そしてその沈黙を破るようにF二くんが、「そうしよう」と言い、続いてみんなが頷いて「そうしよう」ということになりました。

そう決まると、出来るだけ早くしないとカマキリは全滅すると言い出しました。「今日、行かんといかん」(今日、いかないとだめだ)とF二くん。「そうで!!」そうしないとどんどんカマキリがおらんなる、どうにかしてくれと言わんばかりに訴えだした子どもたちに担任は、「ちょっと園長先生に相談してくるから、待っていてください」と言って職員室にやってきました。

 

担任は子どもたちに部屋で待つように言ったのですが、担任の後には、子どもたちが連なっていて事の行方を心配そうに見つめていました。私は時計を見て、その時間があるかどうか担任に聞きました。担任はしばらく考えて、今からお山に行って、カマキリを返して帰ってきたとしたら、昼食時間は30分だが、それで食べ終えて帰る支度が出来るのかどうかと子どもたちに確かめました。

 

全員が顔を見合せ、いつも昼食に時間のかかる何人かに多くの目が注がれました。注目された子どもたちは「僕大丈夫で」「私もはやく食べる」「頑張る」等と答えました。「じゃ、みんなで園長先生にお願いしてください」と担任に促されて、まるで調子を合わせるかのように「園長先生お願いします」と子どもたち。

 

「わかりました。今から森にいるバスのおじちゃんにお願いして用意が出来たら呼びますから、お部屋で待っていてください」と答えると、子どもたちは「ヤッター!!」と喜びの声を上げ、近くの友だちと「よかったね」と言い合いながら保育室へ帰っていきました。

 

 それから、飼育箱を誰が持つかで騒動が起こりましたが、すったもんだ言っているうちに、やっぱりカマキリの卵を見つけて、毎日みんなにカマキリのことを教えてくれたK季とR太が持っていくことになりました。バスの用意もできて、みんなで意気揚々とバスに乗り込み、森へと向かいました。

 

森に着いて、カマキリの卵を見つけた場所に行き、一人ひとり、そっとカマキリを手のひらに乗せて、別れを惜しむようにカマキリを草原に返していきました。「元気でね。」「大きくなってね。」「また会おうね。」などと言う子どもたちの声に、担任も私も目頭が熱くなってことを今でも覚えています。

 

 このエピソードは、保育者を通じてクラス便りやつき組の子どもたちから、他のクラスや先生に口々に伝えられていきました。そして、「カマキリはね、森でしか生きていけんがで。」から年を経ていくうちに、「虫はね、森でしか生きていけんが。」になって行きました。それ以来、誰かが虫を捕まえて持って帰ろうとするのを見ると、別の誰かが「持って帰られんがで。」と言うようになりました。先生も、折に触れて子どもたちにそのエピソードを語り聞かせるようになっていました。

 

 先生から子どもたちへ、子どもたちから子どもたちへと伝えられていくこのエピソードを、なぜか子どもたちはすんなりと受け入れて「虫はね・・・。」と言われると、素直に虫をもとの草原に戻してバスに乗り込みます。虫には、虫の生きる場所があり、生きていく術があることを知っていく子どもたちは、友だちの関係の中でも、相手の立場に立って物事を考えるようになっていくのではないかと思っています。

 

 

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HN:ちるどれん  

かしこくて、たくましい子どもに育てる(高知市・若草幼稚園の実践) 

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「アジロ自然の森」でのこぎり体験して遊びませんか

2011年08月31日 | 子どもの遊び場

立秋の候、いよいよ山の季節ですね。

「アジロ自然の森」もみんなで楽しめる「イべント」を計画しています。

 9月は、こどもも大人も森に入ってのこぎり体験をし、森を綺麗にして、

自分たちで切った木で「クレフと」を作って遊びます。

 間伐材皮はぎ体験の出来るよ。実におもしろくてはまるよ

 

 

アシロ山の自然と環境を守る会

TEL 843-8533

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 (その2 生き物にはそれぞれに生きる場所があるカマキリの飼育

 

       高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第16巻第1号)より転載〕

 

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生命の尊さと生命のつながりを学ぶ 

 

 すくすくの森には多くの生命の営みがあります。その生命の営みに囲まれて子どもたちは一日を過ごします。草花を摘み、虫や小さな生き物を追いかけ、捕まえて遊びます。その行為が相手の生命を奪っているとか、そこに暮らす動植物の生命の営みに影響を及ぼすなどとはその時は気づきません。 

しかし、虫や小さな生き物に対する親しみが増すに連れて、彼らにも家族がいるに違いないと考えるようになったり、なぜ草花はそこに咲くのだろうと考えるようになります。そして先生と一緒に「どうしてかな」と考えたり、絵本や図鑑をひもときます。そのなかで、自然の中にあるものは、それぞれに役割があり、つながりあって生きているということがわかるようになります。 

