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 物語の舞台は前作の150年後。伝説のトム・ビルダー一族の子孫の物語。

 前作はもったいをつけた書き出しで、面白くなる前に本を置いた人もいるのでは? (^^; しかし、本作は「ジェットコースタームービー」顔負け、10ページも読む前に夢中になること請け合い。

 8歳の少女、グウェンダはハロウィーンのためにキングズブリッジ修道院で、他の多くの家族とともに雑居寝している。彼女が深く眠れないのは、父親に盗みを命じられることを知っているから。彼女の家は貧しく、父親もよく盗みを働きそれがバレた罰として片腕の手首から先を切り落とされている。
 それでも一家が生きていくためには、持てる者から盗むしかない。父親が目をつけたのは騎士のサー・ジェラルド。彼は騎士ではあるが貧しい家族持ちで、腰に付けた財布に入っているコインが全財産。その財布を盗む、息詰まるシーンから壮大な物語は幕を開ける。

 大部の物語だけあって、扉ページの主要人物紹介だけで22人、第1部、第2部、第3部の扉には西暦が記され、この上巻だけで10年の歳月が流れる。一見ばらばらに見える登場人物たちの人生が深く交差してゆく様は見事。
 そこでは刹那的に生きるものは破滅あるいは勢いを無くし、強靭な意思で先を見通そうと努めた者だけが成功に近づける。が、ことはそれほど簡単に進まず運命に翻弄され、あるいは一時の過ちが取り返しのつかない人生を招き・・・まさに人生そのものが等身大に描かれる。

 サー・ジェラルドの二人の息子、兄のマーティンは11歳、弟のラルフは10歳。どうやらマーティンが主役のようだ。
 兄は手先が器用で頭も良いが、身体を使うことは苦手。一方弟のラルフはその逆。
 マーティンは自由な考え方の少女カリス、グウェンダらと4人で、自分が作った弓の試し撃ちに森へ出かける(大事件が起こるがそれは置いておきます)
 マーチンはうまく弓を引き絞ることができず、狙った木の的にもうまく当てられない。が、ラルフは作った弓をいとも簡単に使いこなし、ウサギをしとめてしまう。マーティンは大きくなったら父のような騎士になりたいと夢見ているが、そこではっきり弟には敵わないと自覚する。
 帰宅した二人の前にはローランド伯爵がおり、ラルフが持っているウサギに目を止める。ラルフが自分が仕留めたことを話すと従者になれと言い、父は大喜び。一方マーティンが「弓を作ったのは自分だ」と言うと父からは蔑みの目で見られ伯爵には「小さいの、おまえは大工の徒弟になれ」と言われてしまう。
 これはないでしょう、今ならグレてる(^^;と思います。

 まあ、当時は封建社会で今のような自由主義ではないし、子どもの気持ちを考える現代のような余裕のない社会だから直截な言い方は仕方のない面もあるでしょうね。現代でも、ある年齢より上の世代はそうして育ったのでしょう。

 それでもそこをくぐり抜けて生きることで、自分の人生を勝ち取れます。グレるなんてもったいない!

 10年後マーティンは腕の良い見習い大工に成長しています。
 次から次へと彼を襲う苦難にも立ち向かえるだけのたくましさが育っていくのも、読んでて気持ちがいいです。あ~、この後どうなるか、非常に楽しみ!

 どいうわけで今回はここまで。


【関連エントリ】
『大聖堂(上)』ケン・フォレット
『大聖堂(中)』1ケン・フォレット
『大聖堂(中)』2 ケン・フォレット
『大聖堂(下)』ケン・フォレット

大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫)
ケン・フォレット
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