木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《ハッピー・ゴー・ラッキー》

2012-12-09 00:47:49 | 日記


「ハッピー・ゴー・ラッキー」(2007年)HAPPY-GO-LUCKY

主演のサリー・ホーキンスが凄い。
これは、主演女優賞獲れるはずだわ。
全編コントみたいなことになってます。

躁鬱の躁だけの状態で生きてるポピー。
やたらと馴れ馴れしくて、いつも楽しそう。
軽口を叩き、自虐ネタも得意なジョーク好き。
お気楽街道まっしぐら。
まぁこの性格のおかげで、失敗もするが。

この性格とカラフルな服装のセンスがダブルパンチ。
とてつもないイターいキャラを作り上げてます。
苦手だわ、このタイプ。って思う人結構居るはず。
ウザいってこういう事?

にも関わらず。
だんだん好きになってくる不思議。
小学校での先生ぶり。
車の運転を習う姿。
フラメンコ教室にて。
友達や、同僚、姉妹とのおしゃべり。
恋人との関係。

人なつこくて、笑い上戸。
真剣な表情の時は、いつも誰かを思いやっている証拠。

傑作なのは、教習のシーン。
興奮して、はしゃいだり、ふざけたり。
ジョークの通じない教官を、予想以上に怒らせる怒らせる。
この演技、神ワザ。
おしゃべりと態度で息もつかせない。
とめどない見事な軽々しさ。
はっきり言って、コントである。

接骨院での治療時における、笑いが止まらないっぷり。
これも、受賞ものの演技。

彼氏のキャラも、ホントお似合いで嬉しくなってくる。
二人のシーンの雰囲気も、信じられないぐらいいい。
変テコなキャラでも、ロマンチックだし、すごい説得力。
この人以外にあり得ない感がひしひし。
観てて、確信。
こっちまで幸せになってくる不気味で愛すべきカップル。

ポピーに慣れてきて、好感も持ちはじめつつも。
なんで、そういう行動やら発言やら態度なの?
そういう人だと思うしかないんかい?
やっぱり、どうしても頭をよぎる疑問。

それに対して。
湖のボートのシーンでルームメイトが言う一言。
“ポピー、全ての人を幸せには出来ないのよ”

謎解き終了。

これに答えるポピーの言葉も、彼女そのものの発言でした。
そういや、
そもそもタイトルが「ハッピー・ゴー・ラッキー」だったの忘れてたやん。

まさかマイク・リー監督がこんな映画撮るとは!
随所に社会問題が織り込まれてるのは、さすが。