油屋種吉の独り言

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そうは、言っても。  (5)

2020-10-31 12:17:37 | 小説
 北関東から上越道へ。
 この道をいくどか走ったことのある運転手
のМはおしゃべりしながら運転していく。
 だが、高速運転はとても疲れる。
 一般道路でも二時間が限度。高速道ならもっ
と短いのがいい。せいぜい一時間がいいとこ
ろだと、種吉は思う。
 まるで計算問題をやるように、交代時期を
さぐった。
 何事についても、浦島太郎ぎみの種吉でも
ある。
 若い人話に、容易についていけず、Мの口
から飛び出す聞きなれない言葉に戸惑った。
 しかし、それを表に出さない。
 さも知っているかの如く、うんうんと首を
ふった。
 「へえ、ジャンクションっていうんだ。そ
うだよな。聞いたことがあるような」
 道が交叉して、上がり下がりしているとこ
ろに、車がさしかかったところで、種吉はふ
いのめまいにおそわれ、思わず、目を閉じて
しまう。
 「うん?おやじ、急にだまっちゃって。いっ
たいどうしたんだい」
 子どもだとばかり思っていた三男の野太い
声に、今更ながら種吉はぎょっとしてしまう。
 「うんっ?あっなんでもない。ちょっとば
かり目が回っただけさ。あのな、あれだ。そ
うそう、おれ、ブランコが苦手でさ。大きく
振られると怖くってさ。ふわっと自分の魂が
どこかに飛んで行っていまいそうで…」
 「けっ、そんなんで運転できるの。やんな
いほうがいいんじゃないの。失敗したな。こ
れじゃおれひとりでずっと運転しなくちゃな
んないや」
 Мはしばし、だまりこむ。
 ほかの家族のおしゃべりがふいにやんだ。
 (まったくなんだっていうんだろ。一番下
のきょうだいがこうまで言ってるのに、あん
ちゃん連中がふたりとも……)
 種吉はそっと目を閉じた。
 新たな道に車が乗り入れると、平坦な道が
ずっとつづいていた。
 種吉はため息をつき、子育てに加われなかっ
た自分をうらめしく感じた。
 (おれの立場もあるが、仕事いちずであま
りかまってやれなかったのがわるかったんだ)
 ああだこうだとマイナスばかりに目が行き
そうになったとき、
 「わたしがやるから大丈夫よ」
 かみさんが口を開いた。
 「かあちゃんは、やんないでいい」
 Мがはっきりと言った。
 「どうしてよ。わたしだって父ちゃんより
キャリアは長いよ」
 「だって、しょっちゅう、方向がわかんな
くなちゃうんだろ」
 「うん、まあ」
 兄ふたりは、こんな事態になっても、うつ
むいたまま。
 「もう少ししたら、パーキングがあるから
ね。そこで休もう」
 Мは自分を振り切るように言った。
 「そうだ、そうだ。コーヒー飲んだり、お
いしいもの食べたりしたら元気がでるぞ。老
いたりとはいえ、おれはだってな、まだまだ
使える。ほら眩暈なんてもう治っちまった」
 種吉が大声をだした。
  
