「浅間山明鏡止水」あさまやま めいきょうしすい

「自然写真家 野生へのまなざし・カメラマン前川貴行」~口語短歌と写真で綴る「世界文化紀行」

「自然写真家 野生へのまなざし・カメラマン前川貴行」~口語短歌と写真で綴る「世界文化紀行」
「動物写真家 前川 貴行〈まえかわ たかゆき〉」
2月28日BSNHKで前川貴行さんの世界を放送していました。私は彼の動物を撮影する姿勢や写真を見て一瞬のうちに心を奪われました。前川貴行さんは霊長類やクマ、ヒョウなど様々な野生動物を、息づかいを感じるほどの間近で撮った作品で知られています。

正面から向き合う動物たちの視線から、その心のうちまで感じるような作品が特徴です。じっくり時間をかけて相手との信頼関係を作り、距離を詰めていく独自の撮影で、生きものたちの思わぬ素顔が描き出されています。

今回手法は変えずにツキノワグマ、ニホンカモシカ、イノシシの撮影に挑戦されました。文章説明は前川さんの語りで構成されています。


ツキノワグマ
口語短歌
「視線から 向き合う瞬間 撮影は 動物たちの 思わぬ素顔が」



夏から秋にかけて東北地方の沼地で、ツキノワグマの撮影に取り組んだ。写真家として活動しはじめた頃、まず最初にクマの仲間を撮っていこうと決めて、北米や北海道などでずっとクマに接してきた。本州にすむのはツキノワグマだが、ヒグマにくらべてこぢんまりとしているものの、漆黒の毛並みも美しく、僕のお気に入りの生き物だ。クマが鮭を食べている姿はとても面白くて、ずっと見ていたかったですね。


ニホンカモシカ
口語短歌
「カモシカと 間合いを詰めて 見つめ合い シャッター押す 感動の瞬間」



カモシカの撮影では、長い時は5時間くらい密着して山を歩きます。カモシカを見付けたら15メートルほどの間隔を空けて、逃げられないように付かず離れずの距離を保ちながら付いていくんですよ。やぶの中では木の葉や枝などが邪魔になり、シャッターチャンスもあまり多くないので、姿がはっきりと見える「抜け」の良いところが運良くあれば、シャッターを押します。カモシカは、動物写真家としての僕を鍛えてくれる動物です。

口語短歌
「認め合い 素顔に迫る 表情が 命響き合う 対等な存在」



カモシカも僕が付いてきていること、敵ではないことがわかっているから、こちらを見ているような表情が撮れてもおかしくないと思います。カモシカは地域で保護活動がされていて、個体識別のために名前が付いているんです。生まれた子どもは、最初に見付けた人が名付け親になれるんですよ。僕もある子に「パール」と名前を付けさせてもらいました。ある時、地域の人から、「パールの姿が最近見えない」と連絡をもらい、心配していたんですが、現地に行ったら再会できてほっとしました。


イノシシ
口語短歌
「母親の イノシシの姿 両面も 優しさの中に 厳しさもあり」



それぞれの土地で生きられる動物のキャパシティーは決まっていますから、イノシシが増えすぎると、その土地の環境が破壊されてしまいますね。この写真を撮影したのは兵庫県の六甲山という、市街地に近い山の中で、増えすぎたイノシシが街に出てきてしまうことも多いのです。母イノシシの姿からは、厳しさと優しさの両面が感じられますね。子どもの見つけた食べ物を横取りしてしまうこともあれば、子どもを横たわらせてグルーミングしていることもあります。


「前川貴行 プロフィール」
1969年東京都生まれ。エンジニアとしてコンピュータ関連会社に勤務した後、独学で写真を始める。1997年から動物写真家・田中光常氏の助手を務め、2000年からフリーでの活動を開始。世界を舞台に、野生動物の生きる姿をテーマに撮影に取り組み、雑誌、写真集、写真展などで作品を発表している。2008年日本写真協会賞新人賞受賞、2013年第1回日経ナショナル ジオグラフィック写真賞グランプリ受賞。公益社団法人日本写真家協会会員。主な著書に『動物写真家という仕事』など。

参照
https://www.sanyo-chemical.co.jp/magazine/archives/2170
https://finestable.exblog.jp/23193507/
https://www.markinsjapan.com/report/maekawa/

「2021年軽井沢レイクガーデンに咲いた薔薇たち」
「テレトン」2021年10月7日撮影

コメント一覧

knsw0805
さわさん、おはようございます。
BSNHKで見た瞬間前川さんの写真に釘付け、虜になりました。
前川さんはとにかく慌てない、ゆっくりゆっくり、動物と間合いを取って、まるで友達と接するようにです。
おかわりは見ました。返信も夜にしてあります。
さわやか♪
こんばんは
熊もカモシカもしっかり前川さんと目が合っていますね
ツキノワグマは確かにこじんまりした大きさに感じられます
カモシカの枝の間から見える目からは、野生の厳しさが伝わってきます
目線がバッチリはすごいです! 「パール」と再会できてよかった
イノシシのウリボウかわいいです きちんと並んで寝ていて
自然の中にもルール
前川さんの顔も大自然の中で活動するだけあって力強い顔立ち
野生動物と対峙するときの心境はどのようなものなのでしょうか
これからの撮影も楽しみですね
めずらしい写真をありがとうございました
ゆっくりと自然の中に思いを巡らすことができました
( ^^) _旦~~ おかわり用もあります♪
knsw0805
@fumiel-shima Shimaさん、おはようございます。
前川さんという写真家凄いでしょう。私はBSNHKを見ていて一瞬で虜になりました。まるで友達のようにゆっくりゆっくり近づいて行きます。時には5時間位かけて彼らを待ち続けます。するとどこからともなく現れて前川さんの方をじーと見つめるのです。私は感動しました。前川さんはまさに「動物たちと共存できる社会」を作る具現者です。チャンスがあれば是非動画を探して見てください。素晴らしくて感動されますよ。それからフォローのことは全く気になされないでください。もはやShimaさんとの関係はボタン等超越しています(笑)
fumiel-shima
kenさん、私はいつもkenさんの記事に感動することが多いのですが
今やっと気づいた事がありました。
既にフォローさせていただいていると思っていましたがまだでした。
今、反省しながらあらためてフォローさせていただきます。
fumiel-shima
kenさん、おはようございます。

人間が人間社会に都合の良いように、山や森林を開拓(乱開発等)したりすることによって平和で豊かな食料のある場所を追われるような動物たちが、生きるために選ぶ道が人間の住む場所への進出となり、結果的に害獣という扱いになることも・・・

動物たちと共存できる社会はだんだん難しくなってきていますね。
前川さんの写真から学ぶことはたくさんあるような気がします。
動物たちの穏やかな表情やじっと見つめる目が不安な表情や怯える目つきにならないためにも保護活動も含め同じ地球上で共存できる施策を考えるべきではないでしょうか。
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