すると子どもたちは、段々、むやみに花を摘んだり、虫を捕まえて乱暴に扱ったりしなくなります。以下では、子どもたちが実際に生命とかかわる中で、何を感じ、何を学んでいくのかについて述べていきたいと思います。 

 

2 生き物にはそれぞれに生きる場所がある 

カマキリの飼育 

 10年も前でしょうか。年中児のつき組で、カマキリの卵を持って帰り、赤ちゃんが生まれたら育てようということになりました。当時の担任のレポートから、事例を紹介します。見つけたのは、K季とR太でした。子どもたちは、それから毎日、観察を続けました。そしてある朝、「生まれちゅう、生まれちゅう」と大騒ぎになりました。

 

孵化したばかり幼虫は、驚くばかりの数で、飼育箱の中をガサゴソ、ガサゴソと動き回っています。最初に見つけたK季は、驚きと喜びを友だちみんなに伝えたくて、来る子ども来る子どもを飼育箱に誘っていました。

誘われて飼育箱を覗く子どもたちの驚きの声は段々増えて、興奮の渦が部屋全体に広がるようでした。餌は草と思っていた子どもたちはその日は幼稚園の庭にある草を摘んで飼育箱に入れて帰りました。

 

 次の日も次の日も同じことを繰り返していましたが、4~5日たったある日、K季くんが草を食べた様子がないこと、カマキリの数がめっきり減っていることに気付きました。

「たいへん、たいへん、カマキリがいなくなってる!!」と友だちのR太に話しました。「ほんとうや、どうして」またまたクラス中が大騒ぎになりました。

 

カマキリはいったい何処へ行ったのだろうか。草を食べると思っていたのになぜ食べないのだろうか。この日は、逃げ出さないようにフタをきちん確かめて帰り、明日はキューリやナス、スイカを持ってこようということになりました。

 

さてあくる日、スイカやキューリを持って来る子どもをしり目に「スイカもキューリも食べんで」とF二くんが言うではありませんか。「エッ、なんで!!」と驚く子どもたちにF二くんは「お父さんが、カマキリは草とか野菜は食べんて言うた、肉食やき、他の虫とかを食べるって言いよった」またまたクラス中が大騒ぎ。

 

「どんな虫食べるが?」「ハエとかゴキブリも食べるって言いよったで」それでは明日はハエを取って来ようということになりました。次の日、数人の子どもがハエを持って来て、飼育箱に入れて様子をうかがいましたが、カマキリは全く食べようとはしません。

子どもたちは口々に「食べんで、食べん」「どうして食べんがやろ」と言い合いながら、めっきり数の減ったカマキリの数を数えて困ってしまいました。

子どもたちのやり取りを見ていた担任が「どうする?」と聞きました。「F二くんがハエやったら食べるって教えてくれたけんど、食べんね」

担任「どうしてやろうね」

子どもたち「ウーン、わからん」

担任「先生にも詳しいことは分かりません。どうしたらいいかな」

子どもたち「F二くんのお父さんに聞いてみたら」「そうでね」

担任「そうね、聞いてもらいましょうか」

するとM敏が、「えーとね、先生、僕、カマキリの絵本と図鑑を年長さんのゆり組さんで見たことがあるで」と言いました。「借りに行こう!!」と数人の子どもがどどっと走り出し、それについていくようにクラスのみんなが走り出しました。

ゆり組さんの子どもたちは何事かと驚いたようですが、快く図鑑と絵本を貸してくれました。つき組に帰ると、我先に絵本や図鑑に群がり、ケンカさえ起こりそうでした。

 そこで担任が読むことを引き受け、子どもたちに話して聞かせました。そこには、カマキリは肉食で、しかも生きたものしか食べないということが書いてありました。そして、エサがない時は仲間を食べることも分かりました。

毎日、カマキリの数が減り、残ったカマキリが大きくなっているのがなぜかわかった子どもたちは困ってしまいました。数人の子どもが、「ハエを生きたまま捕まえてくる」、「ゴキブリは夜出てくるき、待ちよって捕まえてくる」等、何とか生きたままで虫を持ってくると言いました。しかし、実際にそれはなかなか大変で、毎日はとても無理だということがわかりました。

みんなで困っていると、K季くんとR太くんが顔を見合わせ、そしてみんなに問いかけるように「すくすくの森に返そう」と言いました。カマキリの卵を見つけたのはこの二人で、持って帰ってきてからも、毎日カマキリの様子を観察し、その変化をみんなに伝えていたのもこの二人でした。