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MAY  その70

2020-10-25 21:51:24 | 小説
 それから、数日後。
 メイはニッキをともない、洞窟をたずねた。
 本格的に、キラキラ石の標本を採るためで
ある。
 お天気は、サイアク。
 早朝から降り出したみぞれが、いつの間に
か雪に変わっていた。
 「こんな天気だけど、メイちゃん、大丈夫
かい」
 ニッキの声が少しうわずる。
 唇が真っ青だ。
 「ええ、わたしはだいじょうぶよ。ニッキ、
あなたこそ寒くてたまんないんって感じ。声
が変だし、くちびるがぶるぶるって」
 「ちがうよ。震えてなんかいないよ。これ
はね、これは、なんていうか。あっそうだよ。
武者ぶるいってやつ」
 「へえ、ああ、そうですか。ニッキって正
直じゃないのね。寒いならさむい。怖いなら
こわいって、はっきり言えばいいじゃないの」
 降雪のために、ふたりの会話は森の中で響
きはしない。
 「それにしても、ニッキったら、着ぶくれ
してさ。まるで雪だるまさんね」
 「ふん、人のことは言えないね。メイちゃ
んだって、似たようなもんだ」
 「なにを。言ったわね。このクラス一番の
がんこもの」
 「いつのことを話してるんだい。関係ない
だろ、今は?中学のときじゃないか、それっ
て?先生の数学の答えがおかしいって、おれ
が言い張ったのを、今頃までおぼえてるなん
てさ。ああ、おどろいた」
 「わたしだけじゃないわ。みいんな知って
たわ。あなたはいつだって、自分の意見を押
しとおそうとしたじゃないの。そのたびにさ、
先生に大目玉をくらって。わたしたちまでつ
まらない思いをしたわ」
 「ああ、わるかったよ。がんこものでさ」
 ニッキは、ふいに、下を向いた。
 しばらく黙ったまま、歩きつづけた。
 「ニッキ。ニッキったら、おこったの?」
 メイは、ニッキの口を開かせようとするが、
がんとして、しゃべろうとしない。
 どんどん歩きつづけ、メイを置いてけぼり
にしてしまった。
 「ちょっと待ってよ。いいわ。お父さんに
言いつけてあげる」
 もっといいお天気の時に、洞窟をたずねれ
ばいいようなものだが、敵の眼があった。
 敵は、メイの動向を監視していたに違いな
いが、それほど繊細ではないらしい。
 キラキラ石の力がどれほどのものか、いま
だに測りかねているようにみえる。
 本当の力を知りえていたら、一度っきりの
失敗で、洞窟の壁を突破することをあきらめ
たりしないだろう。
 敵をだますには、まず味方から。
 どこにどんなふうに、スパイが入っている
やもしれなかった。
 そんなわけで、地球防衛軍にしても、あま
りに大規模に、キラキラ石採取を始めるわけ
にはいかなかったのである。
 「こいつめ。わかんない人にはこうしてあ
げる」
 メイは地面に降り積もったばかりの新雪を
両手でつかむと、おにぎりほどの大きさにま
るめて、先を行くニッキに向けて投げつけた。
 その球が、丁度、ニッキの襟首に当たった。
 ニッキは立ちどまり、ふり向くと、
 「ようし、そんならこうしてやる」
 たちまち、ふたりして雪合戦が始まった。
 突然、まったく別の方向から、雪の玉が飛
んで来て、メイを驚かせた。
 「あなたって、急に現れたりして。いった
い誰なのよ?びっくりするじゃないの」
 「わたしよ、わたし。わかんない?久しぶ
りだわね、おふたりさん。まるで同窓会だか
らさ。いいじゃない?わたしが雪合戦に参加
したって?」
 「わたしって、言ったって?誰だか、わか
らないじゃないの。まるっきりフードで顔が
隠れてるわよ。声はおぼえがあるけど」
 ニッキも気づいたらしい。
 ふり向いたまま、新たな声の主を見つめて
立ちすくんでいる。 
 
 
 
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MAY  その69

2020-10-19 16:54:59 | 小説
 あたたかいしずくがひとつ、ふいにぽたりと
メイのひたいに落ちてきた。
 メイはあっと声をあげ、
 「やっぱり……、そうですか。ほんとにあた
し、どんなにか、あなたに会いたかったことで
しょう」
 幼い子がいやいやをするようにして、どうに
か声をしぼりだす。
 「メイちゃん、ごめん、ごめんね」
 わきにいる女の人の声がふるえだした。
 彼女の眼から涙がぽたぽたと落ちてきて、メ
イの顔はたちまちびしょ濡れになった。
 ものごころついて以来、メイは周囲のこころ
ない人々から、奇異の眼で見られた。
 特に子どもは残酷で、彼らからおやなしっ子
とののしられ、つらい思いをかさねた。
 人の不幸は蜜の味とばかりに、世間にわるい
うわさをたてられ、モンクおじさんやメリカお
ばさんを困らせた。
 メイはやっとの思いで、かたくなに閉じてい
るばかりだった両目をあけた。
 だがどうしたことか、視界がぼやけている。
 (わたしまで泣いてるんだろうか。いやそん
なことってあるわけないわ。だって実の親って
今さら名のったって……、ほんと憎たらしくて
たまらないわ)
 だが、メイはぐっと唇をかみ、爆発しそうな
ほどに高まった感情をおさえた。
 「メイ、メイ。あなたったら、こんなに大き
くなって。オンラインで察してはいたけど実物
とはおおちがいね」
 メイの視界が次第にくっきりしていく。
 「ママ……、マ……。おかあさん」
 メイがベッドの上で身を起こしたとたん、ふ
たりは抱きあった
 「ながいあいだ、あなたをほうっておいて」
 「連れ去られた子どもたちを助けてくれて」
 ふたりの会話はすぐにはしっくりかみ合わな
いでいる。
 だしぬけにドアが開いて、荒々しいがさっき
よりはおだやかな靴音が部屋に入りこんだ。
 (さっきの男の人みたい。いったい誰だろう。
顔をよく見てやらなくちゃ)
 「アステミル、お前ばかりがふたりきりでい
てどうする。泣いてばかりじゃないか。もっと
いろんなことを話してやらなくちゃ」
 「ええ、ポリドン。わかってるわ。あなたは
いつだって理性的よ。冷たいくらいにね。あな
た、メイにはできるだけ穏やかにしゃべってあ
げて」
 「ああ、わかってるさ」
 わきにいたのは、やはりメイの母親だったら
しい。
 アステミルは椅子からふわりと立ち上がった。
 彼女の代わりに、今度は顔じゅう髭だらけの
男が椅子にすわった。
 彼はふうとため息を吐いた。
 メイはたばこくささに、思わず、手で鼻をお
さえた。
 ベッドのまわりの雰囲気がいちどきに暗いも
のに変わってしまった、と、メイは思った。
 「メイ、か。いい名をもらえて、ほんとに良
かった。モンクおじさんやメリカおばさんに世
話になって、お前は幸せ者だったね」
 「勝手なこと言って。赤ん坊のわたしを遠い
星に放り出しておいて……。」
 メイの口から、言いたいことが次々に出て来
てしまう。
 ポリドンは黙って聞いていた。
 メイは両手で彼の胸をたたきはじめたが、彼
はその痛みをこらえ、両手でそっとメイのから
だを抱いた。
 どれほど時間でメイの感情の高まりがおさまっ
ただろう。
 「お、と、う、さん?ほんとうにわたしのパ
パなのね。ポリドンって言うんだ」
 ようやく彼女は言った。
 「ああ、そうさ」
 ふたりはしばらく口を閉ざした。
 「よほどの理由があったんでしょうね。生ま
れたばかりのわが子をひとりぽっちにしてしま
うなんて……」
 「そうさ。よほどのわけがあってのことだ」
 ポリドンは、はっきりと言った。
 
