大同大学-高森裁判 経過ブログ

「ペンネーム使えますか?」
問い合わせただけで契約を解除された高森が、支援者とともに裁判を闘うドキュメンタリー。

表見代理とは?

2009-07-28 02:30:25 | 法律論
 前回の被告大学が提出してきた第2準備書面で大切なのは、教室主任の監督下において○○准教授は「補助的作業」をしていたにすぎないということです。
 教室主任の教授は、カリキュラム編成の責任者であり、その人の監督のもとで「お引き受けいただきありがとうございます」なんてメールが来ているということは、普通なら「ああ、採用されたんだな」と思うだろうということがはっきりしました。
 なので、契約の成立性はより強固なものとなっただろう、というのが第一段階の論証。
 さらに、たとえ採用権限がない一教授個人がメールをしていたのだとしても、少なくとも大同大学は「リストアップの権限」は認めているので、その教室主任の教授が本来与えられている権限を楡越して行使したということにはなるだろうというのが第二段階の論証です。このように一部の権限を与えられた人が、外見上、それ以上の権限を与えられているかのように振舞うことで、それを信用した人が締結した契約は成立しているということになります。
 たとえばデパートの食器売り場の店員が、美術部が扱うべき壷を売ってしまった。本来は食器売り場の店員は、食器を売る権限は会社から与えられていますが、壷を売る権限はなかったのですが、お客さんとしてはそのデパートの店員さんが売ってくれているのだから、そんなことは知りません。ところが、その壷が売れちゃっていることを知らない美術部の店員さんが別のお客さんにもその壷を売ってしまった。なんとか先に売れちゃっている壷を美術部の店員さんは取り戻したいと思ったのですが、それは可能か?というような問題です。
 食器売り場の店員さんには、壷を売る権限がなかったので、売買契約は成立していないということにはならないんですね。契約は成立しています。
 このように契約が代理権限を越えて成立することを「表見代理」といいます。

 同様に、今回、たとえ教室主任の教授にはリストアップの権限しかなかったと大学が言っても、その権限を越えて権限を行使し、採用を通知するメールを准教授に送らせており、私にその旨が届いたということで、表見代理の法理ははたらくという主張をしています。

 とかいって、なんのことはない裁判が終わってから、「「ひょうけんだいり」ってどんな漢字を書くんですか?」なんて聞いちゃったくらいなので(笑)、そんなことがあるなんてはじめて知りましたけど、言われてみたらそうなってもらわないと困ることが世の中いろいろあります。
 権限て?というエントリーで同様の疑問は発していて、普通の人が考える程度のことは、法律もちゃんと考えてあるんですね。ただし、法律的には表見代理が成立するためには、いくつかの条件が必要で、今回の書面や、紹介者の先生の陳述書でその条件がそろったと、竹内弁護士は判断をしたようです。

ご支援いただける方はクリックをお願いします!!
 ↓ ↓
人気ブログランキングへ

最新の画像もっと見る