Think Globally, Act Regionally:『言葉の背景、カルチャーからの解放、日本人はどこへ往く』

身のまわりに見受けられるようになった「グローバル化」と生きる上での大事な「こころの健康」。さまざまな観点から考えます。

◆第35回「世の中の変化のポイントを見極める」

2008-10-06 06:50:15 | ■日本人はどこへ往く?


◆第35回「世の中の変化のポイントを見極める」


前回に続き、
イノベーティブな世の中の変化を眺めてみよう。

では、この破裂的技術を見極めることはできないのか?
破裂的技術だけでなく、世の中を変えてしまうような契機、つまり、産業構造の変化、顧客の需要の変化を見極めるポイントは存在する。変化の兆しが認識されているとしても、企業自体が、そうたやすく変化に対応できないようなポイントがあるのだ。

バーゲルマンとグローブは、その契機となるところを

SIP(ストラテジック・インフェクション・ポイント。戦略的伝染ポイント)

と呼んだ。


SIPは、諸力のバランスが変化するところ、つまり、古いビジネスや競合関係から、新しいものへと変わっていく潮の目のことだ。

このポイントは、カーブがそれ以降劇的に変化し、決して元へ戻らないポイントだ。このSIPを見落とすと、企業は、新しい競争環境に適応できず、死の谷へと脱落していく。

SIPを見極めるためには、その兆候を示すシグナルが<<2つ>>ある。

1つ目は、
ポーターの5フォーシズの秩序の重要な変化だ。

ポーターの5フォーシズ(5つの競争要因)とは、「既存企業間の継続的な競争」、「新規参入の脅威」、「買い手の交渉力」、「売り手の交渉力」と「代替製品からの脅威」の5つの要因に変化が現れ、今までの分析では説明がつかなくなる。
第32回「グローバルな競争優位を築くには~M・ポーター、RBVと両者の統合理論」参照)

2つ目は、
戦略的不一致(ストラテジック・ディソナンス)だ。

戦略的不一致とは、
経営計画と実際の行動計画の不一致、
競争の基盤や質が変化していると気がつくこと、
社内のリソースや能力(コアコンピタンスを含む)に今までとは異なったものが必要になってきた、
という3つの不一致だ。

これらのシグナルを見落とさないようにするのが、経営者の一番目の役割と言える。

次に、戦略的不一致やSIPを上手に管理する方法として、
「建設的な激しい社内での議論」と
「経営者による絶え間ない意思決定の必要性」が挙げられる。

前者は、中間管理職の社員と腹を割って話そうと言うことだ。
彼らには、懲罰や圧迫を与えず、価値観の相違を気にせずに、データに基づき、自由に思うところを議論してもらう、ということである。

後者は、新しい戦略、新しい組織作りを頭に描きながら、議論のみに終始せず、結論を出す、ということになる。
トップダウン型の企業の場合、知識を持っている社員の意見に耳を傾けることがないので、できるだけ耳を傾けること。

意思決定がボトムアップ中心の企業の場合、目的なしに場当たり的な戦略をとり、社内のリソースを拡散することが多いので、これにも注意を要すること、が経営者の役割ということになる。


※冒頭の写真と図は、
Burgelman, R.A. and Grove, A.S.(2001), Strategy Is Destiny: How Strategy-Making Shapes a Company's Future, Free Press の表紙と
Burgelman, R.A. and Grove, A.S.(1996), Strategic Dissonance, California Management Review, Vol.38, No.2, Winter, p.11より引用した。


【参考資料】
◆Burgelman, R. A.and Grove, A.S. (1996), Strategic Dissonance, California Management Review, 38 (2), Winter, pp.8-27



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