油屋種吉の独り言

日記や随筆をのせます。

ここで、気をひきしめよう。

2021-10-28 17:09:27 | 日記
 こんにちは、ブロ友のみなさま。
 お変わりありませんか。

 あれほど猛威をふるった新型コロナ
ウイルスですが、いったいどうしたと
いうのでしょう。

 国内のどの地域をとってみても、新
たな感染者が急速に減っています。

 これでは、だれが見ても、ウイルス
自体が、どうかしたんだろうと思って
しまいますね。

 多くの人々がワクチン接種を受けた
からとか、飲食業の方々が午後八時以
降の営業を控えてくださったからとか。
 ほかにも、さまざまな原因が考えら
れるでしょう。

 きわめて几帳面な人々の多いお国柄
ですので、マスクや手洗いの励行など
しっかりやっていました。

 しかし、それにしても、ここまでの
感染者の減少を、どなたが予想なさっ
たでしょう。

 わが県の感染者は、昨日、まったく
おられませんでした。
 ゼロです。
 ほんとに久しぶりのことでした。

 いっときは、一日で、数百人の感染
者が出ていたのですから、ああ、これ
でコロナが終わる。
 そう感じ、うれしくて、うれしくて
たまりません。

 いま、東京大学の児玉龍彦先生のお
言葉が胸にひびきます。
 「増殖が一定限度を越すと、ウイル
ス自体の安定性構造がこわれ、自壊す
る」
 
 このお言葉で、わたしが、どれほど
安心感を与えられたかしれません。

 先だっての東京オリンピック・パラ
リンピック。

 八割がたの国民が反対したにもかか
わらず、実施されました。

 全世界から来られた選手のみなさん
が、日頃の練習の成果を、多少のご不
便がある中でも、十分に発揮されたで
あろうこと、わたしの喜びとするとこ
ろです。

 当事者のみなさんの努力に敬意を表
したいと思います。

 しかしながら、新たな新型コロナウ
イルスの変異株が、国内に入ってきた
ことについては、まことに残念なこと
でした。

 急激な感染者の増加がありましたね。
 みなさんも憶えていらっしゃること
でしょう。

 残念なことに、感染し、入院したく
ても、ベッドが満杯。

 自宅で様子を見ざるをえない方がた
くさんおられたのは、まことに心残り
なことです。

 さぞ不安なことだったでしょう。

 不運にも感染し、退院したものの後
遺症で苦しんでおられる。

 そんな方が数えきれないほどいらっ
しゃる。

 力及ばすして、肺炎で亡くなられた
方は、ひとりやふたりじゃありません。

 心より、お見舞い申し上げます。

 これからは、なんといっても、港や
空港での水際作戦を、しっかりやらね
ばならないのではないでしょうか。

 わたし自身、心をひきしめ、人から
感染しない、感染させない工夫を、心
がけたいと思います。

 さもないと、若い方々が、安心して
暮らしていけなくなる。

 ブロ友のみなさん、どうぞお元気で
お暮しください。
 

 



 

 
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つむじ曲がり  (6)

2021-10-11 23:38:41 | 随筆
 こうして、じぶんの少年時代に起きたであ
ろうことを、ひとつひとつ順不同で記憶の引
き出しから取り出しては、小説仕立てにしよ
うとする試みは、作者にとって、とても恥ず
かしいことではある。
 しかし、読んでくださる方にとっては、と
ても興味ある事柄にちがいない。
 むろん、描かれていることすべてが、真実
だったかと訊かれると、否と答えるほかない。
 けれども、ほとんど事実に近い。
 わたしとしては、そう断言できそうな気が
する。
 なぜかといえば、それらひとつひとつが年
老いて硬くなりそうな、わたしの脳に、いま
なお強烈に刻みこまれているからである。
 いやだ、とか、うれしい。ぞっとした、と
か、とってもびっくりしたとか……。
 激しい感情を伴っている。
 思い出は、思い出にすぎない。
 あらゆる人やものが白い霧におおわれては
いる。
 しかし、ときどき、吹きすぎる風によって、
それらがあらわになる。
 その瞬間をとらえ、言葉で表す。
 その困難さを、いま、切実に感じている。
 「想い出は、たましいの香り」
 そうおっしゃった異国の方が、おられた。
 ジョルジュ・サンドさんだったろうか。
 百聞は一見に如かず。
 言葉だけでもって、事象をあらわすことの
不完全さ、あいまいさを自覚せずにはいられ
ない。
 映像があれば、と思ったりする。
 小説は作り物であるから、当然、そのほと
んどは、うそで塗り固められてはいる。
 だが、行間からにじみ出ている何かを、読
者が読み取っていただければ、作者としては
このうえない喜びです。
 「公道で裸で寝ころがるくらいの度胸がな
いと、小説が書けないんだよ」
 とおっしゃったのは、どなただったろう。
 その言葉を誰に向けておっしゃたのか。
 わたしとしては、男の方が、女の方に話さ
れたと記憶している。
 多分に私小説の領域でのお話だっただろう
けれども。
 小説とは何ぞや。
 それもわからず、書き続けた十年。
 まだまだ小説の森のなかで、迷いに迷って
いる。
 これからは、つたない作品をいくつか、恥
ずかしげに、お届けするつもりです。  
 よろしく。
 
