ロシアの北都 サンクトペテルブルク紀行

2005年秋から留学する、ロシアのサンクトペテルブルク(旧レニングラード)での毎日を記します。

西方見聞録13 さらばパリ-パリ14/04~15/04-

2006-05-16 23:28:25 | Weblog

【写真:凱旋門の屋上から見たエッフェル塔(14/04)】 
旅程
《14/04/06 パリ(続き)》
《15/04/06 パリ→アムステルダム》

 パリ最終日の夜は初めて凱旋門へ上った。長いらせん状階段を上りきると、文字通り中心からパリの全てを見下ろすことが出来た。シャンゼリゼ大通り、エッフェル塔、モンマルトルの丘、ビジネスオフィスが入っていると見られる高いビル群...。360度の眺望を目に焼き付ける。Iの街パリは大きかった。Iも素敵な街で勉強しているのだなということがよく分かった4日間だった。
 パリを見ただけでフランスを理解したことにはならないが、普通の観光客と今回の私の違いは、パリで暮らしているIのおかげでフランス人やフランスの政治、社会について多少なりともそれまで知らなかったことを知ることが出来たという点。私がロシアについて考えるのと同様、彼もフランスについていろいろと考えることは多いようである。Iはまた、店やレストラン、ホームステイ先などあらゆる場面で通訳もしてくれて、大変心強かった。彼には本当に感謝している。
次回フランスに来る機会には、パリだけではなく周辺の町へも行ってみたいものである。その時は通訳なしでまともにフランス語が使えるように、今から努力しなければ。

*  *  *

 4月15日午前6時47分、まだ薄暗いパリGARE DU NORD14番線には真っ赤な車体のTGV「タリス」9309列車が入線していた。
 4日前列車でやって来たパリを、私はまた列車で去ろうとしている。私にとってのパリとの別れは、Iにとってロシアへの旅の始まりでもある。それぞれに異なる感慨があるに違いない。
 6時55分、次の目的地、オランダ アムステルダムへ向けて、列車はゆっくりとホームを離れた。
 

 
  


西方見聞録12 蛮行の跡-パリ14/04-

2006-05-16 23:26:37 | Weblog
【写真:暴動で画面が破壊された現金自動引き出し装置。ソルボンヌ大学の近くにて(14/04)】 
旅程
《14/04/06 パリ(続き)》

 Iはよく、「ラテンの連中は体温が1度くらい高いんだぜ。」とか、「フランスは実は途上国だ。」などと言って、フランスの人々やフランス社会を冷めた目で批判する。よく自分の留学国にそんなことを言ったものだなと私は意外だったが、今日はIの言うことが良く分かった気がした。

 マリーアントワネットが拘束されていたという牢獄やサンシャペー教会などを見学した後、Iとともにソルボンヌ大学近くの路上を歩いていると、画面が破壊された現金自動引き出し装置を発見(写真参照)。世界中でニュースになった若者らの暴動事件でこの装置も被害にあったそうだ。こんな物まで破壊するとは、私はあまりの蛮行ぶりに言葉を失ったのだが、Iは違った。
 この装置の上には"Retrait"という文字が書かれた看板があり、その下に紫のペンで"du CPE"と落書きがあった。私には何の事やらさっぱり分からなかったが、Iの解説によると、"Retrait"は引き落とすとか、取り下げるという意味があり、"du CPE"というのは問題になった法案(労働者の解雇禁止期間を解除する法案)なのだという。すなわち、この機会が現金を「引き出す」装置である旨通知した表示の下に現金ではなく"du CPE"と落書することにより、暗にその法案を廃案にせよという暴動集団の主張を示していることになる(>Iへ ここまで、間違いないですか??)のだそうで、皮肉のきいた知的な落書きであることにIは感心していた。
 
 被害にあったのはこの現金自動引き出し装置だけでなく、近くの店のガラスがど派手に割られていたり、わざわざ"PLACE DE LA SORBONNE(ソルボンヌ広場)"という看板 の"SORBONNNE"の部分を消してその下に"PRECARITE"(確か「抗議」という意味だったと記憶 >Iへ、これも確認よろしく)と落書きがあったりなど、数々の野蛮な行為の跡が残っていた。
 
 なお暴動は収束したものの、ソルボンヌ大学は現在も閉鎖中だという。体温が高いためなのかどうかは知らないが、これら蛮行の跡を見たら暴動に加わった学生らの品格を疑わずにはいられない。Iによると、フランスの学生は補助金欲しさに大学に入り、ろくに授業にも出ず遊んでいる連中も多いのだという。なるほど、そんな連中ならこんな蛮行もしかねないなと納得。Iの解説により、この「華やかな観光都市」パリで、フランス社会のひずみを見た。