原子力エネルギー問題に関する情報

杜撰で不経済極まりない原子力政策が、生存権を脅かし環境を汚染し続けていても、原発推進派の議員を選挙で選びますか?

チェルノブイリ事故後出版され、ドイツの学校教材となった原発事故小説

2011年05月05日 | 国外の情報

前のエントリ「脱原発を決めたドイツとベルギーの若者が読んだ原発事故小説と福島の女子高生の手紙」を書いたあと、「Die Wolke(
みえない雲)」をめぐる出来事が続いたので、続編として書く。

まずは、幸運にも著者に会えた私のTweet3つ


ドイツで150万部以上読まれ日本語を含めた13ヶ国語に翻訳された原発事故小説(邦訳「みえない雲」)の筆者Pausewangさんに会って話すことができた。25日には地元でチェルノブイリ事故25周年デモに参加中1万5000人の前で演説を頼まれた83歳は100冊近い著作があり今も執筆中

ドイツの原発事故小説(邦訳「みえない雲」)は1988年児童文学賞を受け多くの学校教材に採用された。古い原発近くの学校で生徒達は読後早速地元の災害対処計画を読み、校長に「ヨウ素剤はどこか」と尋ねたが常備することすら知らなかったという。筆者曰「政治家より若者に働きかける方が効果あり」

ドイツの原発事故小説(邦訳「みえない雲」)の筆者83歳Pausewangさんがベルギーの進学校8年生240名のために朗読会。主催者の女性教師は独断で私を飛び入り参加させてくれ、重要な情報だからと、Pausewangさんからの福島の原発震災について質問に答える時間を設けてくれた。


Pausewangさんにとって大きな疑問は、ヒロシマ・ナガサキを経験し、今またフクシマで多くのヒバクシャが生まれているのに、なぜ日本人はもっと脱原発の声を上げないのかということ。原発震災後の日本政府や東電からの情報発信のあり方を非常に問題視している。83歳の彼女は悲惨な戦争体験から反戦も著作の重要テーマの一つで、核エネルギーへの依存はナチズムと通じるものがあるという見方もしているので、日本での情報操作が気になって仕方ないようだ。


次に、ドイツ人の友人の誕生会での話題。
10名の女性が集まり、私とハンガリー系米国人以外はドイツ人。
友人が私が日本人であることを紹介した途端、話題は原発事故とドイツの脱原発・エネルギー政策一色になった。

「みえない雲」を読んだ人は二人いた。
一人は元教師で、80年代終わりに数年間原発事故小説(邦題:「みえない雲」)を教材に使ったと言った。
授業の教材は同僚の教師達と話し合って決める(これはベルギーも同じ。もちろん文科省の教科書検定などない!)が、チェルノブイリ原発事故の後だったので誰も異論はなかったという。
また他の一人は、出版後すぐに読んで忘れていたが、5年前に娘が学校の授業で読んだので思い出したと言った。2006年には「みえない雲」が映画化されたから、」また学校で教材になったのかもしれない。

奇しくも友人の誕生会で、少なくともチェルノブイリ直後の数年間と5年前に、ドイツの学校でも「みえない雲」が授業の教材になっていたことがわかった!

ちなみに、先週はベルギーで朗読会があったが、Pausewangさんは、毎年春と秋にそれぞれ2ヵ月半ずつ朗読会を行っており、これまでに10カ国以上の主にドイツ語学校で開催された。ドイツ以外はオーストリアが圧倒的に多い。70年代に原発を建設途中で廃止し、早々と脱原発を決めた国だけのことはある。