 

 
 
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MAY  その68

2020-10-13 19:51:35 | 小説
 宇宙船の内部に立ち入るのは、メイにとっ
てもちろん初めての経験である。
 できることなら体調のいい時に入りたかっ
た、とメイは唇をかみしめた。
 (そばに男の人がいるんだ、それも煙草好
きみたい。わたし、煙草を吸う人なんて大っ
きらいなのに。ニッキはどこにいるの。早く
わたしのそばに来て。怖くてしかたないの)
 自分が収容されている部屋の今の様子が知
りたくてたまらない。
 すぐさま目を開ければすむことだが、不安
ばかりが高まってくる。
 さっきのたばこ男は、部屋から出て行った
らしく、ゴンゴンいうかたい靴音が次第に遠
ざかっていき、シュウシュウッと扉が開いた
り閉まったりしたあと、部屋の中はまた、静
けさをとりもどした。
 どれほどの時が流れ去ったろう。
 あまりの静寂も、人を不安に追い込んでし
まうもの。
 たまらず、メイは、足首まであるパンツの
腰のベルトをすらりと抜き取ると、その金属
部分で、ベッドの枠をコンコンたたいてみた。
 すぐにはなんら反応がない。
 ほんのつかの間の静けさを、小鳥のさえず
りが破った。
 続いて、さらさらと水の流れる音がしたか
と思うと、ゆっくりした音楽が室内に流れは
じめた。
 木々の葉をようやく揺るがすくらいの風の
音がまじる。
 (この旋律……、これってわたしどこかで
聞いたことがある。そうそうだわ) 
「ニッ、ニッキ」
 メイはいたたまらなくなり、思わずニッキ
の名を呼んだ。
 メイはこころの中で、いちにいさんとかぞ
えてみた。
 扉が開いたらしい。
 シュウッという音とともに、さっきより軽
やかな靴音が聞こえ、それが次第にメイが横
たわっているベッドに近づいて来た。
 「メイ。きみにとっては長すぎる時間だっ
たろうが、ぼくにとってもそうだった」
 ニッキがゆっくりした口調でしゃべってい
る間に、ほかの誰かが部屋に入ってきたよう
で、もうひとつの靴音がメイの鼓膜をかすか
にふるわせた。
 その靴音は、できるだけ大きな音を立てな
いぞという靴を履いている人の意志を感じさ
せた。
 「だれ?どなた?もうひとりそこにいらっ
しゃるのでしょう?」
 不安と期待が入りまじった感情で、メイの
こころはいっぱいになった。
 「お願い、ニッキ。もうこれ以上わたしを
怖がらせないで。だれ、だれなの。ニッキと
いっしょにいるのは」
 メイはもう少しで大声を出しそうになった。
 メイは改めて自分の能力のなさをうらんだ。
 ちょっと前なら、目を開けずとも、ベッド
のまわりの状況くらい、手に取るようにわか
るはずだった。
 (どうしてどうして、あの力が使えないの。
もうなくなってしまったの?くやしい)
 メイはぽつりと言った。
 ふいに誰かがメイの左手をつかんだ。
 ほっそりした指、とてもやわらかい手のひ
ら……。
 「ママ、ママなの?」
 メイは、はっきりした口調で言った。


