切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《赤木雅子さんによる国家賠償請求訴訟への「認諾」と言う卑劣な手段》2021年12月26日

2021-12-26 23:05:42 | 社会


◆ 「認諾」って? 初めて聞いた。

 12月15日に裁判において法律の専門家たちがあっと驚くような結果が出た。裁判官が出したのではなく被告側が申し出たものだ。それは「認諾」というもので、報道によれば裁判官も事前に聞いていなかったし、法律の専門家たちも一様に驚かざるを得ないようなやり方だったと言う。私もこのような言葉を初めて聞いた。

◆ 安倍元首相の森友加計問題の事件

 もう何年も前になるが、安倍内閣の時に森友加計問題が起こる。その中で森友学園に対する国有地の払い下げにおいて、不当に安く払い下げられ、これは森友学園と安倍首相夫妻の関係の間で、私的な関係があり正式な手続きを踏まずにいわば、「お友達」に有利なように計らったそのことが国会で追及され、安倍首相は答弁に立って次のように啖呵を切った。すなわち、
 「もし私がそのような不正を行ったとすれば、また妻が関わっていれば、これはもう当然首相どころか国会議員も辞するべきものだ。絶対にそうしたことはしていない。」といった旨の内容を国会議員だけではなく全国民に向けて述べたのだ。
 その結果は関係省庁に大きな衝撃を与え、独裁的な権力を手にしていた安倍首相の嘘が表沙汰にならないように官僚たちが動かざるを得ない状況になった。森友学園は大阪での話であり、大阪の財務局が払い下げ予定の土地の評価額、そして実際に払い下げようとしていた額の差額を何とかしなければならない事態になる。さらにこの件について安倍首相及びその妻は全く無関係であること示さなければならない。

◆ 末端公務員への国家権力の圧力と自殺への追い込み

 それはつまり公文書の記載内容を変えなければならないということを意味していた。大阪の財務局では追い詰められた状況の中で、末端の財務局職員であった赤木俊夫氏に公文書の改ざんを指示したが、彼は抵抗する。当然のことだ。国民の税金が関わっている内容に嘘があってはならない。公務員は国民の公僕であり裏切ることは絶対にできないのだ。一時はその赤木氏の思いに動かされた上司だったが、話が進まない東京の財務省から一本の電話が入り圧力がかかる。
 これは絶対的な命令を意味した。つまり職務命令で公文書改ざんをせよ、と言うことになる。赤木氏は悩みながらも辻褄を合わせるように文章を書き換えていく。そして仮に国会で首相や財務大臣などが追求されても証拠として大丈夫なような内容のものにしていく。
 しかし根が真面目な赤木氏はこのことによって悩みに悩み、いつしか鬱状態になっていく。そして次第に精神的に追い詰められ、とんでもないことをしてしまったとの後悔のもとに、最終的には自殺の選択をすることになる。
  この件は大きく取り上げられた。しかし舞台はあくまでも国会にあり、当時は野党から安倍総理や財務大臣などが追及を受けていた。しかし彼らには身の潔白を証明するだけの改ざんされた書類というものがあったので、十分この場を乗り切れると思っていたのだ。メディアの報道の焦点もそちらの方に動く。一時的に赤木氏の自殺問題自体は小さくなっていった。
 そして直接圧力をかけた財務省理財局長の佐川氏はこの「功績」によって後に出世することになる。既に安倍内閣の時点で内閣人事局というものが作られ、官僚の人事権を内閣が掌握し官僚は内閣に対して抵抗する術をほとんど失っていた。つまり理不尽な要求であっても飲まざるを得ない状況になっていたのだ。実際抵抗した官僚は辞職するか左遷される道を選ばざるを得なかった。

◆ 安倍長期独裁政権の弊害

 安倍政権は前期と後期に別れる。しかし合わせて約7年半にわたる近代政権史上最長の内閣となったわけだ。これは世界のどこにでもいえることだが、長期政権というのはほとんど例外なく、「独裁」か「堕落」を招く。過去の歴史を見るまでもなく、現在においても世界各国における長期政権の有害な実態はあちこちに見えている。別に政治の舞台だけではない。会社組織等の中においてもトップの長期経営は、マンネリ化と堕落を招き会社の成長を著しく損ねるケースというのは数多くあった。
 そして安倍政権は2020年8月にようやく終わりを迎える。彼は何としても「憲法」を変えることを自分にとっての大きな課題として設定したが、体調の件もあり辞職となったのだ。体調のことがなければ間違いなくまだ続けていただろう。従って憲法改定問題は後の政権に委ねることになった。尤もその直後からコロナ問題が発生し、今やそれどころの話ではないが。

