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東武佐野線沿線CITY-GUIDE 〔カテゴリーからお入り下さい〕

こならの森 92号

2008-04-21 | 創刊~100号
       ■こならの森92号■1995.12発行

C・o・n・t・e・n・t・s

表紙 「田中重光さん 斜光」

■こならの森1月号■
町ミステリー…富士町………12-18p
野良犬先生………19
おぞねとしこのポエム…………3p
その他の情報…/猫バス15……4p
知らんの5つの市/…5p
海棠市子の映画評……………6p
書評・絵本紹介………………7p
創作童話 2回………8p
結婚します…青木隆さん&幸代さん…95/10/1
JC・JOURNAL………10-11p
両毛五市シンポ……………12-19p
インフォメーション95………20-25p
現代国語………26p
杜 @皇が占う今月の運勢…………27
協賛店マップ………28-29p
新・こならの森から…………………30p

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【本文抜粋記事】

両毛五市シンポジューム

■PROFILE:
(株)虎昭産業
代表取締役社長
内山久枝さん
設立20周年。従業員数1300名。
弁当・総菜業 工場所在地:栃木県
佐野市・茨城県守谷町・東京都足立区

 虎昭産業の内山です。総菜業を営んでおります。平均30万食を1300人の従業員で一生懸命作られせていただいております。
 どうしてこういう仕事を始めたのかというきっかけをお話しますと、私には二人の息子がおり、幼稚園の年少組のころ自転車に乗せて連れて行く訳ですが、当時はスクールバスなどというものはありません。遠く自転車で連れて参りますが、幼稚園では2時間くらいしか見ていてくれません。それで帰ってくるとまた迎え、ということになりますので、(家に帰らずに)幼稚園の近くの喫茶店で仲の良いお友達とコーヒーを飲みながらおしゃべりを楽しくしていた訳です。毎日そうしていますと、こんなふうに時間を過ごしていては………という事になりまして、お友達と何か始めましょうということになりました。
 約四畳半程の場所にテーブル、はかり一台、ガス台2台、鍋釜3つ、その程度で(総菜屋さんを)始めました。一生懸命工夫しましたので、スタートから非
常に売れたんですね。あまりの忙しさに、お仲間に入っていただいたお二人が悲鳴を上げてやめてしまった。結局最後に私だけが残りました。やめてしまおうかどうしようか、そのときに主人が励ましてくれました。せっかく始めたんだから続けたら、応援するから。
 それで二人のパートさんを改めてお願いしました。ちょうど今から28年前でございます。
 私は実は60歳でございますが、何も60にならなくても、30でも40でも必ず人を育てる立場になります。部下が出来て人を育てます。人を育てる立場には必ずどなたもなる訳です。ところが、自分が育てられている時には、本当に真剣に育ててもらわないと、ご自身が人を育てる立場になった時に育てられないんですね。不思議なものです。 男性はどうご自分を作られるのか、これはほとんどの男性がお仕事を通して、お仕事というのは人の付き合いがありますから、人との付き合いの中から戦い強調しあい、時には耐え難い屈辱にあっても家族を思いますと、あらゆる辛抱をして、そして責任感の強い男性が作られて行く。お互いに男女は神様から頂いた使命が違います。男は子供を産むことが出来ません。子供を育てることをも難しいです。でも、女性に出来ない多くのことを男性は出来ます。
 ところであなたには、『存在感』がお在りでしょうか。存在感というのはどういうことかと申しますと、そこにいるだけで明るくなる、楽しくなる。これは立派な存在感でございます。例えば、小さなお店があったとします。なぜか繁盛している。もしそこが食べ物やさんであれば、きっとおいしいんでしょう。ブティックであればセンスがいい。あるいは、ビューティサロンであれば、そこの先生のカットがお上手なのです。
 何かの理由でそこのお店が繁盛していらっしゃる。ですから、お店のサイズが小さくてもお店は大きな存在感がある訳です。
 一方200人も、300人も従業員を抱えている会社でありながら、ちょっと寂しげな寂れた会社があったとします。きっとそこの企業のお得意さんは、そこの企業の経営技術やサービスがお気に召さないのではないか、ですから注文が来ない。当然寂れて来ます。寂れるにはかならず原因があるんですね。そういう大きな会社であっても、その会社には存在感がないんですね。ですから存在感ということは企業の大小でも、平社員でも社長でもないんです。
