大同大学-高森裁判 経過ブログ

「ペンネーム使えますか?」
問い合わせただけで契約を解除された高森が、支援者とともに裁判を闘うドキュメンタリー。

河合塾の雇い止め裁判

2009-05-23 01:13:37 | その他
つぎのような記事が数日前に流れていました。
スポニチの記事からです。

350万円支払い命令…講師契約終了で河合塾に

 予備校大手の河合塾(本部・名古屋市)の元非常勤講師、須藤真一郎さん(54)=熊本市=が、契約を終了したのは違法な雇い止めだとして、慰謝料支払いなどを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は19日、請求棄却の1審福岡地裁判決を変更、河合塾に350万円の支払いを命じた。

 判決理由で西理裁判長は、須藤さんが自分の意思で契約書を提出しなかったことから「雇い止めとは認められない」としたが、担当講義を減らすよう強硬に契約の不利益変更を迫った塾側の態度を「収入が大幅に減少し、生活が成り立たなくなる境遇への配慮が甚だしく欠ける」と判断した。

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 雇い止めは認めないながら、慰謝料は認めるという判決で、折衷案ですね。
 この人が、契約をしていたら、どういう判決になっていたか分からないのですが、「業績評価に基づいてコマを減らすなら、ある程度の金銭的な保証はしてあげなさいよ」ということでしょう。

 業績が長年振るわない人を、裁判所や労働組合がどの程度守るのか、というのは難しい問題です。連合などの労働組合は「正社員」でありさえすればなんであれ守り続けているわけですが、それでは回らなくなってきている感じがあります。退職年齢に近い正社員が窓際にいようが、ともかく雇用は保証されて、それなりに年功賃金制で上がった賃金をもらい続ける。そのために若者には賃金が回ってこないという現実があります。それでも、人件費を抑制しないとグローバルな競争には勝てないということで、非正規雇用が増えていっているし、大企業でも出世していける人の割合は少なくなっていて、万年平社員率が上がってきている。
 予備校という業界的に言うと、企業業績が評判に大きく左右される業界にあって、あまりにも業績が出せないでいる人を雇用し続けるのは、業界全体の売り上げを押し下げる可能性が高いので危険なことです。裁判所が、あまりに重い規制をすると、業界自体の生産性を低下させる可能性もありますね。そう考えると、ある程度の賃金保障をすれば、整理解雇が可能なのかもしれない、という判決の着地点は絶妙かもしれません。(この事件の個別性の問題等々もありはっきりと整理解雇が可能である、といえるのかどうかは難しいかもしれません)裁判官は、こうしてどこから見ても文句が出にくい判決を書こうとする性質があるのかもしれませんね。その結果、原告、被告ともに不満かもしれませんけど……。裁判所が損をするような判決はありえないので、大岡越前の三方一両損みたいなのもありえないですしね。
 授業以外の仕事も用意して、そういう仕事もやってもらうなどのことも考えたほうがいいのかもしれません。とはいえ、模試作成などの業務のほうが、授業よりもさらに神経も使うし、難しいんですけどね…。

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2 コメント

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少子化の波 (土肥ポン大)
2009-05-23 08:06:16
河合塾はまだYさんやSさんに比べ業績がいいですが
少子化が一層厳しくなり、予備校業界は斜陽産業となってきています
酒を飲んで授業を出来ると言っていた自由な時代からはだいぶ変わりましたね…。
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インサイダーww (高森)
2009-05-25 03:03:38
私は、わりとインサイダーであったりします。
酒を飲んで授業するというか、生徒が教卓にビールを準備してあるというような時代があったようですね。

少子化は、いま、低レベルな安定(微減)になってきています。
年齢が下のほうから厳しくなってきますので、大学はいま一番厳しいんじゃないでしょうか。4割の大学が定員割れ状況で、どんなにお勉強ができなくても受験に来ただけで入れるしかないわけで、学力の低下も著しいと思いますよ。
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