【写真:シベリア鉄道概略図 52196】
01.07.2007
いよいよ列車の出発時間が迫ってきた。今回はウラジヴォストークから3本の列車を乗り継ぎ、シベリア鉄道のもう一つの端、モスクワ、ヤロスラブリ駅へと向かう。
最初に乗る列車はウラジヴォストーク発ノヴォシビルスク行き特急007НА列車。
乗車区間:ウラジヴォストーク→イルクーツク(4106km)
発車時刻:7月1日21時35分(モスクワ時間14時35分)
到着時刻:7月4日17時17分(モスクワ時間12時17分)
所要時間:69時間42分
料金(予約料金込み):2500.2ルーブル
駅のカフェで夕食を食べ、5番線からノヴォシビルスク行き7列車に乗車。一度またホームに出て、先頭車両を見に行く。ロシアの長距離列車は編成が長く、先頭車まではかなりの距離。乗り遅れるといけないので自分の車両まで戻る時には走り、シャワーがないのに汗をかいてしまった。
21時35分(モスクワ時間14時35分)、列車は定刻にウラジヴォストーク駅を発車。
発車の際、進行方向右側の隣接する港には、今朝まで乗っていたルーシ号が見えた。左側には日中見た、モスクワから9288kmの碑。列車は速度を上げながら碑の横を通過する。世界一広い国の東から西まで、ユーラシアの広大な大地を横断する旅が、ついに始まった。
私の車両はプラツカルトというタイプの車両。進行方向に対して垂直の方向を向く2段ベッドが2つペアになったボックスと、廊下をはさんで進行方向に対して並行の方向を向く2段ベッドが、計9セットほどびっしりと配置されている。ボックスと廊下の間にはドアがなく、周囲の様子が丸見え。
私があえてこのプラツカルトの車両を選んだ理由は、料金が安いからというだけではない。同じボックスの人や周辺の人々と話をしやすい環境で、周囲の人々が話すロシア語も聞こえて勉強になるからというのも大きな理由である。
ウラジヴォストークを出発した時点で、私のボックスの私以外3人と、通路をはさんだ2段ベッドの乗客2人は全て女性。最初は誰が誰と同じグループなのか、それとも一人旅なのかななどと様子を見ながら考える。
発車して40分ほどすると、車内に雑誌、新聞売りのおっちゃんがやって来た。暇なのでおっちゃんから新聞を買い、いくらかと尋ねると、彼は指で金額を示して見せた。私がロシア語を話せないと思ったのだろうか。私が戸惑っていると、周りの乗客2人ほどが同時に、「15」と教えてくれた。
ロシアの長距離列車にも車内販売がある。インスタント食品、チョコレートなどのお菓子、ジュース、ビールなどいろいろな物を売っている。各車両には大きな湯沸かし器が設置されており、お湯はいつでもただでもらえるので、インスタント食品を食べたり、お茶を飲んだりするのに便利。列車に乗る際には食事のことをほとんど考えていなかった私は、車内販売からじゃがいもと肉のインスタント食品を買う。
出発から約1時間半後、私と向かい合う席の2人と話し始めた。彼女らの名はクスーシャ、ターニャ。ウラジヴォストークの学生で、2人でこれからノヴォシビルスクへ行くという。小学校も一緒だったという2人だが、こうして一緒にノヴォシビルスクへ行くのは初めて。ノヴォシビルスクまでは丸4日以上かかるわけで、長時間車内で何をするのか尋ねると、読書をしたり、景色を見たり、クロスワードを解いたりするという。
ペテルブルクへ行ったことがあるかと聞くと、2人とも行ったことはないが、とても行きたいと答えた。でも学生にとっては高いから行かないのだという。私が、電車で行けば時間はかかるが安いだろうと言うと、モスクワやペテルブルクでの滞在費用が高いのだとのこと。ウラジヴォストークで私はバスに乗らなかったから分からなかったが、ウラジヴォストークでのバス料金はだいたい7,8ルーブルくらいだと彼女らが教えてくれた。ペテルブルクではバスにもよるが、私の前回の滞在の時点でも15,17ルーブル程度だったから、バス料金を比較しても、モスクワやペテルブルクはウラジヴォストークより2倍くらい高いことになる。
滞在費用が高いから行かないというのは、予想していなかった発言。早速一つ、勉強になった気がする。
私のベッドは下段。下段のベッドの下には荷物入れがあり、ベッドで完全にふたが出来るようになっている。そのため貴重品はベッドの下に入れておけば安心というわけで、パスポートやデジカメなどをそこに入れ、日付が変わるくらいに寝る。