小関順二公式ブログ

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ストライクゾーンの拡張と時短

2015-04-23 13:51:17 | 日記・野球のヒント

 先日(4/22)、東都大学リーグの亜細亜大対駒澤大、中央大対国学院大を見て、世界的なテーマ「時短」について考えさせられた。メジャーリーグは今年から攻守交代の時間を2分25秒(全国放送される試合は2分45秒)に定めるなど、本格的な“時短”に取り組んでいる。この時短は果たして実際のプレーにどのような影響を及ぼすのだろうか。

 プロ野球の序盤戦の話題にホームラン数の激減がある。その原因は様々に取り上げられていて、説得力のある意見の1つに「ストライクゾーンの拡張」がある。昨年と今年の4月22日現在のホームラン数は昨年の196本に対して今年は127本。試合数で比較していないので100パーセントの説得力はないが、激減していることは間違いない。その原因をストライクゾーンの拡張に求めるのは4/22に観戦した東都大学リーグの2試合に、そう思わせるシーンがあったからだ。

 第1試合の駒大2-1亜大を見て主審のストライクゾーンが広いなと思った。さらに両校の打者に待球タイプが多かった。この2つの要素のためバッテリーは早い段階で投手優位のカウントを作ることができ、追い込まれた打者はストライクゾーンの広さもあって低めの球に手を出して凡退するシーンが続いた。

 第2試合の中大5-2国学大でもストライクゾーンの広さは変わらないが、両校とも早いカウントから積極的に打っていく打者が多かったので投手のペースにならなかった。とくに積極的に打って出たのが中大である。先制のホームランを含む3打数2安打2打点の5番泉澤涼太(4年・右翼手)は、第1打席が1ストライクからの2球目をソロホームラン、第2打席が初球をセンター前に弾き返して三塁走者を迎え入れ、9番保坂淳介(2年・捕手)は第1打席、初球を打って2ラン、5点目のタイムリーを放った4番小川拓真(4年・一塁手)は1ボールからの2球目という早打ちぶりである。

 駒大対亜大が合計13安打で試合時間は2時間26分、中大対国学大は18安打でほぼ同じ2時間25分である。ストライクゾーンの拡張で淡泊な試合が多くなりつまらない、という意見をネットで見かけたが、ストライクゾーンの拡張によって打者の積極的なバッティングが引き出せるなら野球の魅力は損なわれない。実際に駒大対亜大にくらべて中大対国学大は面白かった。

 オリンピックで野球が採用されなかった理由の1つに「時間が長い」があった。そのため、9イニング制から7イニング制への変更がまことしやかに囁かれ、それは現在も議論の対象になっている。7イニング制が嫌なら試合時間を短くしろという意見が出てくるのは当然で、プロ野球のみならず、大学野球でもストライクゾーンを広くして時短に取り組んでいる、というのが私の意見だ。

 時短は日本だけでなくグローバルな取り組みなので主審のストライクゾーンの拡張傾向は今後も変わらない。打者がそれに対抗するにはファーストストライクから打っていく積極打法を身につけるしか方法がないと思う。そういう視点で東都大学リーグを考えると、亜大や駒大のような待球型のチームは時代遅れで、4月22日現在の同リーグの成績は何やら暗示的である。

 1位 専修大  4勝0敗、勝点2

 2位 国学院大 2勝2敗、勝点1

 3位 中央大  2勝2敗、勝点1

 4位 拓殖大  2勝3敗、勝点1

 5位 駒澤大  2勝2敗、勝点0

 6位 亜細亜大 0勝3敗、勝点0

 


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