国会議員が自殺した。茨城７区選出の自民党・永岡洋治衆院議員(54歳)だ。
▽
「永岡洋治衆院議員が自殺」(asahi.com)
茨城県古河市出身って、母親の実家(栃木県下都賀郡野木町)の近くではないか？(県はちがうけど歩いていける) おまけに住所は世田谷一家惨殺事件があったところの近くだ(こっちは恩師の家の近く)。自殺した原因は不明とのことだが、郵政民営化問題も関係ありそうだ。この人、反対派から賛成派にまわったらしい。反対派は「圧力を加えた執行部が悪い」と言っているし、賛成派は「そんなことはない」と言っている。が、それだけでもなさそうだ。だいたい自殺の原因なんてそうそうわかるもんじゃない。
ちょっと古い数字だが、2001年の『警察白書』によると、2000年には31,957人が自殺しているが、うち男は22,727人(71.1％)で、女の9,230人(28.9％)を大きく上まわっている。また、年齢だと、50代が8,245人(25.8％)と、40代の4,818人(15.1％)を大きく上まわっている(60代以上が10,997人[34.4％]といちばん多いのだが、日本の平均寿命は80歳なので、やはり50代が多いということになる)。
もう少し古い数字だが、1998年の『警察白書』によると、1997年の自殺の原因は、病苦等37.1％、精神障害アルコール症等18.9％、経済生活問題14.6％の順になっている。男女別だと、男性は、病苦等33.3％、経済生活問題19.5％、精神障害アルコール症等15.3％であるのに対して、女性は、病苦等45.1％、精神障害アルコール症等26.1％、家庭問題10.7％の順になる。男女ともに病苦等が１位である。
私は、自殺について、一般論として「自殺＝悪」と簡単に言いきれないが、個人的にはよくないと思っている。
私の場合、大学の先輩と、後輩の婚約者の２人が自殺し、自殺はしてないが、親しい人から自殺を繰り返してきたことを告白された経験がある。
この３人に共通しているのは、どの人も精神的な問題をかかえていたということである。前者の２人は精神的に不安定な人だったし、後者はうつ病であった。後輩の婚約者については本人を直接知らないのでなんともいえないが、残りの２人は、ふだんはそういうことをまったく感じさせない人であった。
そういう人が突然自殺してしまう、あるいは自殺を繰り返してきたことを告白されるというのは、ショッキングなことだ。
大学の先輩は、敬虔なキリスト教徒の家庭で育ち、とても落ち着いてしっかりした人という印象だった。しかし、これは大学の恩師から聞いたことだが、精神的に不安定で、就職活動がうまく行かなかったとき、建物の窓から飛び降りようとしたそうだ。でも私はそんなことは知らされなかったので、数年前に「○○さん、死んじゃったぞ、自殺なんだ…」と電話があったときはたいへんなショックだった。
彼女の場合、彼女自身もキリスト教徒だったので、葬式をどうするのだろう？と思った。キリスト教では、自殺は神に対する反逆なので、葬式を出してもらえないと聞いていたからだ。しかし、どこをどうしたのかわからないが、葬式は行われた。
後輩の婚約者の場合は、この人も精神的に不安定な人だったようで、結婚の日取りが決まり、招待状まで送った後に、突然、死んでしまったのである。しかも、それを発見したのが婚約者である後輩自身だったので、彼のショックはかなり大きかったようだ。
彼は、社会的に高い地位の父親を持ち、彼自身も成功しているのだが、家庭的には不幸で、崩壊家庭で育った。彼自身、そのことをユーモアを交えて、話してくれたことがある。そういう彼だったので、結婚し、新しい家庭を持つ、ということは、それなりの夢があったのだろうと思っている。それが一瞬にして奪われてしまったのある。
自殺しなかった人は、学生のころから世話になっていた人で、今でも年賀状が送られてくる。ある会で彼と同席したとき、なんの前触れもなく、「僕ねぇ…うつ病で…何度か自殺しかけたことがあるんだよねぇ」と言われて、とても驚いた。彼によると、周期的に憂鬱なときがめぐってきて、そういうときは気づくと手首を切っているのだそうだ。その後、投薬治療によって、そのようなこともなくなり、結婚して子どもが生まれ、現在はとても幸せなようである。
こうして、自殺した前者２人と、しなかった後者を比べてみると、自殺はやはりよくないと思ってしまう。遺された人々の悲しみと苦悩は計り知れないものがあるから。
もちろん自殺した人たちにもそれぞれ理由があったのだろうと思う。また、最後の人が言っているように、何の理由もなく死んでしまうこともあるだろう(精神の病は、自殺の原因だけれど、理由ではない)。
自殺は、他者との共同性の放棄であり、浜崎あゆみのいう(といっても夢で言われたんだが…)「つながり」の遮断である。
