ロシアの北都 サンクトペテルブルク紀行

2005年秋から留学する、ロシアのサンクトペテルブルク(旧レニングラード)での毎日を記します。

バレンタインデー

2006-02-17 21:53:46 | Weblog
2006年02月14日
ロシア滞在通算156日目
【今日の写真:バレンタインモードになったガスティニードヴォルの建物。】

今日の主な動き
07:20頃 起床
09:07 出かける
09:16 マヤコフスカヤ駅
  メトロ マヤコフスカヤ(09:22)→バシレオストラフスカヤ(09:29)
09:47 学校
13:20頃 6番通りの文房具屋
13:41 バシレオストラフスカヤ駅
  メトロ バシレオストラフスカヤ(13:44)→ガスティニードヴォル(13:48)
13:58 日本センター
15:15頃 スパス ナ クラーヴィー聖堂近くのカフェ
16:30過ぎ頃 ガスティニードヴォル
17:12 ガスティニードヴォル駅
  メトロ ガスティニードヴォル(17:18)→マヤコフスカヤ(17:20)
17:32 帰宅
18:24 出かける
18:32 マヤコフスカヤ駅
  メトロ ボスタニヤ広場(18:39)→テフノロギーチェスキーインスティトゥット(18:44)
19時過ぎ ラヤ先生の家
21:10頃 バルチック駅
  メトロ バルチースカヤ(21:23頃)→ボスタニヤ広場(21:29)
21:44 帰宅

 今日から、先週見たのとはまた別の新しいクラスを見学。メンバーはフランス人やトルコ人なども含む7,8名。火曜日は文法の授業で、どんな内容かも知らずにいきなり入っていったところ、今まで私がいたクラスでやっていた内容よりもだいぶ先の項目を扱っていた。テーマは「形動詞」。大学2年の最後の頃(要するに去年の今頃)、私がロシア語を本格的に初めてまだ1年弱というときに、大学の初級の授業で先生がその概要を説明してくれた項目だ。その時は「形動詞」なんてものがあるとは、ロシア語って難しいんだなと思っていたが、ロシア語を学ぶ以上、避けては通れない道。
 正直なところ、今日周囲の人達の教科書やプリントを見て、こんな難しいことをやっているのかと最初は驚いたが、実際はそれほどでもなかった。日本で買った文法の教科書をさらっと読んでいたこともあり、今日の授業で先生の話を聞きながら、形動詞ってこういうのなんだなというが大体理解できた。なんとかついていけそうなレベルだ。

 午後、カフェで旅行会社勤務の友人と会う。今日は友人や家族のためではなく、私自身のビザの手配の依頼。私は8月の夏休みまでロシアに滞在してロシア語を勉強したり、国内を見たりしたいのだが、今のビザが7月半ばで終わってしまう。そのため8月まで滞在するには新たにビザを取得しなければならないが、近隣の国に日帰りで出かけたりする可能性も考えると、シングルやダブルエントリー(それぞれ1回、2回しかロシアに入国できないビザ)ではまずい。下手すると旅行先から二度とロシアに帰れなくなってしまう。そこで1年のマルチビザが取得できないかと以前から相談を持ちかけていたところ、昨日になって大丈夫だという返事があり、今日会おうということになった。
 今日の段階ではビザ取得の方法などの相談かと思っていたが、彼女はなんと領収書を持ってきていた。すなわち、もう招待状の料金を支払うということ。財布やリュックから現金をかき集め、3000ルーブルを支払った。一見高いようにも見えるが、ロシアに入国する度いちいち観光ビザを取得することを考えれば安い。マルチビザは通常入手が困難とされるビザで、一般の外国人が取得できるビザの中では期間、入国回数などの点でもっとも優れている。来年の春休みにもロシアに来る計画を立てているから、その時にも使えて便利である。招待状を作ってもらったら、近隣のフィンランドかエストニアのいずれか安い方の大使館でビザを取得する予定。