◆ 責任を取らず認めずの安倍政権に対して「国家賠償請求訴訟」

 安倍政権が終わりを告げたのにその総括は何もない。つまり長期にわたる独裁政権によって様々な悪事が行われ、納税者でありそして主権者である国民を騙し、裏切り続けてきた元安倍首相の責任追及が一部の野党を除き、実質国会の場では終わりを告げたような状態になりつつあった。一部のメディアでは様々な問題に対して何一つ明らかにされていないということで、未だに追求し続けている新聞やテレビ局などがある。
 いわゆる赤城ファイルの存在が明らかとなり、その内容には真実が記入されているはずだということで、国会だけではなくメディアもこぞってそれを明らかにするように迫ることになる。当初公開することはできないと拒んでいた政府も、裁判所の指示にしたがって一部公開したものの、それは極めて中途半端でほぼ何も分からない内容のものだった。当然誰しもが納得できるものではない。特に自殺という形で夫を失った妻の赤木雅子さんにとってみれば断腸の思いであっただろう。当然赤木ファイルの存在が大きな意味を持つようになる。
 こうして改めて森友問題が注目され、その中で赤木俊夫氏の自殺の問題がクローズアップされるようになる。きっかけは残された妻の雅子さんによる怒りと許せない思いというものがあり、一向に最高権力者だった者が自ら何も明らかにしようとせず、ただただ逃げているという状態に対し、「国家賠償請求」という形で裁判を起こすことになったのだ。
 被告は国でありまた佐川氏となる。賠償請求額は1億円を超した。原告側の思いは請求額1億円以上だと必ず国側は請求棄却を求めて争うはずだとの思いがあり、その審理過程を通して、ことの真実が明らかにされることを期待したものだった。

◆ 突然の裁判終了。卑劣な「認諾」

 ところがいざ裁判が始まると国側は思いもよらぬ「認諾」という方法で、赤木俊夫氏を追い詰め自殺に追いやったことの責任を認めるという形をとった。裁判の審理を打ち切り終了させると言う方法に出た。これで国との裁判は国側が原告に1億円余を支払うという形になる。そのお金はどこから出るのか。もちろん国民の血税から出されるものだ。そしてこのやり方は誰もが わかっているように、国にとって表沙汰になるととんでもないことになると言うことが分かっているからこそ、このような方法に出たのだ。当然事と次第によっては安倍元首相や大臣、或いはキャリア官僚などが刑事罰に問われる可能性だって十分にあるほどのことだ。民主主義に厳しいアメリカなどであれば、これ一発で内閣が吹っ飛ぶほどのことなのだ。
 日本国政府のそして内閣のトップ官僚の何というあざといことか。ただただは国民の政治不信をさらに強めることにしかならなかった。安倍政権が終わった後すぐに菅内閣が発足し、メディアは菅新首相が苦労人で集団就職で関東に出てきたなどと持ち上げた。しかしなんとも頼りない雰囲気でしかなかった菅首相はすぐに終わりを迎え、今の岸田政権が誕生。多くのメディアがコロナ問題と東京オリンピックに大騒ぎをすると言う有様となる。かつて安倍元首相が行った犯罪はどこかへ吹っ飛んでしまったかのようだ。それに対して許すことができないことだとして、赤木雅子さんが裁判を起こした。そしてあっという間に裁判は終わった。

◆ 裁判の戦いと真実究明の戦いはまだまだ続けなければならない。

 赤木雅子さんは「夫は国によって2度殺された。」と言われた。これを聞いた誰もが納得したことだろう。国との裁判は終わったが、まだ佐川氏への賠償請求裁判は継続している。佐川氏自身が裁判所に出てくるのかどうかわからない。彼もひょっとして争わず認諾するのか。
 一人の真面目な公務員が自殺せざるを得なくなり、しかも上辺だけの国の責任論が出されて、トップの安倍元首相と財務大臣と佐川元理財局長はお咎め無し。葬儀にも来ないし墓参りにも来ない。このような非人間的な心意気しか持ち合わせていない者が、日本という国を動かす重要な地位についていたこと自体が大きな間違いというか、そうさせている我々国民にも、責任の一端があると言わざるを得ない。
 彼らは今ものうのうとその地位に跨りながら、自分たちがやってきたことなどなかったかのように日々を送っているのだ。そして我々の血税から大金を毎月毎月せしめているのだ。

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