京都の闇に魅せられて(新館)

千本えんま堂大念仏狂言『牡丹獅子』 @ 京都妖怪探訪(486)





(記事中の写真はクリックで拡大します)


 どうも、こんにちは。
 毎年、5月連休に“千本えんま堂”こと京都・引接寺で行われる「千本えんま堂大念仏狂言」。
 前々回前回に引き続いて今回も、「千本えんま堂大念仏狂言」演目のひとつを。本シリーズにふさわしく、鬼や妖怪、亡者や地獄、幻想上の不思議な生物などが登場する作品を紹介します。
 今回紹介するのは『牡丹獅子』。
 特によく演じられるという人気作品で、しかも本シリーズにとりあげるにふさわしい、有名な妖怪伝説をモチーフにした演目です。
 またこの演目は、獅子の動きを模した曲芸も取り入れられています。


 舞台はある殿様の屋敷です。
 屋敷の庭には見事な牡丹の花が咲いていました。









 しかし毎晩どこからか獅子が現れて、庭で暴れて、荒らしていきます。
 殿様は配下の太郎冠者(たろうかじゃ)に獅子を捕らえるように命じます。





 ちなみに言うと「太郎冠者」とは、元々は武士などに仕える従者・使用人を指す通称だったそうですが、狂言では「誰か主人に仕えている使用人」という役によく与えられる名前となっています。


 その夜も庭に獅子が現れます。









 この獅子は、獅子舞と同じように、二人一組で獅子の被り物と装束で演じられているようです。


 よく見るとここで演じられている獅子は、曲芸のようなことをしています。














 なかなかに難しい曲芸をこなし、その度に客席から拍手があがります。
 技量や経験等がなければこういう曲芸はなかなかできるものではありませんが、こういう芸に「えんま堂狂言」でお目にかかるとは思いませんでした


 そして太郎冠者が獅子を捕まえにやってきます。









 しかし獅子にはかないません。
 太郎冠者は獅子が眠っている間に、別の道具を持ってきて、再び獅子を捕まえようとします。









 しかしそれでも太郎冠者は獅子にはかないませんでした。






 このまま捕まえられないでいては殿様に叱られてしまいます。
 どのように言い訳しようか考えて太郎冠者は……自作自演で獅子のふりをします。












 そのうちに殿様が戻ってきます。






 殿様は「おい、何をやっているのだ」と太郎冠者を問い詰めていると。





 遠くの方に獅子の姿が見えます。
 殿様は「追うぞ」と言って、太郎冠者を伴って去って行きます。





 ところで、この演題ともなっている『牡丹獅子』とはそもそも何なのか?
 牡丹獅子とは古来より日本画、陶器、刺青などの題材に描かれるものです。
 獅子(ライオン)と言えば「百獣の王」と言われる動物ですが、実は牡丹も古来より「花の王」とも言われる貴重な花だったようです。
 「獣の王と花の王」ですから、これは最高の組み合わせだと考えられているわけです。
 「獅子に牡丹」という、取り合わせのよいものを表す言葉もあるほどです。
 またここで言う獅子とは、実在のライオンではなく、麒麟のように実在の動物から考え出された想像上の動物です。
 唐獅子とも言われ、神社の門前や神前を、頭に角にある狛犬と対で守っているのが、それです(以下の写真は京都・祇園の八坂神社の唐獅子)。





 実在のライオンも、想像上の霊獣・獅子も「百獣の王」とも言われる、最強無敵の存在です。
 しかしその獅子にも、ただひとつだけ恐れるものがあります。それは獅子の体毛の中に棲み着く害虫です。その虫は獅子の体内で増殖し、最後には体を食い破って獅子を殺してしまうというものです。
 いわゆる「獅子身中の虫」という奴です。内部から味方に害や不利益を与える裏切り者を喩えるこの言葉も、由来はここから来ています。
 この虫にも弱点があって、牡丹の花からしたたり落ちる夜露に当たると死んでしまうのです。その為に獅子は、夜になると牡丹の花の下で休んだり、あるいは花そのものを食べるとも伝えられています。

 そこまで調べてようやく、この狂言『牡丹獅子』の意味がわかりました。
 なるほどだから、毎夜獅子が牡丹の花を荒らしにやってくるのか、と。









 今回はここまで。
 また次回も、「えんま堂念仏狂言」の演目をとりあげます。





*千本ゑんま堂へのアクセス・周辺地図はこちら




*えんま堂狂言保存会のHP
http://www.geocities.jp/e_kyogen/




*千本ゑんま堂のHP
http://yenmado.blogspot.jp/




*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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