【写真:ジュネーヴから乗ったTGVと記念撮影。パリ GARE DE LYONにて。(11/04)】
旅程
《11/04/06 ジュネーヴ→パリ》
朝 スティーブン運転の車で出かける
10:00 ジュネーヴ GENEVE CFF発 TGV6568号
13:31 パリ PARIS GARE DE LYON着
Iと合流後、パリ観光
スイス滞在最終日にして、ようやく青空が戻ってきた。朝、チューリッヒで会えなかった友人に手紙を出しに、スティーブンと郵便局へ行く。その往復の雑談の中で、彼にフランス語の発音や、名詞の性について教えてもらう。彼によると、フランス語には単数だと男性、複数だと女性名詞になる語が2つだけあるという。一つは「愛」という単語、もう一つは彼も忘れてしまったらしい。言語に例外はつきものだが、「愛」というあらゆる場面で頻出の単語にそんな例外があったのかととても意外だった。
9時過ぎ、スティーブンが運転する車で家を出る。渋滞にはまり、駅に着いたのはTGVが発車する10分前だったがなんとか間にあった。
「本当にありがとう。今度は日本に来てくれ。」「来てくれてありがとう。ロシアのホストファミリーによろしく。」そんな会話をしてスティーブンと別れる。
フランス行きの列車は7番線、8番線のいずれかから発車する。大きくFranceと書かれた案内にしたがって進むと、ホームに出る前にパスポートコントロールがある。ここでは切符とパスポートを提示しなければならないが、パスポートにスタンプが押されるわけでもなく、あっさりとコントロールを通過。国際列車に乗るのは昨年暮れにヘルシンキからペテルブルクまで乗って以来2度目だが、その時は列車から降ろされなかったものの、フィンランド側出国場面、ロシア側入国場面でそれぞれ厳重なチェックが行われた。それとは対照的なあっけない出国手続き。この先がフランスであるという実感が、どうしてももてなかった。
10時ちょうど、私を乗せたTGV6568号は定刻にジュネーヴを発車した。パリまで3時間31分の旅の始まりである。
車両は2階建てで、私の指定席は2階。早速席へ行ってみると、女性が堂々と座席二つ分を占有して寝ている。起こそうかどうか一瞬考えたが、結構空席があったので、他の席に座ることに。車内をよく見ると、他にも座席を2つ分占有して寝ている女性を発見。自由席ならともかく、指定席とはおよそ思えない光景だったが、ここではこれも普通らしい。 列車ははじめ山間部や川沿いをゆっくりと走る。特に防護柵も何もなく、踏切もある地上を走るのは、日本の山形、秋田新幹線と同じ感覚で私には親しみが持てた。この調子で3時間30分なら、パリまではそんなに離れていないのだろうと思ったが、それは大間違いだった。
11時55分頃から急激に速度が上がり、いつの間にか高架を走行していた。その速度たるや半端じゃなく、間違いなく270km/h以上は出ていた。これだけの高速鉄道に乗ったのは日本を出て以来初めて。日本の新幹線から眺めるのとほぼ同じ速度で、景色がどんどん後ろへ飛んでいく。この速さ、風を切る音、まさに新幹線。さすがTGVだと感心した。
車窓からは水の跡なのか、ところどころ水に浸かった畑や道路が見えた。大きな都市はあまりなく、このTGVはひたすら田舎を走っているようだった。
13時31分、列車は定刻にパリ、GARE DE LYONに到着。日本の新幹線もびっくりするほど素晴らしい旅だった。
ホームの前の方に歩いていくと、パリ留学中の大学の同級生、Iが待っていてくれた。12月の旅行以来、彼に会うのは約4ヶ月ぶり。積もる話もそこそこに、彼は私がTGVの先頭車両と写真を撮らなければならないことをちゃんと分かっていてくれた。日本のE3系新幹線電車に似た美しい曲線をもつTGVを、私はすっかり気に入った。
今日から4日間、Iにパリを案内してもらい、彼とともにオランダ、ドイツを経由してロシアへ向かう。