金沢ミステリ倶楽部

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ミステリとの出会い

2024年04月27日 19時23分03秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部部員のミステリとの出会いについて載せます。

不知火黄泉彦 新本格ミステリとの出逢いは、綾辻行人『殺人方程式 切断された死体の問題』である。
小学生で《ルパン》《少年探偵団》《ホームズ》『黄色い部屋の秘密』『ABC殺人事件』『Yの悲劇』等を履修済みだった私が中学生になった当時、世間は《金田一少年の事件簿》ブームで、当時は元ネタを知らない作品が多かったから無邪気に楽しんだものだった。
〈本格ミステリ=トリック〉と信じていたから『エジプト十字架の謎』には虚を突かれた。驚いたのは犯人の正体ではなくロジックのほうで、おなじ〈読者への挑戦〉でも《金田一少年》のそれは“物品の有無”“証言の矛盾”といった“間違い探し”に終始していたから、金属の塊で後頭部を殴られたような衝撃を受けた。
〈豪快なトリック〉と〈端正なロジック〉の両方を有する作品はないのだろうか……そう望んだ矢先、私は出逢ってしまったのである。
トリック、ロジック、そのすべてが〈死体は切断された理由〉に帰結するのだから堪らない。過去に読んだ作品で“何故そんな奇妙なことをしたのか”が主眼になるものといえば「赤毛連盟」があったが、これの本質はホワットダニットであり、そんなわけで『殺人方程式』は私がはじめて現代的なホワイダニットに触れた作品でもある。
〈ハウダニット〉〈フーダニット〉〈ホワイダニット〉、この三種類すべてで魅了させてくれる作品は、そう多くはない。そしていまでも『殺人方程式』はその中で最良のもののひとつなのだ。