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連載第4回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・生命の尊さと生命のつながりを学ぶ

 (その1 自分だけのものではない生命 )

       高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第16巻第1号)より転載〕

 

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生命の尊さと生命のつながりを学ぶ 

 

 すくすくの森には多くの生命の営みがあります。その生命の営みに囲まれて子どもたちは一日を過ごします。草花を摘み、虫や小さな生き物を追いかけ、捕まえて遊びます。その行為が相手の生命を奪っているとか、そこに暮らす動植物の生命の営みに影響を及ぼすなどとはその時は気づきません。

 

しかし、虫や小さな生き物に対する親しみが増すに連れて、彼らにも家族がいるに違いないと考えるようになったり、なぜ草花はそこに咲くのだろうと考えるようになります。そして先生と一緒に「どうしてかな」と考えたり、絵本や図鑑をひもときます。そのなかで、自然の中にあるものは、それぞれに役割があり、つながりあって生きているということがわかるようになります。

 

すると子どもたちは、段々、むやみに花を摘んだり、虫を捕まえて乱暴に扱ったりしなくなります。以下では、子どもたちが実際に生命とかかわる中で、何を感じ、何を学んでいくのかについて述べていきたいと思います。

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Ⅰ 自分だけのものではない生命 

  

あるとき、昆虫の大好きなU太とU輝が、すくすくの森に着くとさっそく虫探しに草むらへと入って行きました。草が少し動いたことに目ざとく気づき、「何かおる」とU太、「どこ、どこ」とU輝、「そこよね、そこ」とU太が言いながら指をさすと、カマキリがごそごそと動いていました。「ほんとや捕まえよ」と言うや否やカマキリはU太の指にはさまれていました。

 

U輝「おっ怒っちゅうでこのカマキリ、見て、カマを振り上げて、おもしろいね」 

U太「ほんまや、ほんまや」 

U輝「なんで怒るがやろうかね」

U太「つかまるがが嫌やきよ」

U輝「そうでね」

U太「けんど、せっかくつかまえたきよ、幼稚園に持って帰って飼おうよ」

U輝「そうしよう、そうしよう、虫かごもあるきよ」

U太「先生によ言わないかん、黙って持って帰ったらいかんで。」

U輝「園長先生どう思う?」と側にいた私に聞いてきました。

私「どうかな。幼稚園に持って帰ってうまく飼えるかな。」

U太「大丈夫でね」U輝「大丈夫で。」そして、二人は担任を探して歩き始めました。

U太「U輝くん、このカマキリよ、ちょっと小さいね、子どもやろか」

U輝「そうでね、大人のカマキリはもっともっと大きいでね」

U太「そうでね」

 

二人は向かい合ってしばらくカマキリを上にしたり下にしたりして眺めていました。カマキリは、観念したのか、疲れたのか、もう抗うこともなく、指の間で目を右に左に動かすばかりです。

 

U輝「もし子どもやったらどうする?」

U太「連れて行かれたら一人になるで、寂しいでね」

私「そうか、カマキリにも家族がおるもんね。」

U輝「お父さんお母さんが探すかも知れんし」

U太「もとのところに返しちゃる?」

U輝「そうでね、そうしよう」

 

 また、ここにくれば会えるだろうし、今度会った時には大人になっているのかもしれないと、二人はもとの所にカマキリを返しに行きました。きっと、おとなしくなってしまったカマキリが、かわいそうになったのでしょう。子どもたちは、生き物の形や大きさから、自分や自分の家族に重ねて考えることがよくあります。この時も、このカマキリが子どもなら自分、自分だったら家族がいると思ったに違いありません。二人は勇んでカマキリを返しに行き、放ったときはホッとした表情さえ見せました。

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 このエピソードに限らず、子どもたちは虫やカエル、イモリ等いろいろな小さな生き物を捕まえて遊びます。大事そうに持っていると大概、まわりに友だちが集まってきます。そして、「それは何?何処で捕まえたが」から会話が始まり、捕まえたものを見ながら、捕まえた物の色や形、感触等について会話が弾んでいきます。

 

捕まえた物の家族構成に話がいくのは、子どもの特性なのでしょうか。以前、私たちが子どもに投げかけた言葉が脈々と受け継がれているのでしょうか。不思議にこれはお父さんやろか、お母さんやろか、子どもやろかと話が進んでいきます。そして、いなくなったら寂しいに違いない、悲しむに違いないと言い、帰る時には元いた場所か近くの草むらに返して帰ります。

 

子どもたちは、このような経験を繰り返しながら、生命は自分だけのものではなく、まわりの人々にとっても大切なものだということがわかってきます。

 

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