kkdaiyaの映画、ミリタリー・ハイテク小説

このブログは、映画、ミリタリー・ハイテク小説の私的な感想を記したものです。

ブルーインパルス 大空を駆けるサムライたち 武田賴政 文芸春秋

2022年03月19日 | Weblog
ブルーインパルス 大空を駆けるサムライたち 
武田賴政 文芸春秋 2011年 中野図書館
amazon 購入
2022年3月 読了

東京五輪1964年開会式
浜松基地T2下向開花4番機墜落事故
T2飛行教導隊での事故、主翼破損の可能性
ブルーインパルス結成時から五輪での演技、T2事故、訓練時の事故などが前半、後半は飛行教導隊の結成とT2の事故、主翼破損の可能性などが書かれいます。その中でパイロットの様々な人間模様が泥くさく描かれています。ブルーのパイロットが長期間の任務になりパイロット組織の中では最高のポジションではなかったなど人事、自衛隊の内部統制など問題点をまとめてあります。
後半の飛行教導隊は違った意味での自衛隊パイロットの最高峰トップであり、プライドが強いこと、機体の酷使が事故につながった可能性、設計ミスと想定外の飛行運動による主翼破損の可能性など興味深い内容です。T2、F1が早期退役した理由が分る気がします。この点は情報があまり出ていませんが、国産戦闘機と練習機の設計、製造、運用に無理があったのではないかと思います。
私的には浜松でのT2事故に興味があり本書を読みました。編隊長による開散号令の3秒遅れと4号機がそれを聞いて無理と思った?がそのまま命令に従って墜落に至ったなど、原因が述べられています。編隊長の人選(能力的に不適であった)など指揮系統における人的要因が絡んだ事故のようです。墜落位置を密集地区(東名高速など)から外したのが亡くなったパイロットの最後の貢献のようです。
飛行教導隊は2021年結成40年を迎えた組織ですがトップパイロットが巣くう航空隊です。残念なことに2022年1月飛行隊長の搭乗するF-15DJが小松基地で墜落事故を起こしました(2022/6空間識失調症状が原因との報告が出ました)。初期に使用されたT2がらみの事故の詳細が語られています。
著者は航空ジャーナル誌の記者から始まり社会派の記事(相撲協会の八百長記事やオウム真理教坂本弁護士事件)を書く記者に変遷した経緯があるようです。しかし航空特にブルーの浜松基地事故を関係者の定年退職を待って取材、記事にしているそうでその執念の成果がこの本のようです。
久し振りに面白い本を読みました。


最新の画像もっと見る