脳梗塞やらなんやらで、体重が三十キロ近くやせたので
入れ歯が合わなくなった・・・
というおばあさんがグループホームのような施設から、
同様な症状でに体の不自由な方につきそわれて
タクシー&杖をつきながら通院されてます。
後遺症で言葉がなめらかに出ないですが、しっかりとされてます。
今日は入れ歯の調整時に身の上話をされました。
「娘は遠くに嫁ぎ、お舅さんお姑さんの面倒を看ているんです。
でも嫁いだのだからそちらを看てあげなさいと言ってあるんです。
こちらには都合があって来たけれど、友達も町も知らないんです。
以前娘の近くにいた時は、
お弁当を作って娘が来てくれたんです。
孫はいないんです。
だから私が、世間で言うならここは姥捨て山のようだ、と
わざと言うと、娘が
”お母さん、話し相手がおらんくなるから、長生きしてよ”
と言って、遠くから週に二回位は来ます。」
私は、そうですか・・・・
と話を聞きながら義歯を調整します。
「施設はおなじような境遇の方がいて、同じように暮らしてるんです。
でも、山手だし、知らない町だから、することがないんです。
タバコを吸うもんが、何人かで外でタバコ吸うて話すんです。
それ位。」
私が、脳梗塞にタバコは・・・?と心配すると
「今の病院の先生が、もう老い先も短いっちゃけん、好きなように吸うたら?
と言うから吸うとるんです。」
私もスタッフさんも驚きましたが、楽しみを奪っても・・・と言う感じで言われたんでしょう?
と言うと
「そんなんです。食べることとか、そんなんしかないんです。」
と言われ、今日は娘さんの話も出たからか涙ぐんでおられました。
義歯は20~30パーセントしか通常の咀嚼できないと言われてます・・・
それでも何とか咀嚼機能を回復できたら・・・といつも思って調整してます。
今日は娘さんが来る日らしく、
付き添いの人が、今日は車であちこち行けていそがしいね、と言ってありました。
付き添いの方も杖が必要です。
「老・老」介護、というのを聞きますが、
さらに加えて身体が不自由なお二人です。
普段、大抵のことは辛抱できますが、
心に響く出来事には
私は涙もろいんです。
病後、老後、生活、家族、
いろんな話を聞き、
ばー・・・と涙が出そうだったのですが、
なんとかこらえました。
私自身も育児もありますが、
実は、今は病後の父とも一緒に生活しています。
幸い父は体力も思ったより回復が早く、最近は好きなことして平穏に暮らしてますが・・・。
自分の本当の、”現実的な”老後まで
考える年齢になってきました。