野葡萄の色づく秋に恋は散りすくはれぬ身を風にゆらしき 揺之
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とほき夢わらはのころに君を見てあはき思ひに胸をしぼりき
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むらきもの心にかかる薄雲をはらひのけてはおのれを立てり
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ふたたびとかへらぬ人の思ひ出を小箱にとぢて枕にそへぬ
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ひさかたの月の光を身に浴びて心に痛き昔を思ふ
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とほき日に君のうたひしことのはのあかき心を今更にこふ
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面影を月に描きて幻の君を見上ぐる夜半のひととき
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はてしなきみづのむかふに見る夢を胸に抱きつつ浜辺を歩く
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思ひ出の川辺にひとりたたずみて昔の人の幻を見る
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夏草の深きうれひをしろかねの水面に映し涙に落とす
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夢のごと過ぎし日々をぞかへりみて夕日をまとふ人の悲しみ
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