 私は会社の社長さんとのお付き合いが多ございます。でも本当に存在感のある社長さんとはめったに出会えないんです。
 ところが、あの子は将来楽しみという、こういう社員は大勢います。それは、その人に存在感があるからなんですね。ですから、役職が部長だ社長だと言ってもそんなこと関係ありません。その方が周囲にいらっしゃるだけで幸せを撒いている、それだけで十分な存在感だとご認識をして頂きたいと思います。
 さて、またお話を変えて恐縮でありますが、今はほとんどが夫婦で働いている家庭が多ございます。しかし一方でお金を使うときはどうでしょうか、ほとんど女性が使っているんではないですか。食費の材料から衣服から、例えば日用品からほとんどが女性が払っています。
 ということは、女性がいかに消費者の立場に立つ機会が多いかということです。例えば100円の大根を買うときも消費者ですね。あるいは1万円のカシミヤのセーターを買うときも消費者です。非常に消費者という立場に立つときが多いわけです。 私共は今3つの工場で1300人の非常に働き者で頑張り屋の誠実な従業員が一生懸命にお総菜やデザートやサンドイッチを作ってくれています。その時の従業員やパートさんは仕事として一生懸命やってくれています。パートさんたちがお仕事を終わって、家路につきます。もよりのスーパーでお買い物をします。そうすると、その瞬間に彼女たちは消費者に変わる訳です。手に取ったホウレン草が堅そうだとか、汚れている。あるいはお肉。脂が乗っているとか、のっていないとか、お値段は………。もう非常に厳しい目でもってその商品を見る。そして、いろいろと選択した商品をカゴに持ってレジにいきます。今日のこの人、サービスが悪いわ、と思っているかもしれない。要するに消費者の目になると非常に厳しいんですね。 女性の方は非常に商品に対する不満、「何でこんな大きなパックにしちゃうの」とか、「もっと小さくしてくれれば助かるのに」とか、いろいろな不満を一番知っていらっしゃるんです。
 ですから、女性が一番起業家になりやすいと思いたいんですね。
 はっきりと言いますと、企業は、大企業から我々の中小企業までが、何とか自分の商品が売れないものか、あるいは売りたいと思っている。どうしたら売れるのか、これはお客様がこうしてほしいという商品を作れば売れる訳ですよね。ですが、これは一生懸命考えても分からない。大企業に至ってはそのために何百億の開発費を投入して新製品を作っています。どうしたらいいのか、どうしたら売れるのか、そういうふうにお金をかけて技術者や企画者をそろえてもなかなか消費者のお気に召す商品が出来ない。
 ところが女性は、毎日何回となく消費者の立場で実感としてたくさんの商品を、気に入らない、気に入る………とやっている。だとしたらば、女性の目というのは起業家には非常に必要なことです。また起業家になってふさわしい資質とかチャンスをたくさん持っていると思うんですね。
 ですがそれは、自分たちが世界や、世の中を見るときに、全て男性と同じ目線で世の中を見てそして男性と同じように厳しい責任感を持って見ればの話なんです。そうでなければ、いくら消費者の機会が多かろうが何であろうが、けして起業家にはなれない。紅一点という言葉がありますが、世の中そう甘くはありません。
 起業家になるには男も女もまったく同レベルで戦って行かなければならない。
 そうすると、女性の皆さんは消費ということにたいして、厳しい目を持っていらっしゃるから後ちょっとです。
 ほんのちょっと視線を変えてよく見ましょう。そして、厳しさもちょっと自分たちの暮らしの中に入れれば何にも遜色無く起業家としては男性よりもいいんではないかなと思うのであります。
 私も、今までに非常にいろいろなことを見て参りましたが、ご自分だけの幸せだけを願っている方はどこかでつまずきます。それは本当にはっきりしていることです。
 一方で「私、力がないんだけれど……」と、大変自信が無さそうな非常になよなよとした方が、「それでも何か私、できますか」というふうに、伺いを立て、「あっそれなら私にも出来ますよ。やらせてください」。こういう姿勢で長い間暮らして来た方は、自分だけの幸せだけを考えて来た人とはまったく差が出てくるんですね。
 皆さんは今幸せでしょうか、私は幸せです。しかし、今頂いています幸せというのは、皆さんもご努力したでしょう、私もしましたが、自分たちがした努力というのは今頂いている幸せのせいぜい5パーセントか10パーセント、後は全部、人様から頂いたものです。だとすれば、私たちも人様の幸せを作ることに協力しなければ、申し訳ない。御恩返しが出来ないではありませんか。
