ベレーの君ちょっとすねて日脚伸ぶ

　　　　　　　　　　　　　サイフォンのコーヒー透けて日脚伸ぶ

　　　　　　　　　　　　　　窓辺に観葉植物日脚伸ぶ

　　　　　　　　　　　　　　モカ香る午後の窓辺や日脚伸ぶ

　　　　　　　　　　　　　　コールテン帽子ヨレヨレ日脚伸ぶ

冬の夜のラーメンすする二人かな

　　　　　　　　　　　　　　君と帰りはラーメンの冬の夜

　　　　　　　　　　　　　　ラーメンに君を偲ぶや冬の夜

初場所の優勝力士初々し

　　　　　　　　　　　　　　初場所や大栄翔初優勝


このごろは子どもの時のように再び相撲を見るようになった。この場所の後半くらいからだけど。
力士の顔も名前もまだほとんど覚えていないけど、少しはわかるようになった。
優勝した大栄翔の相撲は、見ていて気持ちが良かった。いい顔していたね。

あぶりたる醤油せんべい冬の雨

　　　　　ビニール傘フードとなりて冬の雨

　　　　　　　　　　　　　　蒼色のドライフラワー冬の雨





　　　　　鍵束の聴いてゐる冬の雨音

　　　　　錆びつきし鍵は聴きゐる冬の雨

　　　　　錆びつきし頭のアンテナや冬の雨

　　　　　くすみたる古りしタブロー冬の雨

　　　　　冬の雨4リットルの酒の瓶

　　　　　　　　　　　　　　冬の雨コへレトを説く哲学者

奪ひたしふうふうとおでん食む唇

　　　　　　　　　　　　　　煮詰まりし玉子を好むおでんかな


　　　　　　　　　　　　　　振られ来て辛子たっぷりおでん酒


　　　　　　　　　　　　　　偏屈でありコンニャクおでん囓る


　　　　　　　　　　　　　　定年や眼鏡拭きつつおでん酒


　　　　　　　　　　　　　　分厚き飴色大根おでん王


　　　　　　　　　　　　　　金粉なんかかけてくれるなおでん


　　　　　　　　　　　　　　おでん屋台でんとゐる町の社長


　　　　　　　　　　　　　　コロナ渦のそれぞれ曇るおでんかな


　　　　　　　　　　　　　　ふにゃちんの煮すぎし竹輪おでん酒