母がまだ若い頃、僕の手を引いて
この坂を のぼる度 いつも溜息をついた
溜息つけばそれで済む 後ろだけは見ちゃ駄目と
笑ってた 白い手はとても柔らかだった
運がいいとか悪いとか人は時々口にするけど
そういう事って確かにあるとあなたを見てて
そう思う
忍 不忍 無縁坂 噛み締めるような
ささやかな僕の母の人生
これは僕の大好きな「さだまさし」の歌、“無縁坂”の歌詞です。
最近この歌詞に深い意味があった事を知った。
この歌の出だしの”母がまだ”は、元々、さださんが学生時代に書いた小説(未発表)の冒頭を歌にしたものだそうで、
小説では、”坂の上には父の家があった”という、続きがあったそうです。
坂道を、小さな子供の手を引いて、ため息をつきながら子供の父親の家に向かう女性。
そう、そこにはこういう情景が浮かんでくる。
子供の養育費を、母が元夫か内縁の夫に受け取りに行くという情景なんですね~。
母とこの子の父とは一緒に住むこと無く、結局、母と父は実質的な意味でご縁が無かったという意味と東京上野、文京区にある不忍池から東京大学近辺の無縁寺に至るこの無縁坂の上にある家に父が住んでいたという事を重ねたと思われます。
「溜息つけばそれで済む、後ろだけは見ちゃだめと」
「運が良いとか悪いとか~人は時々口にするけど、そういう事って確かにあるとあなたを見ててそう思う」
この歌詞からこの女性の薄幸な人生が偲ばれる大変深い意味が
あったんですねー!