子育てファンクラブ高知

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その7 年少児から年長児へ )

2011年04月02日 | 携帯からの記事

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その7 年少児から年長児への育ちと知的好奇心 )

          高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕

 

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3.知的好奇心を育む 

(5)年少児から年長児への育ちと知的好奇心 

年少児は、出会うもの全てに驚きながら、模倣を通して対象物が何であるのかにせまっているようです。知の扉を開く時期と言えるでしょう。

 

そして、年中児になると、自分の姿、形、生活の仕方を通して、あれはなんだろう、どうしてだろうと考えるようになります。興味、関心をもった物にこだわり、虚と実を行ったり来たりしながら、対象物を自分とは違うものとして見ることができるようになります。

 

年長児になると、相手を対象化できるようになり、自分とは違う存在を「知る」ことの喜びが膨らんできます。そして、知るために、聞く、調べるといった具体的な方法を用いて、対象物の在り様を理解できるようになるのです。

 

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 友だち同士のかかわりにも特徴があります。

年少児は、同じ空間を共有するなかで、自分と同じように楽しむ他者の存在を感じていきます。

 

年中児は、同じ興味、関心を持つもの同士で様々なことを語り合い、つながりを深めていきます。

 

年長児になると、それぞれの興味や関心にしたがってわかったことを情報化して伝え合い、お互いに刺激し合ながら知の世界を深め、広げていきます。

 

子どもたちは、すくすくの森で多くの物に出会い、多くの出来事に出会います。見て、聞いて、触れて、身体と心を動かして、それぞれの時期における知的好奇心を満たしていきます。急ぐことなく、この発達のプロセスをしっかりと通過していくことが、とても大切だと思います。

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HN:ちるどれん  

かしこくて、たくましい子どもに育てる(高知市・若草幼稚園の実践) 

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その6 対象化する年長児 )

2011年04月02日 | 携帯からの記事

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その6 対象化する年長児 )

          高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕

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3.知的好奇心を育む 

(4)対象化する年長児 

出会うものに驚き、その動きに同調し、模倣しながら身体で違いを感じるような年少の時期、自分の姿、形、生活の仕方と比較しながら対象物が何か、なぜそうなっているのかを知ろうとする年中の時期を経て、年長児は出会うものを対象化して、ありのままに捉えることができるようになります。そして、それが何か、何故そうなっているのかについて知ろうとする意欲や態度が著しく育っていきます。 

 

②知の深まりと広がり

 

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 年長児になると、知的探究心が旺盛になり、聞く、調べるということを積極的に行います。興味や関心を持ったものについて、名前だけでなく色々なことを知りたくなります。

 

卵から幼虫、幼虫から成虫になる蛾や蝶の仲間、池に産卵するトンボの様子、そしてヤゴからトンボへ、卵からオタマジャクシ、やがてカエルになっていく様子をつぶさに見る子どもたちは、その生態に興味を持つようになります。

 

そこから、仲間について語るようになり、分類らしきこともするようになります。また、どんな所に住み、どんな物を食べているのかも積極的に調べます。

 

花が咲いて実がなり、落ちて芽が出る様子を見て、なぜ実を落とすのだろうと考え始めます。絵本や物語を通して、生き物の営みや生態系のことを知ると、森にあるものを大切にしようとする心も芽生えてきます。森は、知の宝庫です。

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HN:ちるどれん  

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その5 対象化する年長児 )

2011年04月02日 | 携帯からの記事

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その5 対象化する年長児 )

          高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕

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3.知的好奇心を育む 

(4)対象化する年長児 

出会うものに驚き、その動きに同調し、模倣しながら身体で違いを感じるような年少の時期、自分の姿、形、生活の仕方と比較しながら対象物が何か、なぜそうなっているのかを知ろうとする年中の時期を経て、年長児は出会うものを対象化して、ありのままに捉えることができるようになります。そして、それが何か、何故そうなっているのかについて知ろうとする意欲や態度が著しく育っていきます。

 

①よく見る、試す、調べる、比べる、わかる

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 すくすくの森は、目に付くもので125種の昆虫がおり、虫が好きな子どもにとっては垂涎の的です。ある時、T先生が草の幹に捕まっている4cmほどの幼虫を手に「これ何かなー。」とつぶやきました。

目ざといUくんが「虫や!」と走り寄るとNくんも飛んできて、「虫やないで幼虫で。」と言いました。すると「幼虫も虫で、」と言い返し、「そうやないで。」と言い合っているところに、Yくんがやってきて「何の幼虫やろうか。」と言いました。「うーん、わからん。」とUくん。通りかかったAくんとHくんも仲間に入り、先生を囲んでそれぞれが思いつくことを口々に言い始めました。