 ではどうしたら御恩返しが出来るのか、それは先程申し上げた、存在感のある人になると言うことです。そこにあなたがいらっしゃるだけで、周りの人が幸せになる、これは十分なお返しです。
 先程のお話ですが、小さな商店がある。「今日買いました。おいしかったわ。明日も買いましょう。」存在感あるじゃないですか。回りに幸せをまいてい
る。恩返しということは、何かを作って差し上げるということだけではなくて、自分がはつらつとして生きて行く、そして回りが「あの子いい子だね」という、もうそれだけ十分存在していると思う訳です。
 企業は社会貢献をしなければ存在感がありません。
 企業の社会貢献はたくさんの事があると思いますが、ただ一つだけ上げなさいと言われれば、これはずっと利益を出し続けてその利益に対して十分な納税をし、国家社会に貢献をする。利益を出し続けるということは、この企業にはお得意さんがいるわけです。お得意さんを追い続けて一生懸命にやらせて頂く。例えば、虎昭でありますと、キンピラとかサンドイッチとかが、「おいしい、おいしかったよ虎昭さん、また買うよ」というこの繰り返しで私共は30万食作っているんですから、どこのどなたか分からないんですが、30万人の方が食べてくださるかもしれない。お顔は分かりません。その方が無言のうちにご褒美としてくださるのが、利益なんですね。ですから利益は、お客様がいて、『お客様のために召し上がって頂きたい。喜んで頂きたい。』という思いで作れば、お客様は買ってくださいますから、また利益が上がる。そして利益が上がって御恩返しをする、これが社会貢献です。そういうふうに考える訳です。
 では、企業の社長としての貢献は何かと言いますと、これもたくさんありますが、私はいい人材の育成、これしかないと考えています。ではいい人材というのは、どういう人材なのか、これはもちろんのこと虎昭産業にとってのいい人材、役に立つ人ということもございます。でも、それでは人材とは言えない。 大体はたで見るよりも、実際にやった方が仕事というのは単純、もしくは辛い、あるいは退屈と言うことが現実です。その中で、こんなことやってられないわよね毎日。と思うことも実際にある。でもそれをそのように思ってしまうのか。例えばウチの社員が肉ジャガを煮ています。大学出ているんですよ。「俺がこんなことやってられるか」と思うのと、「ああ、今日もこんなに注文が来た、ありがたいな、だれかが食べてくれるんだな。」この自分の仕事を通して、そういう喜びを感じられるようになれば、最高の人材なんです。自分の仕事を通していくらかでも、社会に貢献していると思えるということは大変な人材です。そいう意味で、そういう心を持てるように、どう社長が教育をして行くのか、これは非常に荷の重いことでありますが、何としてもそのように社員を仕込まないといけない。したがって我が社は社員の教育に厳しいです。それは父親の愛情でしょうか、そうわ申しましても人間は弱いものですから、非常に、こんな厚い壁にぶつかって、長いトンネルに入ってしまってどうにも出られない。こういうこともございます。そのときには宥めたり、慰めたりして引っ張り上げ、そして頑張れよと言うふうに勇気づける。これは母親の愛情です。
 ですから、社長というのは、親の愛情がなければ出来ない。そして、親の愛情というのは汲めども汲めども尽きることなく出てくる訳です。
 それは今、私は実感として思っています。ですから企業のトップの社会への貢献というのは、いかにいい人材を何人作れるか、これに尽きるのではないかなと思う訳です。
 さて、自転車操業という言葉があります。これは普通はお金が苦しいとか、あるいは人手がなくて、頂いた注文をやっとの早さで作っているという時に使います。しかし、私はこの言葉は大好きです、自転車というのはその人の体力に合わせて真っすぐにペダルを踏んでいれば、前に行くんですね。ですが、ちょっといい気になり、片手をポケットに入れてルンルン気分でよそ見をしますと、小さな石にぶつかってよろっとしたり、場合によっては倒れます。これは個人でも企業でもそう、油断をしたりいい気になると、会社がおかしくなったり、あるいは必ず個人でも失敗をする。ですから真っすぐにペダルを踏んでいればいいい。そして、先ほど存在感ということを申しあげましたけれども、存在感イコール期待されているということなんです。
 そうしますと、虎昭産業が佐野市で期待されていると致しますと本当にありがたい、うれしい。でもこの期待は、その期待に応えなければいけませんから、これは重い荷物であります。
 必ず成せば成るでございます。普通の人がちょっとやれば何とかなるんですから、どうぞ皆様の将来も輝かしいものになりますように、陰からお祈り致しております。


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