金沢ミステリ倶楽部

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ミステリとの出会い

2024年04月28日 19時02分43秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部部員のミステリとの出会いについて載せます。

君野 ミステリとの出会いを思い返す時、最初に浮かぶのは隙間なく小説が詰まった本棚の列です。
両親は読書家で、自宅の廊下は本棚に占拠されていました。それらを眺めているとどこか宝探しのような気分になり、子ども心に高揚したのを覚えています。
特に、印刷の掠れたよれよれの古めかしい背表紙には惹きつけられました。古文書のように何かとんでもない秘密が記されているかもしれない――怪しげな背表紙を見つけては、そんな妄想を楽しんでいたような気がします。
初めて手に取ったのは赤川次郎『三毛猫ホームズの推理』。小学二年の頃で、残念ながらいまいち入り込めませんでした。
そして、次が江戸川乱歩『地獄の道化師』。訳の分からない言葉が目白押しで、けれどそこに蠱惑的な何かを感じ取りました。深淵を覗き込もうともしていないのに、深淵に引きずり込まれました。
運の尽きというやつです。
そういったわけで、今日も禍々しいオーラを放つ作品を発掘する毎日です。
けれど、あの頃のわくわくする感覚を味わえる機会なんて、もう二度とないのでしょう。あー、大人になりたくなかった。