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つむじ曲がり  (5) 

2021-10-03 17:36:33 | 小説
 きょうだいは、男三人。
 種吉は一番先に生まれた。
 「あんたは長男やからな。しっかりせんと
あかんで」
 何かにつけ、母から言われる。
 (ほんなら、えらそうにしてよ)
 種吉はそうひとり合点し、ふたつ年下の弟
Kともめごとが起きたときには、あんちゃん
かぜを吹かした。
 一番下のMとは仲が良い。
 六つばかり年が離れているからか、種吉は
かわいくてしかたなかった。
 彼が幼稚園から帰って来て、母が留守のと
きなど、よく枕もとで、ねんねんころりよと
歌った。
 すき焼きが、なによりのごちそう。
 白い脂肪のかたまりを、よく熱せられた平
たい鍋にほうりこみ、割りばしでつかみ、ぐ
るぐるまわす。
 ぷうんと脂の匂いがし始めたら、具を入れ
る。固いもの順。くじら肉やかしわ。
 かしわとは、鶏肉のことである。
 ほどよく煮えたところで、水菜やあぶらげ
を入れる。
 調味料は、しょうゆ。
 砂糖は、お好みの量。
 豆腐やこんにゃくは、すぐ煮えるから、一
番あとに鍋にとびこんだ。
 「ほら、ちょっとどいてや」
 白い割烹着を着た母が命令すると、きょう
だい三人、わっとのけぞる。
 何を一番に食べようかとそれぞれの箸を突
き出している矢先である。
 それぞれ、ごくりとのどを鳴らして、美代
の次の言葉を待つ。
 仕上げは、水入れだ。
 熱したあぶらの上に入れるからたまらない。
 水がジャアッとはじける。
 白い湯気が天井まで一気にあがり、つるさ
れた傘付きの大きな豆電球が一瞬、消えてな
くなってしまう。
 「ほら、いいよ。食べな」
 美代が、ほほえんで言う。
 鍋の上で、六本の箸が、からまる。
 まるでちゃんばらごっこだ。
 「あにき、おまえ、いま、菜っ葉の下にく
じら肉、かくして食べたやろ」
 Kが主張する。
 「あほ、言うな。そんなことしてへん。お
まえこそ、いま、食べようとおもてたの、とっ
たやろ」
 種吉が言い返す。
 「ちゃんとこの目で見てたんや」
 Kは、種吉の動作を、箸の上げ下ろしに至る
までしっかり、目に刻みつけている。
 「お父ちゃん、今ごろまだ働いていやはる。
きっとおなか空かせてはるで」
 美代がびしっと言う。
 とたんに、三人のからだが、少しちじむ。
 「あにき、おまえが一番わるい」
 Kが口をとがらす。
 「いや、おまえや。こせこせしてるさかい、
からだがいつまでも、おっきならへんのや」
 「なにを、ちゃうちゃう、おまえがわるい。
おれの分まで手を出すからや。ふん、そんな
に太ってしもて。お前の肉、しまいに食べた
るわ」
 ガラッ。
 玄関の引き戸が、突然、開いた。
 ただいま、が聞こえない。
 足音が通路でひびきだした。
 「父ちゃんや。帰って来やはった。きょう
は早いお帰りや」
 種吉が、ひそひそ言う。
 きょうだいふたり、静かになる。
 先ほど、美代がスイッチを入れた真空管ラ
ジオがようやく、うう、ううとうなりだした。
 
 
 
 
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする