嘉永5年旧暦3月5日/1852年4月20日ころ/、吉田松陰と宮部鼎蔵は北方の国防状況を実地確認するべく、青森・津軽半島北部の小泊/こどまり/から津軽山地に分け入り、算用師/さんようし/峠を越え、苦難の末、三厩/みんまや/海岸へと降り立ちました。
蝉坊がこの世に生を受けるちょうど100年前のことです。
このルートは、現在「みちのく松陰道」として整備され、少々ハードな行程12キロの軽登山 . . . 本文を読む
丹波立杭焼/たんばたちくいやき
伊羅保釉丼鉢/いらぼゆうどんぶりばち
作者(伝統工芸士)不明/兵庫・篠山市
径163mm/高84mm
高台径75mm/高台高13mm
見込み深74mm/重527g/容850cc
日本には「五大お伽話」といって、室町時代末期から江戸時代初期にかけて成立した代表的な五つのむかし話があります。
「桃太郎」、「かちかち山」、「さるかに合戦」、「舌切り雀」、それと「 . . . 本文を読む
▲ アカンサス
はあざみ・葉薊/Acanthus/bear's-breech
キツネノマゴ科アカンサス属/大型の常緑多年草/地中海沿岸原産
通常は観賞用に栽培されるAcanthus mollisを指す
§1.「アカンサス」
私が住んでいる東京・板橋区は、カナダ Canada オンタリオ Ontario 州バーリントンBurlington 市との国際姉妹都市提携を行っていて、板橋駅前公園の一部に . . . 本文を読む
うつわとの衝撃的な出会いは、碗や皿や丼などテーブルウェアに限ったことではありません。
画像の鋳鉄鍋も、まるで「私を待っていたかのように」手を振って迎えてくれた長年の「けやぐ」です。
20年以上前の南部鉄器の展示会場での衝撃的な出会いでした。
作り手は、偶然にも小ブログ 『#3.南部鉄器 鉄瓶「なぎさ」くん』で紹介した鉄瓶と同じ、岩手・雫石町の「七ッ森工房」佐々木健太郎さん。
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● 国宝/歓喜院・聖天堂/かんぎいん・しょうでんどう
建造物/神社・近世以前/一棟/江戸時代中期(18世紀)
埼玉県熊谷市妻沼/2012(平24).07.09指定
画像は奥殿外壁面を彩る木彫刻(部分)
「布袋・恵比寿・大黒天の三人による囲碁遊び」
6月のある日、埼玉・K市のショージさん夫妻の案内で、思いがけず拝観できたのが、地元で「妻沼の聖天様/めぬまのしょうでんさま」、「妻沼聖天/めぬまし . . . 本文を読む
沖縄・壷屋のやちむん(やきもの)には、あらやち(荒焼)とじょうやち(上焼)のふたつの表情があります。
あらやちは鉄分の多い粘土で作る無釉の焼締め陶器で、安南=ベトナム方面から伝わり、じょうやちは器体の表面に白っぽい化粧土を掛け、釉薬の下、ときには上に絵付けを施して焼き上げる陶器で、中国・清や朝鮮の技法が導入されました。沖縄の窯業は屋根瓦に始まりましたが、壷屋焼の始まりは、水や泡盛の貯蔵用 . . . 本文を読む
● 国宝/紙本淡彩納涼図/しほんたんさいのうりょうず
久隅守景/くすみ・もりかげ/筆
二曲屏風/一隻/江戸時代(17世紀)
東京国立博物館蔵/1952(昭和27).11.22指定
149.1cm×165.0cm
一般に「納涼図」または「夕顔棚納涼図」と呼ばれているこの日本画は、いつのころからか私の座右の一枚となりました。炎天の日の夕方など、デジタル画像とはいえ、芯からの涼しさ、ホッとする温か . . . 本文を読む
わが家で最も早くから活躍してきてくれたのが、沖縄、壷屋焼/つぼややき/のやきもの=やちむんたちです。ほとんどが、30年以上前からけやぐになって、食卓をともにしてきたうつわたちです。こうして並べてみると、壷屋焼本来の土俗的なすご味とは少々趣きの異なる、明るくさらりとしたうつわをコレクトしてきたことが一目瞭然です。それでも、他には例のない沖縄の独特の風合いを十分楽しむことのできるラインナップだと思 . . . 本文を読む
▲ 絵付けの鑑賞のため画像を逆さまにしています
街あるきで必ずといっていいほど覗いてしまうのは「せともの屋」さんです。それも昔ながらの家族経営というようすのお店を覗いてみたいのです。私の場合、昭和や「前現代」の匂いや味のあるものが、売れ残ってはいないかな?というのがねらいです。
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徒歩というスピードで歩いてみると、容易に気がつくことですが、昨今はこの家族経営と想われるさまざまな業種の商 . . . 本文を読む
25年ほど前わが家にやってきた尺の大鉢。
落ち着いた色合いの三つの染付唐草。見込みの素地には、細かな櫛の引っ掻き文様が地紋となって廻らされています。
サラダの材料の彩が映えます。震災後、三陸で教えられてきた、「生ワカメ」をショウガでいただくサラダの緑と黄色もさらに美しくなります。食卓の照明が加わるとますます鮮烈になります。
夏場の冷やしうどん、ソーメン、冷麦は冷たさを体で感じながら、冬 . . . 本文を読む
ひと目で「天使の輪」を想わせる真っ白な縁(ふち)の輪。
それとも「土星の輪」でしょうか?天体の形状には、真っ青な空と同じように、心洗われるものがあります。
縁のある大皿は洋皿にはふつうに見かけますが、この皿の縁の内側は「鉄鉢/てっぱつ」(#9.を参照)と同じようにオーバーハングしています。
断面で見ると、ひらがなの「ひ」の字のようになっています。
スプーン・フォークの使用に . . . 本文を読む
お気に入りの砥部焼(とべやき)のうつわについて、ブログにする前に確認しようと思い、何気なくネットを探していたら、「工藤省治陶磁器集」の文字が目に入ってきました。
感激と驚きに、深夜でしたが、即ネットで発注すると翌昼には届き、またまた感激です!
ページをめくるにつれ、昭和30年代からの日本のクラフト運動の足跡そのものを見る思いがします。
温かな作り手の想いが伝わってきます。
陶磁器の一見 . . . 本文を読む
昨年(2012年)の夏、東日本大震災の被災地・岩手県宮古市を訪れました。
事前にNHK・BS「にっぽん縦断こころ旅」で、火野正平さん一行がコーヒーブレイクで立ち寄った古道具屋さん「シーマン」を2度視ていたので、機会があればのぞいてみたいと思っていましたが、地元のトミオさんの計らいでそれが実現し、家族全員で訪れることができました。
「シーマン」は宮古港藤原埠頭にほど近い国道45号線沿いにあ . . . 本文を読む
一見、朱塗りの吸物椀です。洗朱(あらいしゅ)の小吸椀(こすいわん)です。
でも、お解かりのことと思いますが、身の縁(ふち)にかわいい注ぎ口が付いています。
作り手は、伝統的なふたものに注ぎ口を付けると、吸物ばかりではなく、酒や油、酢、醤油、ソース、ドレッシングなどの「液体」調味料をそそぐ(サーブする)容器になること知り、新商品として創り出したのです。
伝統的な漆器の片口(かたく . . . 本文を読む
「日本の美しさ」とは「静けさと華やかさの共存」で、他の国にはない(※1)、といわれた千住博さん(日本画家,前京都造形芸術大学学長,ニューヨーク在住)の感性に、称賛と敬意を表するものの一人です。
決して当世流の解釈などではなく、「日本の美」の「原点」にフットライトを浴びせたという点で高く評価されるひとことだと思います。
日ごろああでもないこうでもないと考え続けていたことに、単純明快なセ . . . 本文を読む