どうも、こんにちは。
シリーズ前回の百鬼夜蝶版『紅葉狩』を観る為と、学生時代からの旧友に会う為に名古屋を訪れましたが、「ついでに名古屋観光としゃれこうもうか」とか「それも名古屋の妖怪伝承地にも一カ所くらいは行きたいな」と考えました。
それで訪れたのが、名古屋市の晴明神社した。
数々の伝説や伝承を遺した平安時代の陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)。
京都には晴明神社(シリーズ第1回や第729回など参照)や一条戻り橋(シリーズ第2回や第767回など参照)など安倍晴明の伝承が遺る場所が幾つもありますが、名古屋にも晴明ゆかりの地があったことはこの時はじめて知りました。
これは是非とも訪れなければ、と思い立ちました。
まずはいつもの通り、交通アクセスから。
最寄りの交通機関には、名古屋地下鉄「砂田橋」駅がありますが。
今回は市バス「萱場」停留所までバスを降り、歩きます。
途中には案内板もあり、住宅街の中の道を歩きます。
ところで名古屋市内を観光して回るには、名古屋のバス・地下鉄全線一日乗車券という便利なものがあり、私も今回の名古屋行きではこれを最大限利用しました。
さて住宅街の一角に、目指す晴明神社を見つけます。
道を挟んだすぐそばには「清明山公園」が。
ここは元々は山の中だったのでしょうか。
しかし一文字違っているようですが、何故?
階段を上がって境内へ。
中には由緒書きが。
安倍晴明の人物と、この神社の由緒が書かれています。
安倍晴明が唐の白道仙人に師事していたという話は知ってました(※シリーズ第33回を参照)が、皇族の血をひいているという説があったとは、はじめて知りました。
寛和2年(987年)安倍晴明が67歳の時、この地(尾張国狩津荘上野邑)に移り住んでいたという言い伝えがあるそうです。
伝承の通りだと、晴明が移り住んだ当時、この地は湿地帯だった為か蝮(マムシ)の害が多く、村人が困っていたそうです。
それを晴明が加持祈祷によってマムシの害を封じた、と伝えられています。
しかし後世の江戸時代、再びマムシの害が現れたので、安永7年(1778年)、安倍清明の当時の住居跡に祠を建てて晴明の霊を祀ったところ、マムシの害が無くなったとのこと。
それがこの神社の創建だったと伝えられています。
境内のは陰陽五行説についての解説もあります。
おや?
境内の一角にちょっと変わった場所が。
切り株の上に赤い石が、しかもハート型の石が積まれているようですが。
ここには元々、御神木が立っていたそうですが、台風によって本殿の方へと傾いた為、やむなく切り倒したそうです。
その後の切り株を、供養とおまじないを兼ねて、こうして活用(?)しているようです。
ハート型のお願い石が重ねてあるということは、女性参拝者による恋愛祈願でしょうか。
案内板には「男性は左回り2回、女性は右回り2回、お願い事をしながら回る」と書かれています。
本殿へ礼拝に。
賽銭箱をよく見ると何か書いてあります。
「御礼拝後は左右の狛犬(男性は左の狛犬)(女性は右の狛犬)」をご自分の身体の悪い部分やもしくな良くしたい部分をなでて頂くとご利益があるとされております」
そう書いてありましたので、私も試してみました。
ところで。
寛和2年(987年)安倍晴明が67歳の時にこの地に移り住んだという言い伝えがあることは先述しましたが、その前年に起きた花山天皇退位事件のあおりを食らって尾張国まで飛ばされたのではないかとする説や、政治的な争いに嫌気がさして都を離れたなどのの諸説があるそうです。
当時の名古屋(尾張国)といえば、当時は平安京から遠く離れた辺境地であり、都で活躍してい地位も名声もあるような大陰陽師が何故、わざわざそのような場所に移り住んだのか?
もしかしたら、‘弘法大師’空海や、水戸光圀(水戸黄門)みたいに、有名になりすぎて英雄化され、その伝記に「諸国を訪れて活躍した」という形で後世の創作が加わった可能性も考えられなくはないとも思いましたが・・・。
ただ後日、さらに調べてみたところ、同じ名古屋市内に、しかもそう遠く離れていない場所に「上野天満宮」という神社があり、そこの神職さんが、この名古屋・晴明神社の神職を兼ねているらしいとのこと。
さらにその「上野天満宮」という神社は何と、この地に移り住んだ安倍晴明の一族が、菅原道真の霊を祀ったことによって創建されたという・・・何というか、もの凄く面白そうなスポットだったのでした。
十分な事前準備や調査も無くても、思い立ったらすぐに行くという私の行き当たりばったりな性格がまたも出てしまいました・・・。
今回はタイトなスケジュールを組んでいたこともあって、「上野天満宮」にまでには行けませんでしたが。
しかしこれでまた名古屋を再訪する目的がひとつできたようで、これはこれで楽しいものだとも思えました。
他にも安倍晴明やその一族、或いは菅原道真の関するスポットを巡るというのもまたいいかもしれない。
勿論、住宅街の中のこぢんまりとした境内ですが、古くからの伝承があり、中にはいろいろなコンテンツと言いますか、祈願スポットがあったこの晴明神社自体も面白かったですね。
今回はここまで。
また次回。
※ところで2023年の目標で、「新規スポットの記事を最低でも20以上、出来れば30以上書く」としましたが、今回で11カ所目。
目標まであと9本(9カ所)です。
*名古屋・晴明神社のサイト(「名古屋神社ガイド」より)
https://jinja.nagoya/top/tikusaku/seimei-jinja
*『京都妖怪探訪』シリーズ
https://kyotoyokai.jp/