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大聖堂 (下)

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 いや~、面白かった。これ以外の言葉は出てこないから、「読んでごらん」としか人には言えない(^^;)・・・これではレビューにならないか。
 柱のひとつは三代に渡るトム・ビルダー一族の大聖堂建立の物語。「あきらめない」ことの大切さを思い知らされる。と、言葉でまとめるのは簡単だがその道のりは想像を絶する山あり谷あり。どうしてここまでの苦難を彼らに、と思うがそれを乗り越え、彼らが磨かれていくのも事実。
 別の柱にフィリップ修道院長-修道院があって、ある時はトム一族を助け、ある時は苦難を与える。教会なのだから「絶対善」のはずなのだが、そうではない。教会も人が運営する以上、修道士の覇権争いや経済活動とは無縁でいられず、そのため様々な駆け引きや陰謀が内部でうごめいている。
 院長のフィリップは信仰と信念に生きる高潔な人物だが、時に善、時に悪と判じられることを体現している。人(こと)の善悪というのは第三者がそう判断するもので、信念を曲げないということはその信念が自分にとって都合がよければ「善」、悪ければ「悪」ととらえられるからだ。
 他にも柱になる要素がいくつかあるが、もうひとつ大聖堂の建築を挙げたい。
 正直、読んでいて大聖堂に関する建築知識が皆無なのが歯がゆくてしょうがない。他の箇所は読みながら頭の中に情景がはっきりと浮かぶのに、大聖堂のくだりはさっぱり(^^;)。穹窿(ヴォールト)、身廊(ネイヴ)、袖廊(トランセプト)、内陣(チャンセル)、・・・どうにもイメージが湧かない。ただ、この本を読んで興味が出てきたので少し調べてみたい。
 このあたり、日本で販売することを考慮に入れて図解くらい付けて欲しいと思う。それとこれは訳者というより編集部の責任かと思うが、分かりずらい訳が多く(例えば、「トロット」「ギャロップ」など馬の走り方の呼び名はそのままカタカナなど)、前半と後半で訳語の揺れがある点も気になった。
 なお、2007年には続編(World Without End)がアメリカで刊行予定という。今から首を長くして待ちたい。

【関連エントリ】
『大聖堂(上)』ケン・フォレット
『大聖堂(中)』1 ケン・フォレット
『大聖堂(中)』2 ケン・フォレット


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