あさねぼう

記録のように・備忘録のように、時間をみつけ、思いつくまま、気ままにブログをしたい。

青年座 からゆきさん

2019-12-17 17:15:36 | 日記
天草出身の巻多賀次郎は、上海を皮切りに大陸を渡り歩いた末、
ここシンガポールに根をおろし、娼館「二十六番館」の主人となった。

多賀次郎が惚れぬいて一緒になった紋、日本を追われた男をかばうミユキ、
出張商社員につくす巴、多賀次郎と紋を親のように慕うモモヨ、
大陸を共に放浪してきた国、同郷の福、紋を頼ってやってきたアカネ、
そして前妻のキノも炊事婦として二十六番館に身を寄せている。

時は日露戦争前夜、多賀次郎と「からゆきさん」たちは、強い愛国心のもと、
遠く離れた祖国と家族のために仕送りに精を出している。
当時の日本にとって、世界各地からのこのような送金は大きな収入となっていた。

ついに日本は日露戦争に勝利した。
しかし、時代の流れは、彼らの思いとは逆方向に流れ出す。
本国から派遣された男たちは態度を豹変させ、諸外国への体面を重んじた国は、
娼館で働く女たちに送還命令を出すことになる。
国に見捨てられ全てを失った多賀次郎とからゆきさん。

「すきもきらいも、ひろうも棄てるも男の勝手。女はせつない。
 でも、棄てられたら、棄てられたふりして、棄てかえせ。」

女たちは、すがる多賀次郎をシンガポールに残しさすらいの旅に出るのであった。

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