 
  
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そうは言っても。  (4)

2020-10-07 18:19:07 | 小説
 あれやこれやと大小の荷物を車内に積み
込んでから、最後に家の戸締りを確認し終
え、ようやくの出発となった。
 「忘れ物はないかな」
 種吉のことばに、しばらく、ほかの四人
が沈思黙考。
 「あんた、えらそうなこと言ってるけど。
自分はどうなんだい?いつだって忘れ物の
常習犯じゃないの。それにさ、運転するっ
ていうけど、大丈夫かい。ちゃんと目がさ
めてるんだろね。夕べは遅くまで起きてた
みたいだったけど。居眠り運転なんていや
だからね。高速なんだから、事故起こした
ら、即、あの世行きだよ」
 「まったく縁起でもない。それじゃいわ
してもらうけど。自分はどうなんだい。出
ずっぱりで、家のことはいつだっておろそ
かだろ。プータローのえさはどうだい。ちゃ
んと誰かにたのんどいたかな?帰宅したら、
プータローがいなくなってた、ってことに
ななきゃいいが」
 妻に向かって、めったに文句をいわない
種吉だが、この日はめずらしく、いきがっ
てみせた。
 「あんたに言われないでも、隣の奥さん
に、よおく頼んでおきました。男のくせに
ほんとにうるさいったらありゃしない。あ
んたね。塾の生徒に、休むってちゃんと連
絡しといたんだろね」
 種吉の顔色が暗くなった。
 「ああそうか。そうだったな……。もう
おれとしたことが……」
 「ほらごらん。いわんこっちゃない。人
のことをとやかく言わないこと。なにより
先に自分をふりかえってみること」
 「ああそうやね、ごもっとも。えらいす
んまへん。わたしがわるうございました」
 種吉はせっぱつまった時に、よく生まれ
故郷のことばで応じることがある。
 できるだけ気持ちよく出発したい。出が
けにごたごたは禁物だ。
 そう考えた三男は、つくり笑顔で、
 「まあまあ、ふたりともそれくらいにし
ておいてよ。子どもにとっては聞きづらい
しね。お父さん、おれが最初に運転するか
ら休んでいて」
 先陣を切って走るからと宣言する彼の方
を種吉はちらりと見やったが、すぐにあら
ぬ方を向いた。
 目がしらがじんとする。
 最寄りのインターに向け、車は軽快なエ
ンジン音をたてながら走り出し、北関東道
にのったところで、助手席の種吉はそっと
目を閉じた。
 (久しぶりにふるさとの土を踏める)
 そう思うと、生まれ育った土地の風景が
つぎつぎに浮かんできて、たまらない思い
になった。
 たとえ行きついたところで、彼が描いて
いる景色が見られないのはわかっている。
 胸に抱いている風景は、半世紀以上も前
のものだからだ。
 それでも故郷は生まれ育ったところ。
 考えただけでも、胸のあたりがじわりと
ぬくもる。
 息子は、機敏に他の車をさけようと、右
に左に進路を変更しながら、運転していく。
 九十キロはかるくオーバー。
 (おれは大丈夫だろうか。きちんと運転
できるだろうか)
 種吉は車窓をすばやく流れ去る景色を見
つめながら思った。
 「運転さ、ひとりでやろうとしないでな。
疲れたらすぐ変わるから」
 種吉はまっすぐ前を見ている三男に、や
さしく声をかけた。
 緊張で手が汗ばむのか、しきりに上着の
袖でふく。
 「ああ、わかってるよ」
 連休の初日。
 次第に車が増えてくる。
 男が四人いても、実際に運転するのはたっ
たふたり。
 彼らはぺーパードライバー同然だ。
 これから先のことを考えると、種吉のお
なかがしくしく痛み始めた。
 せっかくのうれしさ、楽しさが、たちま
ち半減してしまう。
 三番目の息子は、きょうだいの中でいち
ばん育てるのに手こずったが、いちばんひ
との面倒見がいい。
 その原因のひとつに、祖父母との同居が
あったのではないか、と種吉は思う。
 とりわけ祖母は身体が弱く、かみさんや
彼女のきょうだいたちがかいがいしく世話
していた。
 十数時間後のハッピーな気分を得るため
には、これからいくつもの難関をクリアし
なくてはならなかった。
 この遠距離ドライブは運動会の障害物競
争のようなもの、まあむりせず、楽しくや
ろう、と種吉は思った。
 
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