足元に気をつけながら、碑に少しずつ近づいて行った。落ち葉が深いので地面がよくわからない
ので気をつけて歩く。二人はどんどん先にいく。やはり年齢の成せることで、三年前に右足首を骨
折したことを思い出してしまう。石碑が見えて来たときは嬉しかった。とうとう来たかと写真で見
たのと同じ石碑の前に立って碑文を詠んだ。文字の彫りは浅いように見えたが「断崖の涯なくつづ
き 蒼茫と 暮れゆく海よ うみねこの声」この歌を思わず声を出して吟じてしまった。眼下に広
がる景色は埋め立てられ、埠頭や材木置き場になり、さらに屏風のように浪よけのコンクリートが
張めぐらされすっかり変わっている。この碑は東を向いているとばかり思っていたが南向きだっ
た。木漏れ日が当たって穏やかだった。H氏から当時の話を聴いたり碑の回りをうろうろ歩いて
落ち葉をのけたりして一時を過ごした。風もなく私たちは落ち葉の上に腰を下ろし、串団子を食
べお茶を飲みながらおしゃべりをした。雅三さんは、ふるさとの海の美しさを詠み、写真ととも
に世に紹介した。このように変わるとは夢にも思わなかっただろう。眼下の海、白砂青松、変わ
りゆく景色を嘆いたかもしれない。3.11の大地震大津波をこの陣屋の崎で見ていた。しかし、
良いこともある。埠頭ができたおかげで大型の船が入港し市民に夢を、元気を与えてくれた。
日本丸、海王丸、パシフイックビーナス、飛鳥Ⅱ等、そして来年は、この碑の前のフエリー
バースにシルバークイーンが姿を現す。見ててください。
40分ぐらいいて静かに陣屋を下りました。次は明日。後ろはホテル近江やです。