 さて、今日2月14日はバレンタインデー。ロシアの人々にとってこの日はどんな日なのだろうか。
 昨日ボーバが教えてくれたところによると、日本とは違って男から女にも、女から男にもプレゼントや手紙を贈ることがあるそうだ。もちろん、恋人同士だけではなく普通の友達どうしでのやりとりもあり。最近は携帯電話のSMS(日本で言えばメール)でメッセージを送るということもあるそうだ。
 街のギフトショップにはバレンタインのプレゼント特集コーナーが設置され、メッセージカードやプレゼントが陳列されていた。中には、ギフトショップに不似合いな迷彩服の制服を着た若い男性2人がプレゼントを選んでいる姿もあり、華やかな店内に迷彩服という対比が面白かった。
 ボーバの言っていたとおり、メッセージカードは男→女(”Моей Любимой”)、女→男(”Моему Любимому”)の両方が用意してあった。ガスティニードヴォルにはど派手な装飾(【今日の写真】参照)が施されており、バレンタインにかこつけて売り上げを伸ばそうという考えはどこでも同じだなと感じた。
 ネフスキー大通りにはハートの形の風船をたくさん売っている人がいた。買う人がいるのかなと思って見ていたところ、結構持ち歩いている人が多かったから、それなりに繁盛したのだろう。それにしてもハート形の風船なんて、随分露骨なものを持って街を歩いて恥ずかしくないのかとも思ったりするが、ロシア人はそんなことは気にしないらしい。

 家での会話。
セルゲイ:「今日は祝日だ。」
ナジェージュダ:「あー、バレンタインか。カトリックの祝日はうちらのじゃない。」
 
 街は何となくいつもより浮かれた雰囲気だったが、皆が皆バレンタインデーを祝うというわけではない。この辺りは日本でもロシアでも一緒である。

 夜、個人レッスンを受けに行く。今日も前半はひたすら発音を教えてもらった。前回難しかった”у”(日本語で表記すれば「ウ」に近い音)の発音は上手になったと言われた。それもそのはず。一人でいるときや、道を歩いているときなどに声に出して何度も練習していたから。今日の難題は”т”の軟子音。тの後に軟母音(я,ю,е,ё,и)が続く(日本語ではチャ、チュと表記されることが多い)時の発音なのだが、この音がなかなか出ない。
 特に、”идти(歩いて行く)”という単語の発音は非常に難しい。ロシア語をちょっとでもやった人なら誰もが知っている有名な単語だが、正確に発音できる人はどれだけいるだろうか。ラヤ先生の発音を聞いて繰り返し練習する。今まで適当に「イッチー」と発音してきたが、先生の発音を聞いて、カタカナでは表記できないとても美しい音だと思った。耳で聞いて英語の”t”との違いは明らかに分かるのだが、何度やっても自分の発音はロシア語のидтиにならず、先生に「違うな」と首を傾げられる。

 母国語が日本語であること、英語が第一外国語であることをこの時ほど悲しいと思ったことはない。何度も繰り返すようだが、ロシア語は私が聞いたことのある言語の中では世界一美しい。それに比べて日本語はといえば...。以前までは日本語の音も悪くないと思っていたが、日本語ほどベタベタとうるさく、大変聞き苦しい言語は珍しい。あくまで言語の響きという観点からみた場合の話だが、こんな美しくない言語を使わざるを得ないなんて、情けない限り。ロシア語が母国語の人が大変羨ましい。
 そんなわけで、たまたま母国語だった日本語よりも、長年勉強してきた英語よりも、私はロシア語が一番大好きだ。バレンタインデーにはロシア語にプレゼントをあげたいくらいだが、事実上不可能なので、かわりにラヤ先生にあげておいた。 
 
 個人レッスンからの帰り、メトロで偶然マーシャ(「学生の日」の土曜日にアリーナ、ボーバと一緒にカフェで会った人)に会った。しかも乗った駅、降りる駅まで同じで、とても驚いた。今日話したところによると、マーシャはアリーナの叔母で、一緒に住んでいるのだという。そういえば、今日アリーナから携帯にSMSが届いていた。
 メッセージはこう始まっていた。”С ДНЁМ СВ.ВАЛЕНТИНА!(バレンタインデーおめでとう!)”

 バレンタインデーにはどんな言葉を贈るのか、店に陳列されていたメッセージカードの中からいくつか紹介しておこう。

”Я всё же надеюсь, ты помнишь всегда, Как сильно люблю я тебя.”

”Мне так повезло, что нашла я тебя, половинку свою”

”…Я так счастлив, что ты со мной!”

”Ни дня не могу я прожить без тебя, Ведь ты половинка моя!”

訳は敢えて掲載しないことにしておく。