
雛遊はなたれ小僧様もゐて
手のひらの郷土玩具の内裏雛
おむすびを二つ並べてむすび雛
並びたる母の握りしむすび雛
姉のくやし涙を見し雛祭
小学生の時です。
近所に姉と同級生がいて、雛祭りにお呼ばれして行って泣いて帰って来たとこを見たことがあります。
毎年、立派なお雛様を飾るぶげんしゃの家です。玄関を開けた八畳間の上がりからもうすぐ赤い毛氈が敷かれていて、その先に七段飾りのお雛様がありました。初めて見た時は、電気を点けていなかった薄暗さのせいもあったのでしょうが、妖気的なものさえ感じるほどでした。また、僕が子どもの頃は赤い色をどういうわけか避けていたこともあります。
姉の同級生は意地悪をするような子ではありません。何があったのかはわかりません。
姉はそのことを今も覚えているのか、尋ねたことはしていないままです。もう六十年前のことです。
ところで、「お内裏様」と言う呼び名は本当は間違いだとネットで見ました。
