
みたらい渓谷にやってきたのはたぶん20年以上ぶりのはずです。まだシングルだったころ。あのころは黒滝村から天川村に入るのに、山をひとつ越えていたように記憶します。天川村入りするということが一大イベントだったような印象がありました。今回、朝の7時に自宅を出たら8時半には役場横に着いてしまいました。9月にバイクで来た時で2時間ほど、今回はクルマで90分ほどですから驚きです。橋を架けてトンネルを掘って道路を広くカーブも減って…
みたらい渓谷もあのころは国道309号の道端にクルマを停めて、ひょいと渓谷に入っていったような気がするのですが、今は多くの人が訪れるようになったおかげで、ここまでクルマで入れません。役場横からおよそ3km歩いてやってきました。
妙なことを覚えています。309号線のこの辺りを走っていたとき、ラジオから自民党総裁選のニュースが流れていました。3人が立候補して、そのうちの2人の名は今でも覚えています。それを頼りに検索をかけると平成3年10月27日のことだそうです。やはり私はカメラを持って紅葉の写真を撮りに来たのでしょう。
20年ぶりくらいに下流から入ってみたみたらい渓谷は、なんとなく記憶にありました。そうそう、紅葉には少し早かったような。
まだ早朝でそんなに人も多くありません。水量も十分にあるのですが、峡谷ですから日の差すところと差さないところの明暗が極端すぎて写真にするにはどうも具合が悪い。木々の葉は色づき始めていていいころです。遊歩道に従ってどんどん歩いていきます。1.5km上流の観音峯登山口まで歩いてみよう。水音がして木々がざわめき、とてもいい気分なのですが、時折頭上でヘリコプターの音。もみじまつりのイベントとしてヘリコプター遊覧飛行があるのです。空から紅葉を眺めてみようという企画です。
さて渓谷は観音峯登山口への半分くらいまでは水辺に比較的近いところを歩ける、滝もいくつも続くのですが、半分を越えるころには遊歩道が水辺から遠いところになり、植林の中を歩いていくことになります。だから上流になるほど人が少なくなります。
何となく不満を抱きながら観音峯登山口休憩所に到着。ここはクルマでは洞川温泉に行く途中にあり、登山客のために20~30台程度クルマを停められるようになっています。ここに停めているのは観音峯に登る人か、みたらい渓谷を上流から歩いていこうという人でしょう。
下流へ引き返そうと思ったのですが、休憩所の案内板を見るとここから何百メートルか登ると第1展望台があると書かれています。それじゃと、杉の植林の中を登ってみました。山の中の何百メートルというのはアテになりませんね。結構歩いたような気がします(デジカメの記録を確認すると登山口休憩所から20分ほどでした)。私より先には、小学生くらいのお嬢ちゃんを連れたお父さんがいて、観音峯展望台を目指すと教えてくれました。小学生も登れるんだからこちらもと思ったのですが、かなり息が上がる。この時間なのに、下山してくる人たちともすれ違います。こちらは運動靴でカメラバックですが、向うからやってくる人たちは登山者の出で立ち。不安になってきたころ、第1展望台にたどり着きました。展望台という割には植林された杉が大きくなって、遠くの山しか見えません。
展望台には老人の先客が一人いました。観音峯展望台まで登るといいます。この辺りの山はかなり登り慣れているようです。御所市からやってきたという老師は、「あれが稲村ケ岳、その横が山上ケ岳…」とか教えてくれました。こちらも聞いてみました。これから登られるという観音峯は、私のような知識も経験も道具もない者でも登れるのか?老師は、弁当と水筒があれば大丈夫だ、ここから60分ほどで登れると答えてくれました。そのうち、観音峯展望台まで登ってみたいものだと思ったことです。
ではお先にと荷物を背負った老師は、当年とって83才ですと言葉を残して去ったのでした。
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