「けやぐの道草横丁」

身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳や歌への視点
「けやぐ」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです

#63.津軽ことばで唄おう! その14「 リンゴの唄 」

2018年09月28日 | うた
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Image Photo by Semibo
09.12.2018

リンゴの唄
       
原曲:唄・並木路子,霧島 昇/
詞・サトウハチロー/曲・万城目正/1946(昭21)


まかだリンゴさ くづびるよへで
だまてみでらだ あおえそら
リンゴだきゃなんもしゃべねんだばて
リンゴのきもつこ までわがる
リンゴめげじゃ めげじゃなリンゴ

あのむすめえじゃな きだでこえふて
リンゴさまでにだ めげむすめ
だえがへたんだがうれすうわさ
かるえくしゃみも はねででる
リンゴめげじゃ めげじゃなリンゴ

あさのあえさづ ゆがだのわがれ
めげリンゴさ へてみれば
こどばねなねばてくぴこばまげで
あすたまだのて ゆめみがお
リンゴめげじゃ めげじゃなリンゴ

うだこうだべす リンゴのうだば
ふたりでうだれば もとたのす
みんなでうだればもともとうれす
リンゴのきもつこ ふろげべが
リンゴめげじゃ めげじゃなリンゴっこ~!



いわずと知れた、日本の戦後ヒット曲第1号で、戦後映画第1号「そよかぜ」(松竹大船/1945)の挿入歌。
レコードは翌年1月に発売され、レコードや蓄音機どころか、日々の食糧にも事欠いたり、リンゴがまだまだ高級品だった時勢、3年ほどの間に33万枚を売り上げる空前の大ヒットとなりました。
可憐な少女がリンゴに寄せる想いを、津軽ゆかりの天才、サトウハチロー先生が描き、奇しくも戦後民主主義の象徴的な一曲となった詞は、戦時中に発表しようとしたところ、軟弱すぎる内容として不許可となったとか。



終戦記念日にほど近い8月某日夜、滅多にかかることのない置き電話が鳴り出しました。
それは、以前同人誌「月刊けやぐ」に投句していただいたことのある「織妃女」さんこと、福岡市にお住いの博多織の紬作家B和子先生からでした。
現役のころ、オフィシャルなイベントで、島根県津和野へご一緒させていただいたり、女性だけの全国展のお世話をさせていただいたり、何より小生へ「人生の達人」を現実に身をもって示してくださった大切な方です。
なんと今年御年「卒寿」(90歳)。
昭和3年のお生まれで、亡き母と同年でいらっしゃいます。

挨拶もそこそこに、先生はいきなり受話器の向こうで大きな声で唄い出されました。
それがなんとこの「リンゴの唄」~津軽ことば版~!
拙著「けやぐの歌集」をお送りさせていただいてから、一度絶対小生に聴かせたくて、一生懸命練習を積まれて来られたのだそうです。
もちろん津軽には縁もゆかりもない方なので、たどたどしいお歌ではありましたが、かくしゃくとした温かなお声を、およそ1分ほど拝聴させていただきました。

通話中、感激で涙腺の元栓が緩んでしまった「頬にかかる涙」を拭うのがもったいなくて、受話器を置いてからしばらくは、ヒューマニズムとハピネスを全身に感じながら、66歳翁、茫然と佇んでいた夏の夜でした。



台風をラジオが告げるりんご園   蝉坊



《 関連ブログ 》
● けやぐ柳会「月刊けやぐ」電子版
会員の投句作品と互選句の掲示板。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0123
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575



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