フジテレビテレビ寺子屋
鎌田實(かまたみのる)のお話より
私たちは必ず年を取ります。それまで右肩上がりで来た人もどこかでピークを迎えます。下り坂になったとしてもその下がり方を少しでもゆっくり、緩やかにしたい…。そして緩やかに下っていく中で、昨日より今日の方が少しでもいいように努力していくことが生きていくコツだと思います。 80歳を過ぎたある女性のエピソードです。乳がんが肺にも転移して酸素吸入が必要でした。私が緩和ケア病棟の回診に行ったとき、
彼女は理学療法士と歩く訓練をしていました。息はゼイゼイしてとても苦しそうです。私は彼女に「無理はしないで、がんばらなくてもいいんだよ。」と声を掛けました。すると彼女は「先生、余計なこと言わないで。私にはやりたいことがあるのよ。」と。そのために歩く練習をしていたのです。 彼女は自分の余命も全部わかっていました。「家に帰って梅の漬け方をみんなに教えておきたい。」リハビリをしていたのは
その願いをかなえるために必要な筋肉を鍛えていたのです。「その日漬けた梅が熟す頃、自分はもう生きてはいないし、食べることもできない…。」そのことを彼女も知っています。彼女は全部自分で決めました。すると納得ができるのです。感謝することができるのです。それを支えていたのが筋肉だったのです。
やりたいことは大切です
力になります
おばあちゃんは一時退院して家族親戚皆集まって梅の漬け方を伝授したそうです
思い残すことはないと言ったそうです
自分は浸かる頃には居ないけどご近所にもお裾分けして皆で食して少しだけ自分を偲んでくれたら幸せだと言います
きっと平凡にまじめに生きてこられたのでしょうね
私もこうありたい