 

A「先生、貸して。(幼虫を目の高さに持っていき) 

ウーン、どっちが頭でどっちがお尻やろう。」 

(ここで、取り合いになりますが、通りかかったKさんにケンカしていてはわからないままだといわれ、気を取り直して虫に集中します。)

A「あのよー、おじいちゃんが尖っちゅう方がお尻って教えてくれたで」

H「両方尖がってんじゃん。」

A「けんどよー、ちょっとこっちが尖っちゅうでね。」

他の4人は、半信半疑の様子で幼虫をながめています。身じろぎもしない幼虫に

H「動けばわかるんじゃない?前がさー、頭で後ろがお尻でしょ。」

U「けど後じさりするかもよ。」N「触ってみる?うごくかもしれん」

Y「どうやって触る?」N「毛虫かもしれん」Y「毛は無いで、Nくん、触ってみたら?」

H「そっとさー、触ったら大丈夫じゃないの?大丈夫だよ。」

そしたらHくんが触れと、5人はグロテスクな幼虫に少し怖気づいてるようです。Hくんは、触らないで息を大きく吹きかけました。「動いた!!」と5人。虫は、草にぶら下がるようにして動いています。

K「あっ、逆さになっちゅう、落ちん!」(走ってきて、こう言うとまたどこかへ)

U「えっ、本当や何で落ちんが」Y「見てみ、足がいっぱいあって草にくっついちゅう。」

A「足がタコの吸盤みたいになっちゅうでね。」

Hが今度は手で押すように触ると、幼虫は緑の小さな固まりを排泄しました。

U「あっ、ウンコした。」

A「やっぱりおじいちゃんの言うとおりや、尖っちゅう方がお尻やった。ウンチした方が尖っちゅうで、ほら。」今度は4人とも頷きながら、

N「この幼虫は、草を食べるがでね、ウンチ草色やきね。」

U「そうそう、僕らーも食べた色のウンコが出るき。」

N「触ったき、腸が動いたがやろうかね。」

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このように、5人は幼虫に出会ってから40分以上も、見て、触って、持っている知識や意見を交換し続けていました。5人は、蛾の幼虫か蝶の幼虫であるところまで推測し、そこで帰る笛がなってしまいました。

この幼虫が何の幼虫か知りたい気持ちが強く、持って帰りたいといいましたが、すくすくの森の約束ではもって帰らないことになっています。「写真に撮ってもらう」とUが言い、みんなでそうしてもらおうということになりました。

Uが担任の先生に頼みに行き、「先生がね、絵に描いて行きややと。」と戻ってきました。紙と鉛筆を使って、Aが描き始めました。描いている様子を見て周りの仲間が「そんなに大きくないじゃん。」などというので、一度Hに交代し、また「もう少し小さい。」「足がそこにない。」と周りが言うので、なんと私にまわってきました。

「えっ、先生が?」というとUくんが「もう時間がないし、急がんといかんし、園長先生絵が上手ながやろ。」とどきっとする発言ですが、ここは度胸で引き受けました。それから、ああじゃない、こうじゃない、ここが違う、そこが違う、足の数、点々の数、背中には毛もあるといわれ、「うるさいなー」と思いながらもその観察力に感心しました。

担任がやってくると、「まぁまぁに園長先生が描いてくれたき、帰ったら図鑑で調べるが」とのこと、担任のねらいはわかっていたので思わず私と担任で顔を見合わせ笑いました。

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 幼稚園に戻ると、手洗いうがいを済ませて5人は図鑑にまっしぐらです。昆虫図鑑を真ん中に顔を寄せ合って、調べ始めました。最初は、絵と見比べるというよりは、それぞれの記憶している特徴をああでもない、こうでもないといいながら調べており、キマダラヒカゲかヒメアカタテバ、キタテハ、アカタテハではないかというところまで突き止めました。

そこから、図鑑と、記憶と絵を比較し始め、キマダラヒカゲには毛がなく、キタテハは小さいということで、アカタテハかヒメアカタテバということになりました。そこでAがすくすくの森でアカタテハが飛んでいたと言い、他の子どもも見たことがあるということで、アカタテハと言うことになりました。

しかし、足と毛の生え方からいってすっかり納得したわけではなく、今度行ったらもう一度見つけるといっていました。他の子どもたちも、図鑑を手に取り、その日出会った生き物について色々と調べ、意見交換しています。その姿はとても生き生きとしていて、知る喜びとそれを共有する喜びにあふれています。

 

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